労働安全コンサルタント試験 2016年 産業安全一般 問15

金属の各種の検査方法及び試験方法




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合格

 このページは、2016年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2016年度(平成28年度) 問15 難易度 金属の各種の検査方法及び試験方法に関する基本的な知識問題。確実に正答できるようにしたい。
金属の検査及び試験

問15 金属の各種の検査方法及び試験方法に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)ひずみゲージ法として現在広く用いられているのは、金属箔をパターニングした箔ひずみゲージを被はく測定物表面に貼付して、金属箔の長さや断面積の変化に対応した電気抵抗の変化からひずみを測定する手法である。

(2)物体の硬さ試験法では、一定荷重の下で圧子を押し込み、圧痕の深さの値又は荷重を圧痕の表面積で割った値のいずれかを求め、硬さの指標とするものが多い。

(3)浸透探傷試験では、前処理として被検査物のきず内部を有機溶剤などによって洗浄するが、純アルミニウム製の被検査物の表面に溶接スパッタが残っている場合、それに先立ってサンドブラストによる溶接スパッタの除去を行う。

(4)アコースティックエミッション法は、固体表面や内部において塑性変形やき裂進展などが生じたときに解放されるひずみエネルギーの一部が、弾性波として放出されるのを捉えるものである。

(5)引張試験で、破断時の永久ひずみを破断伸び、破断後の試験片最小断面部の断面積の初期断面からの減少割合を絞りといい、これらは材料の延性の指標とされている。

正答(3)

【解説】

(1)適切である。金属箔ひずみゲージは、絶縁体の薄膜に、導体である金属箔を、細い1本の線にしてジグザグに貼り付けたものである。このゲージを被測定物に貼り付けておくと、被測定物が変形すれば、ゲージに貼り付けられた金属箔も変形するので電気抵抗の値が変化する。この抵抗の変化によってひずみを測定するのが金属ひずみゲージの原理である。現在、この方法はひずみゲージ法として広く用いられており、本肢は正しい。

(2)適切である。現在、硬さ試験として用いられている方法には以下のものがある。ショア硬さ以外の試験はすべて、本肢にいう方法である。

ブリネル硬さ HB 試験片に一定荷重の下で球形の圧子を押し込み、できた圧痕の表面積を測定する
ビッカース硬さ HV 試験片に一定荷重の下でダイヤモンド製の四角錐の圧子(頂点)を押し込み、できたくぼみの表面積を測定する
ロックウェル硬さ HR 試験片に一定荷重の下でダイヤモンド製の円錐圧子、又は鋼(超硬合金)製の球形の圧子を押し込み、できたくぼみの深さを測定する
ショア硬さ HS 試験片におもりを落下させ、おもりが跳ね返った高さを測定する
ヌープ硬さ HK 試験片に一定荷重の下でダイヤモンド製の四角錐の圧子(頂点)を押し込み、できたくぼみの深さを測定する

(3)適切ではない。浸透探傷試験では、被試験物の表面に固形物の付着があると欠陥の検出はできない。そのため、グラインダなどによる研磨を行って除去することが必要である。しかし、アルミニウムのような柔らかいものにサンドブラスト処理を行うと、欠陥の開口部がふさがってしまうため、普通はこのようなことはしない。

(4)適切である。アコースティックエミッション法とは、材料が変形あるいは破壊する際に放出する音波をとらえて、破壊や変形を評価する手法である。大型圧力容器やパイプライン、化学プラントなどで実用化されている。

一方、許容沈下量とは、一般に、許容される基礎の沈下量と考えられている。この沈下量には、構造物を竣工した直後に起きる即時沈下量と長期間にわたって生じる圧密沈下量がある。

(5)適切である。本肢に書かれているとおりである。

2018年10月27日執筆 2020年04月28日修正