問12 作業手順書に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
(1)作業手順書は、対象作業を準備作業、本体作業、後始末作業などの単位ごとに独立させて、労働災害リスクにかかわらず、可能な限り細かく分解したものとすることが作業手順の省略を防ぎ、効果的である。
(2)作業手順書は、誤解を防ぐために、図やイラストを使うよりも、文章で詳細に記述する方が効果的である。
(3)管理監督者は、作業手順を励行しているか否かについて自らチェックするよりも随時作業者に報告させ、励行されていない場合には、その問題点の把握に努めることが望ましい。
(4)作業手順書による作業手順の励行を図るためには、管理監督者自ら率先垂範することが求められる。
(5)異常時に求められる対応は、そのときの内容や作業者により千差万別であることから、あらかじめ異常時の作業手順書を定めず、作業の監督者の指示により対応した方がよい。
このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年度(平成30年度) | 問12 | 難易度 | 作業手順書に関する常識問題。常識で判断すれば正答できる。ほとんどの受験生が正答できただろう。 |
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作業手順書 | 1 |
問12 作業手順書に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
(1)作業手順書は、対象作業を準備作業、本体作業、後始末作業などの単位ごとに独立させて、労働災害リスクにかかわらず、可能な限り細かく分解したものとすることが作業手順の省略を防ぎ、効果的である。
(2)作業手順書は、誤解を防ぐために、図やイラストを使うよりも、文章で詳細に記述する方が効果的である。
(3)管理監督者は、作業手順を励行しているか否かについて自らチェックするよりも随時作業者に報告させ、励行されていない場合には、その問題点の把握に努めることが望ましい。
(4)作業手順書による作業手順の励行を図るためには、管理監督者自ら率先垂範することが求められる。
(5)異常時に求められる対応は、そのときの内容や作業者により千差万別であることから、あらかじめ異常時の作業手順書を定めず、作業の監督者の指示により対応した方がよい。
正答(4)
【解説】
全体に常識問題としか言いようがない問題である。本肢を間違えるような受験者がいるのだろうか? 試験協会のサービス問題である。
※ コンサルタント試験の問題は、誰でも正答できるような問題と、誰も正答できないような問題が混じっており、他の問題で合否が分かれる。
難易度が極端に高かったり低かったりする問題は、どのような能力を問いたいのか、どのような知識がある受験者を合格させたいのか、基本思想が分かりにくい。これは誰でも正答できる問題のひとつだが、もう少し洗練した出題をして欲しいと思う。
(1)適切ではない。作業手順書を、労働災害リスクにかかわらず細分化してしまっては、かえって使いづらくなるであろう。作業手順書は使いやすくしなければ誰も使わなくなる。
(2)適切ではない。これは解説するまでもないであろう。作業手順書は、分かりやすくして誤解を防ぐためにも、図やイラストを使う方がよい。文章だけで伝えようとしても、うまく伝わらないことが多いことは常識であろう。
(3)適切ではない。管理監督者は、作業手順が励行されているか否かを自らチェックして、励行されていなければ是正しなければならない。それが、管理監督者の本来の職務であろう。明らかに誤っている。
(4)適切である。作業手順書による作業手順の励行を図るために、管理監督者自ら率先垂範することが求められるかどうかは、その管理監督者の職務にもよるだろうが、それを求められる管理監者がいることは間違いないだろう。他の選択肢が明らかに問題のある内容を含んでいるので、本肢が正しいのであろう。
(5)適切ではない。異常時における対応方法も作業手順書を定めておかなければ、いざというときに対応できない。事前に作業手順書を定めて、日ごろから教育・訓練を行っておくことが重要である。明らかに不適切である。