労働安全コンサルタント試験 2018年 産業安全一般 問13

機械や構造物の強度計算




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合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問13 難易度 機械・構造物の強度計算に関する知識問題である。合否を分けた問題であろう。確実に正答したい。
機械や構造物の強度計算

問13 機械や構造物の強度計算に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)オイラー式によれば、長柱の弾性座屈荷重は、材料の引張強さに関係なく、柱の形状・寸法と縦弾性係数だけで定まる。

(2)静定構造物では、支点反力や部材応力を求めるに当たり、力やモーメントのつり合い条件に加えて、変形の条件を考慮しなければならない。

(3)はりの断面二次モーメントをI、縦弾性係数をEとするとき、EIのことを曲げ剛性といい、この値が大きいと、同じ曲げモーメントがかかっても、はりの曲がりを小さくすることができる。

(4)熱応力は、変位が拘束されていなければゼロであるが、変位の拘束条件によって大きく変化する。

(5)金属材料の許容応力は、通常、使用環境や材料の種類に応じて限界の応力(基準の強さ)を定め、それに対して適度の安全率を持つように設定される。

正答(2)

【解説】

(1)正しい。座屈とは、構造物に応力を加えたとき、大きく変形することをいう。鉄板に力を加えたとき、ある程度以上の力になると、大きく変形して“ぐしゃっ”となるが、この現象が座屈である。オイラーの公式とは次のようなものである。

Pcr=C×π2EIL2

Pcr:座屈荷重、

C:端末条件係数、

E:ヤング率、

I:断面2次モーメント、

L:長さ

Cは定数であるから、本肢は正しい。

(2)誤っている。静定構造物では、支点反力や部材応力を求めるためには、力やモーメントのつり合い条件を考慮しなければならないことは当然である。しかし、変形の条件は、通常は考慮しない。

(3)曲げ剛性EIは、“曲げにくさ”を表す値である。例えば先端に集中過重が作用する片持ち梁のたわみδは次式で表される。

δ=PL348EI

P:過重、

L:梁の長さ

従って、本肢は正しい。

(4)正しい。ほとんどの物は、温度が上がれば膨張する。しかし、均一な物質であれば全体に大きくなるだけなので、内部に応力が生じることはない。変位が拘束されなければ、応力が生じようがないからである。

しかし、線路のレールのように両端が固定されていると、膨張すれば両側から力を加えて変形を受けたのと同じ結果になる。この固定の程度によって、内部に応力が生じることになる。これが熱応力である。従って、本肢は正しい。

(5)正しい。これは当然であろう。

2018年10月27日執筆 2020年02月09日修正