労働安全コンサルタント試験 2018年 産業安全関係法令 問01

事業場の安全衛生管理体制




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 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問01 難易度 安全衛生管理体制は基本中の基本。本問は正答できる必要がある。
労働安全衛生管理体制

問1 安全管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、定められていないものはどれか。

(1)事業者が総括安全衛生管理者に統括管理させなければならない業務には、労働者の安全のための教育の実施に関することが含まれる。

(2)事業者は、安全管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。

(3)安全委員会の議長は、総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者がなるものとする。

(4)安全委員会又は安全衛生委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を毎月1回以上設けるようにしなければたらない。

(5)事業者は、常時10人以上50人未満の労働者を使用する旅館業の事業場においては、安全衛生推進者を選任しなければならない。

正答(4)

【解説】

(1)安衛法第10条に規定がある。

【労働安全衛生法】

(総括安全衛生管理者)

第10条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。

 (略)

 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。

三~五 (略)

2及び3 (略)

(2)安衛則第3条は総括安全衛生管理者について「事業者は、安全管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない」と定め、これが同第4条によって安全管理者に準用されている。

従って労働安全衛生法令上、定められている。

【労働安全衛生法】

(安全管理者)

第11条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、安全管理者を選任し、その者に前条第1項各号の業務(第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く。)のうち安全に係る技術的事項を管理させなければならない。

 (略)

【労働安全衛生規則】

(総括安全衛生管理者の代理者)

第3条 事業者は、総括安全衛生管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行なうことができないときは、代理者を選任しなければならない。

(安全管理者の選任)

第4条 (第1項 略)

 第2条第2項及び第3条の規定は、安全管理者について準用する。

(3)安衛法第 17 条第3項により、安全委員会の議長は、「総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者がなるものとする」とされている。

従って労働安全衛生法令上、定められている。

【労働安全衛生法】

(安全委員会)

第17条 (第1項 略)

 安全委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員(以下「第一号の委員」という。)は、1人とする。

 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者

二及び三 (略)

 安全委員会の議長は、第一号の委員がなるものとする。

 (略)

(4)安衛則第 23 条の2は、「安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会設けるようにしなければならない」とはしているが、「毎月1回以上」とは規定していない。従って本肢が正答となる。

【労働安全衛生規則】

(委員会の会議)

第23条 (前略)安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)(以下略)

2~5 (略)

(関係労働者の意見の聴取)

第23条の2 委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない。

(5)安全衛生推進者の選任は安衛法第 12 条の2によって選任しなければならない。同条の「第 11 条第1項の事業場及び前条第1項の事業場以外の事業場」は、常時 10 人以上 50 人未満の労働者を使用する事業場である。また、旅館業は同条のカッコ書き(第 11 条第1項の政令で定める業種以外の業種)に当たらない。従って、常時 10 人以上 50 人未満の労働者を使用する旅館業の事業場においては、安全衛生推進者を選任しなければならない。

従って労働安全衛生法令上、定められている。

【労働安全衛生法】

(安全管理者)

第11条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、安全管理者を選任し(中略)なければならない。

 (略)

(衛生管理者)

第12条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し(中略)なければならない。

(安全衛生推進者等)

第12条の2 事業者は、第11条第1項の事業場及び前条第1項の事業場以外の事業場で、厚生労働省令で定める規模のものごとに、厚生労働省令で定めるところにより、安全衛生推進者(第11条第1項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあっては、衛生推進者)を選任し(略)なければならない。

 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)

第2条 労働安全衛生法(以下「法」という。)第10条第1項の政令で定める規模の事業場は、次の各号に掲げる業種の区分に応じ、常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する事業場とする。

 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 百人

 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 三百人

 (略)

(安全管理者を選任すべき事業場)

第3条 法第11条第1項の政令で定める業種及び規模の事業場は、前条第一号又は第二号に掲げる業種の事業場で、常時50人以上の労働者を使用するものとする。

(衛生管理者を選任すべき事業場)

第4条 法第12条第1項の政令で定める規模の事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業場とする。

【労働安全衛生規則】

(安全衛生推進者等を選任すべき事業場)

第12条の2 法第12条の2の厚生労働省令で定める規模の事業場は、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場とする。

2018年10月28日執筆 2024年11月19日最終改訂