労働安全コンサルタント試験 2018年 産業安全一般 問24

労働災害統計




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合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問24 難易度 労働災害統計に関する一般的な知識問題。頻出事項であり、確実に正答できなければならない。
労働災害統計

問24 厚生労働省の労働災害統計(平成28年)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)全産業の休業4日以上の死傷者数の年齢階層別(19歳以下、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳及び60歳以上)の人数は、60歳以上が最も多い。

(2)労働災害動向調査によると、常用労働者100人以上の事業所においては、「運輸業・郵便業」及び「卸売業・小売業」の度数率(死傷合計)は、製造業の度数率より高い。

(3)死亡者数は、製造業及び陸上貨物運送事業よりも建設業の方が多い。

(4)全産業の休業4日以上の死傷者数の事故の型では、最も多いのは転倒であり、墜落・転落がこれに次いでいる。

(5)全産業の労働者数100人未満の事業場における休業4日以上の死傷者数は、死傷者数全体の約5割となっている。

正答(5)

【解説】

労働災害統計は、当サイトの「グラフで見る労働災害発生件数の推移」の他、具体的な数値は職場の安全サイトの「労働災害統計のページ」を参照されたい。

年齢階層別の労働災害発生状況

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(1)正しい。全産業の休業4日以上の死傷者数の年齢階層別(19歳以下、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳及び60歳以上)の人数は、平成28年には次表に示すように60歳以上が最も多い。

各自、最新情報を確認して欲しいが、この傾向は今後も変わらないだろうと思われる。

年齢 ~19 20~29 30~39 40~49 50~59 60~ 全体
災害件数 2,607 14,526 18,116 26,403 27,603 28,605 117,910
割合 2.2 12.3 15.4 22.4 23.4 24.3 100.0

業種別の労働災害度数率状況

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(2)正しい。平成28年度の労働災害動向調査によると、度数率(死傷合計=常用労働者100人以上)は、「製造業」1.15に対し、「運輸業・郵便業」2.97、「卸売業・小売業」1.74となっている。

業種別の死亡労働災害発生件数の推移

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(3)正しい。平成28年度の死亡者数は、製造業177人、陸上貨物運送事業(※)は99人となっている。これに対し建設業は294人である。

※ 職場のあんぜんサイトの厚生労働省の休業4日以上の労働災害統計は、2010年(平成22年)以降、それまでの「『労働者死傷病報告』による死傷災害発生状況(〇〇年確定値)」の他に「労働災害確定値」という項目が設けられた。これは、厚生労働省の安全課が独自に分類しているもので、従来の統計とは業種分類が異なり、各労働災害防止団体に属している業種ごとに災害を分類したものである。陸上貨物運送事業は、この安全課の統計に表れる業種である。

型別の死傷労働災害発生件数の推移

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(4)正しい。平成28年度の全産業の休業4日以上の死傷者数の事故の型(※)では、最も多いのは転倒の27,152件であり、墜落・転落の20,094件がこれに次いでいる。本肢は正しい。

※ 問題文には、「事故の型」という用語に注釈がないが、コンサルタント試験の災害統計では厚労省が公表している事故の型の分類で判断する。

企業規模別の死傷労働災害発生件数の推移

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(5)誤り。100人未満の事業場における休業4日以上の死傷者数は、平成28年の場合、次表に示すように76.2%となる。従って、本肢は誤っているといえる。

規模 ~9 10~29 30~49 50~99 100~299 300~ 全体
災害件数 25,106 30,938 17,213 16,647 18,349 9,657 117,910
割合 21.3 26.2 14.6 14.1 15.6 8.2 100.0
2018年10月27日執筆 2021年09月23日最終修正