労働安全コンサルタント試験 2018年 産業安全一般 問26

労働安全衛生マネジメントシステム




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合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問26 難易度 OSHMS指針に関する知識問題ではあるが、労働安全に関する常識的な知識があれば正答できる。
OSHMS指針

問26 厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)あらかじめ、労働災害発生の急迫した危険がある状態(以下「緊急事態」という。)が生ずる可能性を評価し、緊急事態が発生した場合に労働災害を防止するための措置を定める。

(2)システム監査の結果を踏まえ、定期的に、労働安全衛生マネジメントシステムの妥当性及び有効性を確保するため、労働安全衛生マネジメントシステムの全般的な見直しを行う。

(3)安全衛生計画を作成する際には、リスクアセスメントの結果に基づき実施する措置、管理監督者の安全衛生教育のように、計画的に実施する事項を中心とし、危険予知活動、ヒヤリ・ハット事例の収集のように、日常的に行う活動は含めない。

(4)労働災害、事故等が発生した場合におけるこれらの原因の調査及び問題点の把握を実施する手順を定め、手順に基づき、これらの発生した直接の原因とともに、これらが発生するに至った背景要因も調査するようにする。

(5)安全衛生目標の設定並びに安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善に当たっては、安全衛生委員会等を通じて労働者の意見を反映するようにする。

正答(3)

【解説】

(1)適切である。労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(以下本問の解説において「OSHMS指針」という。)第14条に「事業者は、あらかじめ、労働災害発生の急迫した危険がある状態(以下「緊急事態」という。)が生ずる可能性を評価し、緊急事態が発生した場合に労働災害を防止するための措置を定める」とされている。本肢は正しい。

(2)適切である。OSHMS指針第18条の規定により正しい。

【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】

(システム監査)

第17条 事業者は、定期的なシステム監査の計画を作成し、第五条から前条までに規定する事項についてシステム監査を適切に実施する手順を定めるとともに、この手順に基づき、システム監査を適切に実施するものとする。

 事業者は、前項のシステム監査の結果、必要があると認めるときは、労働安全衛生マネジメントシステムに従って行う措置の実施について改善を行うものとする。

(労働安全衛生マネジメントシステムの見直し)

第18条 事業者は、前条第一項のシステム監査の結果を踏まえ、定期的に、労働安全衛生マネジメントシステムの妥当性及び有効性を確保するため、安全衛生方針の見直し、この指針に基づき定められた手順の見直し等労働安全衛生マネジメントシステムの全般的な見直しを行うものとする。

(3)適切ではない。OSHMS指針第12条には、安全衛生計画には、日常的な安全衛生活動の実施に関する事項を含むものとされている。

そして、平成18年3月17日基発第0317007号の記の第2の10の(2)には、「『日常的な安全衛生活動』には、危険予知活動(KYT)、4S活動、ヒヤリ・ハット事例の収集及びこれに係る対策の実施、安全衛生改善提案活動、健康づくり活動等があること」とされている。

【労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針】

(安全衛生計画の作成)

第12条 事業者は、安全衛生目標を達成するため、事業場における危険性又は有害性等の調査の結果等に基づき、一定の期間を限り、安全衛生計画を作成するものとする。

 安全衛生計画は、安全衛生目標を達成するための具体的な実施事項、日程等について定めるものであり、次の事項を含むものとする。

 第十条第二項の規定により決定された措置の内容及び実施時期に関する事項

 日常的な安全衛生活動の実施に関する事項

 健康の保持増進のための活動の実施に関する事項

 安全衛生教育及び健康教育の内容及び実施時期に関する事項

 関係請負人に対する措置の内容及び実施時期に関する事項

 安全衛生計画の期間に関する事項

 安全衛生計画の見直しに関する事項

【平成18年3月17日基発第0317007号】

(安全衛生計画の作成)

10 第12条(安全衛生計画の作成)関係

(2)第2項第2号の「日常的な安全衛生活動」には、危険予知活動(KYT)、4S活動、ヒヤリ・ハット事例の収集及びこれに係る対策の実施、安全衛生改善提案活動、健康づくり活動等があること。

(4)適切である。OSHMS指針第16条には、「事業者は、労働災害、事故等が発生した場合におけるこれらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施する手順を定めるとともに、労働災害、事故等が発生した場合には、この手順に基づき、これらの原因の調査並びに問題点の把握及び改善を実施するものとする」とされている。

そして、平成18年3月17日基発第0317007号の記の第2の14の(2)には、「『これらの原因の調査並びに問題点の把握』を実施するに当たっては、当該労働災害、事故等の直接の原因の解明にとどまることなく、当該事象を引き起こすに至った背景要因を総合的に勘案する必要があること」とされている。

(5)適切である。OSHMS指針第6条には、「事業者は、安全衛生目標の設定並びに安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善に当たり、安全衛生委員会等(安全衛生委員会、安全委員会又は衛生委員会をいう。以下同じ。)の活用等労働者の意見を反映する手順を定めるとともに、この手順に基づき、労働者の意見を反映するものとする」とされている。本肢は正しい。

2018年10月27日執筆 2020年02月09日修正