問3 機械による危険を防止するため事業者が講じた措置に関する次のイ~ニの記述のうち、労働安全衛生法令上、違反となるもののみの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ ボール盤の使用時に、切創のおそれがあったが、手が巻き込まれるおそれもあったため、皮手袋を使用させなかった。
ロ 自動送材車式帯のこ盤の作業において、関係労働者を除き、送材車と歯との間に立ち入ることを禁止した。
ハ 研削といしを取り替えたが、といしが未使用のものであったので、試運転を行わせることなく作業をさせた。
ニ 食品加工用粉砕機から内容物を取り出すときに、機械を停止させないで、用具を使用して取り出させた。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)ロ ハ
(4)ロ ニ
(5)ハ ニ
このページは、2016年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2016年度(平成28年度) | 問03 | 難易度 | 機会による危険防止措置に関する知識問題である。ほぼ常識で正答できるレベルである。 |
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機械による危険防止措置 | 1 |
問3 機械による危険を防止するため事業者が講じた措置に関する次のイ~ニの記述のうち、労働安全衛生法令上、違反となるもののみの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
イ ボール盤の使用時に、切創のおそれがあったが、手が巻き込まれるおそれもあったため、皮手袋を使用させなかった。
ロ 自動送材車式帯のこ盤の作業において、関係労働者を除き、送材車と歯との間に立ち入ることを禁止した。
ハ 研削といしを取り替えたが、といしが未使用のものであったので、試運転を行わせることなく作業をさせた。
ニ 食品加工用粉砕機から内容物を取り出すときに、機械を停止させないで、用具を使用して取り出させた。
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)ロ ハ
(4)ロ ニ
(5)ハ ニ
正答(3)
【解説】
以下により、正答は(3)となる。
イ 違反とはならない。安衛則第111条には、「事業者は、ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が巻き込まれるおそれのあるときは、当該労働者に手袋を使用させてはならない」とされている。従って法令に適合しており、法違反とはならない。
【労働安全衛生規則】
(手袋の使用禁止)
第111条 事業者は、ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が巻き込まれるおそれのあるときは、当該労働者に手袋を使用させてはならない。
2 (略)
ロ 違反となる。関係のない労働者に対して、どのような場所であろうと立ち入り禁止の措置をとることが法違反になることはあり得ない。本肢は「関係労働者を除」くことが違反になるのではないかが問題となる。
安衛則第128条は「事業者は、自動送材車式帯のこ盤の送材車と歯との間に労働者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない」とあり、「関係労働者」を除いてよいとはされていない。従って、違反になる。
そもそも、自動送材車式帯のこ盤の送材車と歯との間は、機械の電源を完全に止めて、点検・修理を行うような場合を除き、労働者を立ち入らせて良いような場所ではない。
【労働安全衛生規則】
(立入禁止)
第128条 事業者は、自動送材車式帯のこ盤の送材車と歯との間に労働者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
2 (略)
ハ 違反となる。安衛則第118条は、「事業者は、研削といしについては、その日の作業を開始する前には1分間以上、研削といしを取り替えたときには3分間以上試運転をしなければならない」とある。未使用のものを除いてよいとはされていない。
【労働安全衛生規則】
(研削といしの試運転)
第118条 事業者は、研削といしについては、その日の作業を開始する前には一分間以上、研削といしを取り替えたときには三分間以上試運転をしなければならない。
ニ 違反とはならない。安衛則第130条の7は、「事業者は、第130条の5第1項の機械(内容物の取出しが自動的に行われる構造のものを除く。)から内容物を取り出すときは、当該機械の運転を停止し、又は労働者に用具等を使用させなければならない」とある。ここに、「第130条の5第1項の機械」とは食品加工用粉砕機又は食品加工用混合機をいう。
従って、問題文には「用具を使用して」とあるので、違反とはならない。
【労働安全衛生規則】
(粉砕機等への転落等における危険の防止)
第130条の5 事業者は、食品加工用粉砕機又は食品加工用混合機の開口部から転落することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、蓋、囲い、高さが九十センチメートル以上の柵等を設けなければならない。ただし、蓋、囲い、柵等を設けることが作業の性質上困難な場合において、墜落による危険のおそれに応じた性能を有する墜落制止用器具(以下「要求性能墜落制止用器具」という。)を使用させる等転落の危険を防止するための措置を講じたときは、この限りでない。
2 (以下略)
(粉砕機等から内容物を取り出す場合における危険の防止)
第130条の7 事業者は、第百三十条の五第一項の機械(内容物の取出しが自動的に行われる構造のものを除く。)から内容物を取り出すときは、当該機械の運転を停止し、又は労働者に用具等を使用させなければならない。
2 (略)