労働安全コンサルタント試験 2017年 産業安全一般 問21

人体への通過電流の強さと人体への影響




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合格

 このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年度(平成29年度) 問21 難易度 感電災害に関する知識問題ではあるが、常識で正答できる。正答できなければならない問題である。
電流の人体への影響

問21 人体への通過電流の電流値と次のイ~ホに示す通過電流による人体への影響との組合せについて、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。

イ 人体に悪影響を及ぼさない最大の許容電流値であり、相応の痛みを感じる。

ロ ピリッと感じるが、人体に危険性はない。

ハ 心臓の律動異常の発生、痛み、気絶、人体構造損傷などの可能性がある。

ニ 心室細動の発生や心肺停止に至り、極めて危険な状態になる。

ホ 持続して筋肉の収縮が起こり、握った電線を離すことができなくなる。

     0.5~1mA   5mA  10~20mA   50mA  100mA

(1)   イ     ロ     ホ     ハ     ニ

(2)   イ     ロ     ホ     ニ     ハ

(3)   ロ     イ     ハ     ホ     ニ

(4)   ロ     イ     ホ     ハ     ニ

(5)   ロ     イ     ホ     ニ     ハ

※ 画面の小さなデバイスでは選択肢の一部が画面からはみ出します。スクロールして確認してください。

正答(4)

【解説】

1 本問の解法

本問に関しては、細かい数値を気にする必要はない。たんに、イからホの記述を人体への影響の小さい順に並べていけばよいだけのことである。

ニとハで迷うかもしれないが、ニは心室細動や心肺停止など「死亡」の恐れの強い状況に至ると書かれており、ハはそれ以前の状況なので、ニの方が重篤である。

従って(4)が正答となる。

2 内容についての解説

なお、問題文には書かれていないが、これは商用周波数を前提にしている。直流だと、イの状態となる電流値はもっと高い。

資料出所は、職場のあんぜんサイトの安全衛生キーワード「感電」のページの表である。なお、本問の電流値と人体への影響の関係は、国際電気標準会議の人体反応曲線図(安衛研の資料の12ページを参照)の数値などとも微妙に異なっている。

電流値 人体への影響
0.5mA~1mA

・ 最小感知電流、「ピリッと」感じる、人体に危険性はない

5mA

・ 人体に悪影響を及ぼさない最大の許容電流値

・ 相応の痛みを感じる

10~20mA

・ 離脱の限界(不随意電流)、筋肉の随意運動が不能に

・ 持続して筋肉の収縮が起こり、握った電線を離すことができなくなる

50mA

・ 疲労、痛み、気絶、人体構造損傷の可能性

・ 心臓の律動異常の発生、呼吸器系等への影響

・ 心室細動電流の発生ともいわれ(※)、心肺停止の可能性も

100mA

・ 心室細動の発生、心肺停止、極めて危険な状態に

※ 「心室細動電流の発生ともいわれ」は、「心室細動電流ともいわれ」か「心室細動が発生する電流ともいわれ」の誤植と思われる。(引用者注)

2018年10月27日執筆 2020年04月09日修正 2020年06月08日修正