労働安全コンサルタント試験 2016年 産業安全一般 問17

機械設備の安全装置




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合格

 このページは、2016年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2016年度(平成28年度) 問17 難易度 機械設備の安全装置についての高度な知識問題である。難問の部類だろうか。
機械設備の安全装置

問17 機械設備の安全装置などに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)ガード用のインターロック回路の安全スイッチには、原則として、強制引き離し式のノーマルオープン型スイッチを用いる。

(2)システムを構成する要素が故障しても、安全側に誤る故障の頻度が危険側に誤る故障の頻度よりも著しく高い特性を非対称誤り特性という。

(3)安全確認型機械運転システムの安全装置では、例えば、危険区域に人が存在しないことが確認されたときに、運転許可の信号(ON信号)が発せられる。

(4)ユネイトな情報伝達とは、システムに安全情報が入力されない限り誤って運転許可信号を発生することがない情報伝達の形態をいう。

(5)工作機械の制御装置には、何らかの要因で停止した後に、不意に起動することによる災害を防止するため再起動防止回路を組み込む。

正答(1)

【解説】

(1)適切ではない。平成10年7月28日基発第464号「工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン」(以下本問において「ガイドライン」という。)の5-1によれば、ガード用のインターロック回路の安全スイッチは「原則として、強制引き離し式のノーマルクローズ型スイッチであること」とされている。

なお、これは、ガードが開いていることが確認された場合に機械を停止させるのではなく、ガードが閉じられていることが確認できないときは機械を停止させるための措置である。これにより、センサーが故障してガードが閉じられているか否かが不明な場合に機械が作動することを防止することができる。

(2)適切である。本肢に記載されているとおりである。

なお、ガイドライン2の(4)には、非対称誤り特性とは「システム又はこれを構成する要素が故障しても、安全側に誤る故障の頻度が危険側に誤る故障の頻度よりも著しく高い特性又は安全側にしか故障しない特性をいう」とされている。

(3)適切である。本肢に記載されているとおりである。

(4)適切である。本肢に記載されているとおりである。

なお、ガイドライン2の(5)には、ユネイトな情報伝達とは「システムに安全情報が入力されない限り誤って運転許可信号を発生することのない情報伝達の形態をいう」とされている。

(5)適切である。本肢に記載されているとおりである。

なお、ガイドライン5-2の(1)には、「原則として、自己保持回路として構成されており、起動時に自己保持回路の保持を開始し、停電時、トラブル発生時、安全装置の作動時及び非常停止装置の操作時等には、自己保持回路の保持を解除して再起動を防止するものであること」とされている。

このようにしないと、不具合が発生して機械が停止したとき、作業者が内部へ入り込んで修復を行おうとした場合に、機械が不意に作動して災害が発生するおそれがあるためである。

2018年10月27日執筆 2020年04月29日修正