問2 日常的な安全衛生活動に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
(1)安全管理は、小集団活動を基本として、集団が実質的な権限を持って活動することにより広範な問題解決をその場で実施し、経営層はその補完や支援に徹することが望ましい。
(2)整理・整頓・清掃・清潔は4Sと略称され、安全のみならず品質、設備管理などの基本として我が国では多くの職場で実施されているが、これは、指導者を決め、その者の指示のもとに通常業務とは区別して活動を行うと徹底されやすい。
(3)作業のプロセスや設備などに潜むムダ・ムラ・ムリを見いだし、改善することや、危険箇所の表示による危険の「見える化」を進めていくことも安全活動の一環である。
(4)安全パトロールにおいては、知識のある人、権限のある人が行い、危険な行動を取っている人はいないか、設備・装置の稼働状況は正常範囲か、4Sは徹底されているかなど主要な点に絞って指摘し、問題点はその場では持ち帰り、改善策を練ってから指示するとよい。
(5)ヒヤリ・ハット報告においては、得られた情報のうち、大きなリスクの発生につながるものに絞って専門スタッフ及び幹部でその対策を検討して実施するのがよい。
このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年度(平成30年度) | 問02 | 難易度 | 日常的な安全衛生活動に関する常識的な知識を問う問題。ほとんどの受験生が正答できただろう。 |
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日常的な安全衛生活動 | 1 |
問2 日常的な安全衛生活動に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
(1)安全管理は、小集団活動を基本として、集団が実質的な権限を持って活動することにより広範な問題解決をその場で実施し、経営層はその補完や支援に徹することが望ましい。
(2)整理・整頓・清掃・清潔は4Sと略称され、安全のみならず品質、設備管理などの基本として我が国では多くの職場で実施されているが、これは、指導者を決め、その者の指示のもとに通常業務とは区別して活動を行うと徹底されやすい。
(3)作業のプロセスや設備などに潜むムダ・ムラ・ムリを見いだし、改善することや、危険箇所の表示による危険の「見える化」を進めていくことも安全活動の一環である。
(4)安全パトロールにおいては、知識のある人、権限のある人が行い、危険な行動を取っている人はいないか、設備・装置の稼働状況は正常範囲か、4Sは徹底されているかなど主要な点に絞って指摘し、問題点はその場では持ち帰り、改善策を練ってから指示するとよい。
(5)ヒヤリ・ハット報告においては、得られた情報のうち、大きなリスクの発生につながるものに絞って専門スタッフ及び幹部でその対策を検討して実施するのがよい。
正答(3)
【解説】
(1)適切ではない。安全管理について最終責任を負うべきは事業者であり、事業者の行為を代行するものは代表取締役を中心とする経営層である。事業者は、労働者の安全管理を自ら行うべき、安衛法及び私法上の義務を負っていると解すべきである。
安全衛生活動の基本を小集団活動におくことは必ずしも誤りとは言えないが、安全管理そのものについてまで、経営層が補完や支援に徹することは、安衛法ばかりか近代私法の基本的な思想に反し、許されない。
(2)適切ではない。本肢の「整理・整頓・清掃・清潔は4Sと略称され、安全のみならず品質、設備管理などの基本として我が国では多くの職場で実施されている」との部分は、必ずしも誤りではない。しかし、4Sは、通常業務の中で実施することによって徹底されるものであり、通常業務と区別して行っても徹底されやすいとはいえない。
(3)適切である。作業のプロセスや設備などに潜むムダ・ムラ・ムリを見いだし、改善すること、危険個所の表示による「見える化」が安全活動の一環であることはいうまでもない。
なお、厚生労働省東京労働局が作成した「中小規模事業場の安全衛生活動の進め方」(9頁)にも、「作業手順書は、『ムリ』、『ムダ』、『ムラ』を省き、作業を安全に効率よく行うために作成するものです」「危険の『見える化』は、職場の危険を可視(=見える化)し、労働者全員で共有することです」との記述がみられる。
(4)適切ではない。安全パトロールにおいて、知識のある人、権限のある人が行い、危険な行動を取っている人はいないか、設備・装置の稼働状況は正常範囲か、4Sは徹底されているかなど主要な点に絞って指摘することは、パトロールの目的によっては必ずしも誤りとは言えない。
しかし、労働災害が発生する重大な安全上の問題がある場合に、問題点をその場で指摘せずに、持ち帰って改善策を練ってから指示するのでは、その間に災害が発生してしまうことも考えられる。本肢は誤っている。
(5)適切ではない。これは解説するまでもないであろう。ヒヤリ・ハット活動で報告されたものは、①「誰もが遭遇する可能性があるが、その頻度は高くはないもの」を周知する、②すべてのヒヤリ・ハット報告を集計することにより、危険な場所、時間帯を知り、ハザードマップとして活用する、③とくに問題の大きなものについては個別に対策を検討するなど、様々な安全管理対策に役立てるべきものである。
本肢のように大きなリスクの発生につながるものに絞って専門スタッフ及び幹部でその対策を検討して実施するのではない。本肢は誤っている。