問28 厚生労働省の「機械の包括的な安全基準に関する指針」に示されている本質的安全設計方策に該当しないものは、次のうちどれか。
(1)機械の部品及び構成品のうち、安全上適切な周期での点検が必要なものについては、安全かつ容易に保守点検作業が行えるようにすること。
(2)機械の転倒等を防止するため、機械自体の運動エネルギー、外部からの力等を考慮し安定性を確保すること。
(3)制御システムに、電磁ノイズ等の電磁妨害による機械の誤動作の防止及び他の機械の誤動作を引き起こすおそれのある不要な電磁エネルギーの放射の防止のための措置が講じられていること。
(4)制御システムによる機械の起動は、制御信号のエネルギーの低い状態から高い状態への移行により行われるものであること。
(5)動力伝導部分に、インターロック付き可動式ガードを設けること。
このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年度(平成30年度) | 問28 | 難易度 | 機械の包括的安全指針に関する知識問題だが、労働安全に関する基本的な知識があれば正答できる。 |
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機械の包括的な安全指針 | 4 |
問28 厚生労働省の「機械の包括的な安全基準に関する指針」に示されている本質的安全設計方策に該当しないものは、次のうちどれか。
(1)機械の部品及び構成品のうち、安全上適切な周期での点検が必要なものについては、安全かつ容易に保守点検作業が行えるようにすること。
(2)機械の転倒等を防止するため、機械自体の運動エネルギー、外部からの力等を考慮し安定性を確保すること。
(3)制御システムに、電磁ノイズ等の電磁妨害による機械の誤動作の防止及び他の機械の誤動作を引き起こすおそれのある不要な電磁エネルギーの放射の防止のための措置が講じられていること。
(4)制御システムによる機械の起動は、制御信号のエネルギーの低い状態から高い状態への移行により行われるものであること。
(5)動力伝導部分に、インターロック付き可動式ガードを設けること。
正答(5)
【解説】
本問の「機械の包括的な安全基準に関する指針」は、「6 保護方策の検討及び実施」の(1)において、本質的安全設計方策を別表第2に、安全防護を別表第3に、付加保護方策を別表第4に定めている。
そして、本質安全化とは、危険性・有害性そのものをなくしたりそのレベルを小さくしたりすること、又は人と出会う機会をなくすことなどである。危険性・有害性をそのままにして、囲ったり覆ったりして人と触れないようにするのは工学的対策に当たる。
【機械の包括的な安全基準に関する指針】
6 保護方策の検討及び実施
(1)機械の製造等を行う者は、3から5までの結果に基づき、法令に定められた事項がある場合はそれを必ず実施するとともに、適切なリスクの低減が達成されていないと判断した危険性又は有害性について、次に掲げる優先順位により、機械に係る保護方策を検討し実施するものとする。
ア 別表第2に定める方法その他適切な方法により本質的安全設計方策を行うこと。
イ 別表第3に定める方法その他適切な方法による安全防護及び別表第4に定める方法その他適切な方法による付加保護方策を行うこと。
別表第2 本質的安全設計方策
1~4 (略)
5 機械の転倒等を防止するため、機械自体の運動エネルギー、外部からの力等を考慮し安定性を確保すること。
6~11 (略)
12 制御システムの不適切な設計等による危害を防止するため、制御システムについては次に定めるところによるものとすること。
(1)起動は、制御信号のエネルギーの低い状態から高い状態への移行によること。(略)
(2)~(4)(略)
(5)電磁ノイズ等の電磁妨害による機械の誤動作の防止及び他の機械の誤動作を引き起こすおそれのある不要な電磁エネルギーの放射の防止のための措置が講じられていること。
13及び14 (略)
15 保守点検作業における危害を防止するため次の措置を行うこと。
(1)機械の部品及び構成品のうち、安全上適切な周期での点検が必要なもの、作業内容に応じて交換しなければならないもの又は摩耗若しくは劣化しやすいものについては、安全かつ容易に保守点検作業が行えるようにすること。
(2)(略)
別表第3 安全防護の方法
1及び2 (略)
3 ガード又は保護装置の設置は、機械に労働者が関わる作業に応じ、次に定めるところにより行うこと。
(1)動力伝導部分に安全防護を行う場合は、固定式ガード又はインターロック付き可動式ガードを設けること。
(2)(以下略)
(1)該当する。別表第2の15の(1)に記されており、「本質的安全設計方策」に該当する。保守点検作業における危険性そのものを減じていることから、本質安全化となるわけである。
(2)該当する。別表第2の5に記されており、「本質的安全設計方策」に該当する。転倒の危険性そのものを減じているため、本質安全化となるわけである。
(3)該当する。別表第2の12の(5)に記されており、「本質的安全設計方策」に該当する。電磁エネルギーという、危険の原因そのものの放射の防止のための措置が講じられているからである。
(4)該当する。別表第2の12の(1)に記されており、「本質的安全設計方策」に該当する。機械の起動が、エネルギーポテンシャルの低い状態から高い状態への移行により行われるため、故障その他によって誤って起動する恐れが少なくなる。指針の執筆者は、これも本質安全化であると考えている。
(5)該当しない。本肢の安全対策は別表第2の3の(1)に示されているので、安全防護に該当し、本質的安全設計方策には該当しない。
本質的安全設計方策とは、ハザードそのものをなくしたり、低くしたりすることを言い、ガードの設置等はこれに含まれないのである。