問4 金属材料の損傷などに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)ステンレス鋼など、明瞭な降伏現象を示さない材料では、一般に、2%の塑性変形を生じる応力を降伏点に代えて用いる。
(2)疲労限度は、繰り返し応力に対する材料強度の指標として重要である。
(3)高温下で、一定温度に保持された金属において、一定荷重を加えたときに時間とともにひずみが増加する現象をクリープという。
(4)オーステナイト系ステンレス鋼は、マルテンサイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼と比べて、一般に耐食性が高い。
(5)普通鋳鉄は、破面が灰色を呈することから一般にねずみ鋳鉄と呼ばれ、圧縮には強いが引張には弱い。
このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
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2017年度(平成29年度) | 問04 | 難易度 | 金属材料に関する損傷についての高度な知識問題である。頻出事項ではあるが、難問だろう。 |
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金属材料の損傷 | 5 |
問4 金属材料の損傷などに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)ステンレス鋼など、明瞭な降伏現象を示さない材料では、一般に、2%の塑性変形を生じる応力を降伏点に代えて用いる。
(2)疲労限度は、繰り返し応力に対する材料強度の指標として重要である。
(3)高温下で、一定温度に保持された金属において、一定荷重を加えたときに時間とともにひずみが増加する現象をクリープという。
(4)オーステナイト系ステンレス鋼は、マルテンサイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼と比べて、一般に耐食性が高い。
(5)普通鋳鉄は、破面が灰色を呈することから一般にねずみ鋳鉄と呼ばれ、圧縮には強いが引張には弱い。
正答(1)
【解説】
(1)適切ではない。ステンレス鋼は「明瞭な降伏現象を示さない」とはいえない。また、降伏点を示さない材料では、0.2%の残留歪が残る状態を“破壊”とすることが一般的なので、2%とあるのも間違いである。出題者は誤りを2か所に入れておいたらしい。なお、降伏点を示さない金属の例としてはアルミニウムがある。
(2)適切である。疲労限度(耐久限度)とは、疲労破壊を起こさない(と考えられる)応力の値のことを言う。機械設計において、繰り返し荷重を受ける部分の検討を行う際には重要な指標である。
なお、疲労限度の存在する材料は限られており、ほとんどの材料では疲労破壊があり得ることに注意する必要がある。
(3)適切である。本肢はクリープ現象の定義である。通常の応力による変形は時間によって変形量は増加しないが、クリープ現象では時間とともに変形量が増加する。
(4)適切である。オーステナイト系ステンレス鋼は、マルテンサイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼と比べて、“一般に”耐食性が高い。従って本肢は「適切でない」とはいえない。
(5)適切である。ねずみ鋳鉄の呼び名は破面が灰色であることに由来している。これは、片状の黒鉛(グラファイト)を含むため引っ張り強さが小さく展延性にも乏しい。その一方で、切削加工性がよいにもかかわらず耐摩耗性が優れているという特性を有する。また、引っ張り強さは150~350MPa程度なのに対し圧縮強さは500~1100MPa程度である。