問21 過塩素酸カリウムに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)可燃性物質と激しく反応する危険性がある。
(2)火災時には、水を用いず粉末消火剤を使用する。
(3)過塩素酸カリウム自体は燃焼しない。
(4)保管する場合には衝撃が加わらないようにする。
(5)400℃以上で分解し、酸素を発生する。
このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年度(平成30年度) | 問21 | 難易度 | 特定の化学物質の危険性についての知識問題である。かなりの難問だったのではないだろうか。 |
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過塩素酸カリウム | 5 |
問21 過塩素酸カリウムに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)可燃性物質と激しく反応する危険性がある。
(2)火災時には、水を用いず粉末消火剤を使用する。
(3)過塩素酸カリウム自体は燃焼しない。
(4)保管する場合には衝撃が加わらないようにする。
(5)400℃以上で分解し、酸素を発生する。
正答(2)
【解説】
(1)正しい。過塩素酸カリウム(KClO4:化審法番号 1-230)は、酸化性の固体であり、可燃性物質や還元性物質と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。
(2)誤り。消火剤としては水を使用する。大火災では大量の水を使用する。粉末消火剤や泡消火薬剤は使ってはならない。
なお、過塩素酸カリウムに特有の消火方法として、火災区域に適度の距離から大量の水を散水する。危険でなければ火災区域から容器を移動する。ただし、容器が熱にさらされているときは移してはならない。移動不可能な場合は、容器及び周囲に散水して冷却する。消火活動は、有効に行える十分な距離から行う。消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。消火を行う者は、消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用すること。
(3)正しい。過塩素酸カリウムは酸化性の固体であり、他のものを燃焼させる恐れがあるが、それ自体が燃焼するわけではない。
(4)正しい。過塩素酸カリウムは、有機物が混じると衝撃に敏感になる。加熱や衝撃は避けなければならず、移送時においては、転倒や容器の摩擦に注意するべきである。
(5)正しい。過塩素酸カリウムは、加熱すると分解して、有毒で腐食性のヒューム(塩素、塩素酸化物)を発生させる。一方、融点(分解)は400℃で、沸点(分解)は610℃とされている。