労働安全コンサルタント試験 2019年 産業安全一般 問25

平成29年の労働災害統計




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合格

 このページは、2019年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年度(令和元年度) 問25 難易度 労働災害統計は確実に出題される。災害動向の特徴、概略を把握しておこう。
労働災害統計

問25 平成29年の労働災害統計における休業4日以上の死傷者数に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)全産業の事故の型別分類では、転倒が最も多いが、製造業では、はさまれ・巻き込まれ、建設業では、墜落・転落が最も多い。

(2)第三次産業の中で商業、保健衛生業及び接客・娯楽業の三つの業種について、休業4日以上の死傷者数を比較すると、商業が最も多く、次が保健衛生業となっている。

(3)全産業の起因物別分類では、仮設物・建築物・構築物等が最も多く、次が動力運搬機となっている。

(4)全産業の事業場規模別分類では、労働者数100人未満の事業場が7割を超えている。

(5)全産業の年齢階層別(19歳以下、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳及び60歳以上)分類では、60歳以上の被災者の割合が最も高く、全体の1/4程度である。しかし、年齢階層別死傷年千人率では、60歳以上が他の年齢階層に比べて低くなっている。

正答(5)

【解説】

労働災害統計は、当サイトの「グラフで見る労働災害発生件数の推移」の他、具体的な数値は職場の安全サイトの「労働災害統計のページ」を参照されたい。

なお、平成29年の休業4日以上死傷災害発生状況は、EXCELファイルで提供されているが、学習に当たっては最新の情報を参照すること。

(1)正しい。全産業の事故の型別分類では、転倒が28,310件で最も多い。製造業では、はさまれ巻き込まれが7,159件で最も多く、建設業では、墜落・転落が5,163件で最も多い。

型別休業4日以上労働災害発生状況(建設業)

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型別休業4日以上労働災害発生状況(製造業)

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型別休業4日以上労働災害発生状況

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第三次産業の業種別労働災害発生状況

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(2)正しい。第三次産業(※)における休業4日以上の死傷者数は、商業が18,270件、保健衛生業が12,106件、接客・娯楽業が8,621件となっている。

※ 職場のあんぜんサイトの厚生労働省の休業4日以上の労働災害統計は、2010年(平成22年)以降、それまでの「『労働者死傷病報告』による死傷災害発生状況(〇〇年確定値)」の他に「労働災害確定値」という項目が設けられた。これは、厚生労働省の安全課が独自に分類しているもので、従来の統計とは業種分類が異なり、各労働災害防止団体に属している業種ごとに災害を分類したものである。

2012年以降、この安全課の統計に「第三次産業」という業種が表れる。この「第三次産業」は、安全課の統計独自の概念で、通常の第三次産業とは異なっている。まず、運送業(交通運輸事業、陸上貨物運送事業及び港湾運送業)が含まれていない。その一方で「清掃・と畜」が含まれている。と畜は第一次産業であるし、食肉加工としては第二次産業である。

なお、令和2年に保健衛生業が急増し、保健衛生業20,286件、商業20,169件と逆転しているが、これは新型コロナウイルスによるものである。

起因物(中)別労働災害発生状況

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(3)正しい。全産業の起因物(中)別分類では、仮設物・建築物・構築物等が22,105件で最も多く、次が動力運搬機の12,379件となっている。

※ 問題文には、「起因物」という用語に注釈がないが、コンサルタント試験の災害統計では厚労省が公表している起因物の分類で判断する。なお、本問では中分類を用いている。

なお、令和2年に「その他の起因物」が急増しているが、これは新型コロナウイルスによるものである。

事業場規模別労働災害発生状況

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(4)正しい。全産業の事業場規模別分類では、全数が120,460件であるのに対し、労働者数100人未満の事業場が110,307件と9割を超えている。

年齢階層別労働災害発生状況

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(5)誤り。全産業の年齢階層別(19歳以下、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳及び60歳以上)分類では、60歳以上の被災者の割合が最も高く、全体の1/4程度である。また、年齢階層別死傷年千人率でも60歳以上が他の年齢階層に比べて高くなっている。

2020年01月05日執筆 2021年09月23日執筆