問30 厚生労働省の「交通労働災害防止のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)運転業務従事者に乗務を開始させる前の点呼については、運行上対面でできない場合には電話で行っても差し支えない。
(2)事業者は、走行計画を作成する際、ハイヤー・タクシー等、走行経路を特定することが困難な業態にあっては、走行の経路並びに主な経過地における出発及び到着の日時の目安は、記載しないこととして差し支えない。
(3)事業者は、早朝時間帯に交通事故による死亡災害が多発していることを踏まえ、走行計画の作成に当たり、早朝時間帯の走行を可能な限り避けるようにする。
(4)ガイドラインの対象とする交通労働災害は、道路上及び事業場構内における自動車及び原動機付き自転車の交通事故による労働災害である。
(5)事業者は、運転者の運転適性を確認するための認定制度については、公的な機関が行う運転者認定制度を導入する必要があり、各事業場独自のものは適切ではない。
このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年度(平成30年度) | 問30 | 難易度 | 交通労働災害防止ガイドラインに関するかなり詳細な知識を問う知識問題。難問であろう。 |
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交通労働災害防止 | 5 |
問30 厚生労働省の「交通労働災害防止のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)運転業務従事者に乗務を開始させる前の点呼については、運行上対面でできない場合には電話で行っても差し支えない。
(2)事業者は、走行計画を作成する際、ハイヤー・タクシー等、走行経路を特定することが困難な業態にあっては、走行の経路並びに主な経過地における出発及び到着の日時の目安は、記載しないこととして差し支えない。
(3)事業者は、早朝時間帯に交通事故による死亡災害が多発していることを踏まえ、走行計画の作成に当たり、早朝時間帯の走行を可能な限り避けるようにする。
(4)ガイドラインの対象とする交通労働災害は、道路上及び事業場構内における自動車及び原動機付き自転車の交通事故による労働災害である。
(5)事業者は、運転者の運転適性を確認するための認定制度については、公的な機関が行う運転者認定制度を導入する必要があり、各事業場独自のものは適切ではない。
正答(5)
【解説】
(1)適切である。2017年度の問30の(4)と同じ肢である。「交通労働災害防止のためのガイドライン」の「第3 適正な労働時間等の管理及び走行管理等」の3の「(1)点呼等の実施」には、「点呼は対面によるものとするが、運行上やむを得ない場合は電話その他の 方法で実施して差し支えないこと」とされている。
そもそも、運転業務従事者が事業場内にいないことはあり得ることであり、電話等で行わなければ点呼などできないであろう。
(2)「交通労働災害防止のためのガイドライン」の「第3 適正な労働時間等の管理及び走行管理等」の2の(1)のオに「走行の経路並びに主な経過地における出発及び到着の日時の目安(戸別配送先に対する貨物運送等、配送先が多数であり、かつ毎回異なる貨物運送(以下「戸別配送」という。)、ハイヤー・タクシー等、走行経路を特定することが困難な業態にあっては、記載しないこととして差し支えない。)」とされている。
【交通労働災害防止のためのガイドライン】
第3 適正な労働時間等の管理及び走行管理等
2 適正な走行計画の作成等
(1)走行計画の作成及び指示
事業者は、運転業務従事者が乗務を開始する前に、上記1に従い、次に掲げる事項を記載した適正な走行計画を作成するとともに、当該運転業務従事者に対し、適切な指示を行うこと。
なお、事業者は、走行中に作成された走行計画に記載されている事項に変更を行う必要が生じた場合、改善基準告示等を遵守しつつ、必要な変更を行うこと。
ア~エ (略)
オ 走行の経路並びに主な経過地における出発及び到着の日時の目安(戸別配送先に対する貨物運送等、配送先が多数であり、かつ毎回異なる貨物運送(以下「戸別配送」という。)、ハイヤー・タクシー等、走行経路を特定することが困難な業態にあっては、記載しないこととして差し支えない。)
また、(以下略)
(3)適切である。「交通労働災害防止のためのガイドライン」の「第3 適正な労働時間等の管理及び走行管理等」の2の(1)の後段に「早朝時間帯に交通事故による死亡災害が多発していることを踏まえ、走行計画の作成にあたり、早朝時間帯の走行を可能な限り避けるようにする」とされている。
【交通労働災害防止のためのガイドライン】
第3 適正な労働時間等の管理及び走行管理等
2 適正な走行計画の作成等
(1)走行計画の作成及び指示
(略)
また、早朝時間帯に交通事故による死亡災害が多発していることを踏まえ、走行計画の作成にあたり、早朝時間帯の走行を可能な限り避けるようにするとともに、走行する場合は、十分な休憩時間、仮眠時間を確保する等の交通労働災害防止のために必要な措置を実施するよう努めること。
(4)2017年度の問30の(2)を修正した肢である。「交通労働災害防止のためのガイドライン」の「第1 目的」の2により正しい。
【交通労働災害防止のためのガイドライン】
第1 目的
2 本ガイドラインの対象とする交通労働災害
本ガイドラインの対象とする交通労働災害本ガイドラインの対象とする交通労働災害は、道路上及び事業場構内における自動車及び原動機付き自転車(以下「自動車等」という。)の交通事故による労働災害とする。
(5)適切ではない。運転者認定制度は、「交通労働災害防止のためのガイドライン」の「第4 教育の実施等」の2の(1)に定められているが「教育指導、認定試験の内容等については、各事業場の実状に応じて定めること」とある。従って、本肢は適切ではない。
【交通労働災害防止のためのガイドライン】
第4 教育の実施等
2 運転者認定制度等
(1)運転者認定制度
事業者は、使用する自動車等の運転に必要な資格を有する者のうち、運転適性に応じた一定の教育指導を受けたもの、認定試験に合格したもの等に対して運転業務を認める運転者認定制度を導入することが望ましいこと。
なお、教育指導、認定試験の内容等については、各事業場の実状に応じて定めること。