労働安全コンサルタント試験 2019年 産業安全一般 問08

転倒災害の防止




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合格

 このページは、2019年の労働安全コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と正答を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年度(令和元年度) 問08 難易度 これは転倒災害防止にかなりの知識がないと正答できないかもしれない。かなりの難問であろう。
転倒災害の防止

問08 転倒災害に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)転倒による休業4日以上の労働災害の休業期間は、約6割が1か月以上となっている。

(2)高年齢労働者は、身体平衡機能や全身敏捷性が低下するため転倒しやすい。

(3)転倒災害の主な原因は、滑り、つまずき及び踏み外しである。

(4)靴底のつま先部と床面のすき間が大きいと、小さな段差でもつまずきやすくなる。

(5)靴の屈曲性が悪いと、すり足になりやすく、つまずきの原因となる。

正答(4)

【解説】

(1)適切である。その根拠だが、厚労省のパンフレット「STOP!転倒災害プロジェクト」の最終ページに「転倒災害による休業期間は約6割が1か月以上となっています」とされているのである。

都道府県労働局の転倒災害防止の研修会などで、よく紹介されるデータなのだが、そういった研修会にでも出ていないとまず知らない情報であろう。この問題を間違えた受験者の多くは、この選択肢を適切でないと思われたようだ。ハインリッヒの法則から考えても、休業1か月以上の災害が5割を超えるとは思われなかったようだ。

ただ、その「感覚」は誤りとは言えないように思える。たぶん、休業4日以上で1月未満の転倒災害の多くが、労働災害だと思われずに、健康保険で処理されてしまうためにこのような数値になるのではないだろうか。現に、社内や出張の出先で転倒して怪我をしたという場合に、私傷として処理してしまうという話はよく聞くのである。

(2)適切である。高年齢労働者は、平衡性や敏捷性などの身体強度や運動機能が低下するため、転倒しやすく、わずかなつまずきであっても被災の重篤度が高まる傾向がある。

(3)適切である。(1)の解説で示したパンフレットにも記されているが、転倒災害は大きく本肢の3種類に分けられる。

(4)不適切である。つま先部の高さ(トゥスプリング)が低いと、ちょっとした段差につまずき易くなる。

(5)適切である。靴の屈曲性が悪いと、足に負担がかかるだけでなく、擦り足になり易く、つまずきの原因となる。

2020年01月02日執筆