問15 金属材料のひずみ測定法に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)ひずみゲージによる局所ひずみの測定法として、ゲージブリッジ(ホイートストンブリッジ)を構成する回路の1辺にひずみゲージを用いる1ゲージ法がある。
(2)モアレ干渉法は、通常、測定物に格子を貼付け、斜め2方向から光束を照射し、変形により発生する干渉縞を観察して、ひずみを評価する。
(3)測定する2点間の伸びに基づいて局所ひずみを算出する方法の一つに、レーザを利用した精密寸法測定器を用いるものがある。
(4)応力塗料膜法は、試験体の表面に応力塗料を塗布してもろい膜を形成しておき、負荷を増大させたとき、膜に生じるき裂の模様から測定対象域に分布するひずみを測定する。
(5)X線応力測定法は、特性X線の回折を利用して、結晶の格子面間隔の変化を検出し、局所のひずみを測定するもので、一般に特性X線の侵入する深さは数mm に及び、内部のひずみが測定できる。
このページは、2019年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2019年度(令和元年度) | 問15 | 難易度 | ひずみ測定に関する問題は頻出事項であるが、かなり専門的な内容である。難問と言えよう。 |
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金属材料のひずみ測定法 | 4 |
問15 金属材料のひずみ測定法に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)ひずみゲージによる局所ひずみの測定法として、ゲージブリッジ(ホイートストンブリッジ)を構成する回路の1辺にひずみゲージを用いる1ゲージ法がある。
(2)モアレ干渉法は、通常、測定物に格子を貼付け、斜め2方向から光束を照射し、変形により発生する干渉縞を観察して、ひずみを評価する。
(3)測定する2点間の伸びに基づいて局所ひずみを算出する方法の一つに、レーザを利用した精密寸法測定器を用いるものがある。
(4)応力塗料膜法は、試験体の表面に応力塗料を塗布してもろい膜を形成しておき、負荷を増大させたとき、膜に生じるき裂の模様から測定対象域に分布するひずみを測定する。
(5)X線応力測定法は、特性X線の回折を利用して、結晶の格子面間隔の変化を検出し、局所のひずみを測定するもので、一般に特性X線の侵入する深さは数mm に及び、内部のひずみが測定できる。
正答(5)
【解説】
(1)適切である。金属ひずみゲージは、薄い絶縁体に金属をジグザグ状に貼り付けたものである。これを被測定物に貼り付けておくと、被測定物が変形したとき、ゲージも同時に変形する。このときのわずかな電気抵抗の変化を、ホイートストンブリッジ回路を用いて電圧に変換して被測定物のひずみ量を測定するものである。この方法には、1、2及び4ゲージ法があるが、1ゲージ法は、ホイートストンブリッジの1辺にひずみゲージを挿入して行うものである。
(2)適切である。モアレ干渉法による応力・ひずみ測定とは、きわめて微細な間隔の回折格子を解析領域内に貼り付け、そこから得られるレーザ光の回折による干渉から発生する縞模様によって測定物の微小な面内変位とひずみを測定する光学測定法である。分かりやすく言えば、すだれを二枚重ねると縞模様が現れることがある。すだれを変形させるとこの縞模様が変形する。これを利用したのがモアレ法である。
(3)適切である。レーザを利用した精密寸法測定器は、評点間隔の変化の測定に利用できるのでひずみ計としても使用されている。
(4)適切である。本肢のとおりである。
(5)不適切である。X線の試料への浸入深さは10μ前後であり、試料の表面層の応力の測定に用いられている。