労働安全コンサルタント試験 2017年 産業安全一般 問17

プレス機械の光線式安全装置




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合格

 このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年度(平成29年度) 問17 難易度 プレス機械の光線式安全装置に関するやや高度な知識問題である。難問の部類だろう。
光線式安全装置

問17 厚生労働省の「プレス機械の安全装置管理指針」に示された光線式安全装置の適正な使用に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)側面や後面の安全囲いの設置状態を確認する。

(2)プレス機械を起動させ、光線を光軸ごとに遮断したとき、スライドが停止することを確認し、連続遮光幅については、遮光棒を使用して作動状態を確認する。

(3)作業内容、作業姿勢等により最上光軸の上又は最下光軸の下から身体の一部が危険限界に入らないように投光器、受光器を調整する。

(4)スライドの開き行程の作動中に光線を遮断してもスライドが急停止しない機能を使用する場合には、スライドの閉じ行程の作動中には安全装置が有効に作動し、開き行程のときのみ無効であることを確認する。

(5)材料を手で保持するときなどに、光線による検出を部分的に無効とするブランキングを行う場合、キースイッチを使用し、必要最小限の部分に対して行い、銘板に表示されているストローク長さに応じた追加距離を加算した安全距離を確保する。

正答(5)

【解説】

プレス機械の安全装置管理指針」(平成27年9月30日基発0930第11号)の「第4 安全装置の適正な使用」の「3 光線式(制御機能付き光線式を含む。)」は次のように定められている。

【プレス機械の安全装置管理指針】

第4 安全装置の適正な使用

3 光線式(制御機能付き光線式を含む。)

(1)プレス機械の最大停止時間に応じて安全距離を確保する。(平成23年度以降の検定合格品の場合は、連続遮光幅に応じた追加距離を加算する。)。

(2)プレス機械を起動させ、光線を光軸ごとに遮断したとき、スライドが停止することを確認する。また、連続遮光幅については、遮光棒を使用して作動状態を確認する。

(3)有効・無効の切替えスイッチの状態を確認する。

(4)スライドの開き行程の作動中に光線を遮断してもスライドが急停止しない機能を使用する場合には、スライドの閉じ行程の作動中には安全装置が有効に作動し、開き行程のときのみ無効であることを確認する。

(5)作業内容、作業姿勢等により最上光軸の上又は最下光軸の下から身体の一部が危険限界に入らないように投光器、受光器を調整する。

(6)チェック回路の作動状況を確認する。

(7)チェックボタンのある場合は、チェック回路の作動状態を確認する。

(8)ブランキングを行う場合、キースイッチを使用し、必要最小限の部分に対して行うこと。また、銘板に指定されている連続遮光幅に応じた追加距離を確保すること。

(9)制御機能付き光線式の場合、セットアップタイマーが 30 秒で作動し PSDI モードがオフになること。

(10)制御機能付き光線式の場合、設定された遮光回数(1ブレイク、2ブレイク)によりプレスが起動することを確認する。

(11)側面や後面の安全囲いの設置状態を確認する。

(1)上記(11)により正しい。

(2)上記(2)により正しい。

(3)上記(5)により正しい。

(4)上記(4)により正しい。

(5)上記(8)にブランキングに関する記述があるが、「名盤に表示されているストローク長さに応じた追加距離を加算した安全距離を確保する」が誤りで、正しくは「銘板に指定されている連続遮光幅に応じた追加距離を確保する」である。また、ストローク長さは、上死点から下死点までの距離(上型の移動する距離)のことであり、これが長いか短いかは、安全距離とは無関係である。従って誤っている。

なお、連続遮光幅とは、平成23年2月18日基発0218第3号「動力プレス機械構造規格の一部を改正する件及びプレス機械又はシャーの安全装置構造規格の一部を改正する件の適用について」によれば、「検出機構の検出能力を表すものであり、例えば、連続遮光幅を30ミリメートルとした場合は、30ミリメートル以下の円柱形状の試験片を検出面内にどのような角度で入れても検出機構が検出できるものであること」とされ、「安全距離については、連続遮光幅に応じて必要な追加距離を加算しなければならないこと」とされている。

2018年10月27日執筆 2020年04月05日修正