問13 次の事故のうち、労働安全衛生法令上、事故報告書を所轄労働基準監督署長に提出することが事業者に義務付けられていないものはどれか。
(1)事業場のれんが造りの煙突が倒壊したとき
(2)ゴンドラが作業中に逸走したとき
(3)最大荷重が10トンのフォークリフトが作業中に転倒したとき
(4)つり上げ荷重が1トンのクレーンのジブが作業中に折損したとき
(5)つり上げ荷重が0.5トンの移動式クレーンのワイヤロープが作業中に切断したとき
このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2015年度(平成27年度) | 問13 | 難易度 | 事故報告書の対象となる事故に関する知識問題。あまり出題される範囲ではないが正答しておきたい。 |
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事故報告書の対象 | 2 |
問13 次の事故のうち、労働安全衛生法令上、事故報告書を所轄労働基準監督署長に提出することが事業者に義務付けられていないものはどれか。
(1)事業場のれんが造りの煙突が倒壊したとき
(2)ゴンドラが作業中に逸走したとき
(3)最大荷重が10トンのフォークリフトが作業中に転倒したとき
(4)つり上げ荷重が1トンのクレーンのジブが作業中に折損したとき
(5)つり上げ荷重が0.5トンの移動式クレーンのワイヤロープが作業中に切断したとき
正答(3)
【解説】
労働監督署長への事故報告が必要となる事故は安衛則第96条に定められている。従って、この条文に各選択肢が含まれるかどうかによって、正しい肢か誤った肢かがわかることとなる。
ただ、条文を知らなくても、ある程度よく発生する事故で再発防止対策を検討するために行政が把握する必要性の低いものを選べば、正答できるのではないだろうか。
【労働安全衛生規則】
(事故報告)
第96条 事業者は、次の場合は、遅滞なく、様式第22号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
一 事業場又はその附属建設物内で、次の事故が発生したとき
イ 火災又は爆発の事故(次号の事故を除く。)
ロ 遠心機械、研削といしその他高速回転体の破裂の事故
ハ 機械集材装置、巻上げ機又は索道の鎖又は索の切断の事故
ニ 建設物、附属建設物又は機械集材装置、煙突、高架そう等の倒壊の事故 【選択肢(1)】
二 令第一条第三号のボイラー(小型ボイラーを除く。)の破裂、煙道ガスの爆発又はこれらに準ずる事故が発生したとき
三 小型ボイラー、令第一条第五号の第一種圧力容器及び同条第七号の第二種圧力容器の破裂の事故が発生したとき
四 クレーン(クレーン則第二条第一号に掲げるクレーンを除く。)の次の事故が発生したとき
イ 逸走、倒壊、落下又はジブの折損 【選択肢(4)】
ロ ワイヤロープ又はつりチェーンの切断
五 移動式クレーン(クレーン則第二条第一号に掲げる移動式クレーンを除く。)の次の事故が発生したとき
イ 転倒、倒壊又はジブの折損
ロ ワイヤロープ又はつりチェーンの切断 【選択肢(5)】
六 デリック(クレーン則第二条第一号に掲げるデリックを除く。)の次の事故が発生したとき
イ 倒壊又はブームの折損
ロ ワイヤロープの切断
七 エレベーター(クレーン則第二条第二号及び第四号に掲げるエレベーターを除く。)の次の事故が発生したとき
イ 昇降路等の倒壊又は搬器の墜落
ロ ワイヤロープの切断
八 建設用リフト(クレーン則第二条第二号及び第三号に掲げる建設用リフトを除く。)の次の事故が発生したとき
イ 昇降路等の倒壊又は搬器の墜落
ロ ワイヤロープの切断
九 令第一条第九号の簡易リフト(クレーン則第二条第二号に掲げる簡易リフトを除く。)の次の事故が発生したとき
イ 搬器の墜落
ロ ワイヤロープ又はつりチェーンの切断
十 ゴンドラの次の事故が発生したとき
イ 逸走、転倒、落下又はアームの折損 【選択肢(2)】
ロ ワイヤロープの切断
(1)義務付けられている。安衛則第96条第1項第1号ニにより正しい。れんが造りであろうがなかろうが煙突の倒壊は事故報告の対象となる。
(2)義務付けられている。安衛則第96条第1項第10号イにより正しい。
(3)義務付けられていない。安衛則第96条第1項にこのような規定はない。フォークリフトは安定が悪いためよく転倒することがある。いちいち報告させる必要はないと考えられたのであろう。
なお、転倒事故で労働者の休業又は死亡災害となれば、死傷病報告を提出しなければならないことは当然である。
(4)義務付けられている。安衛則第96条第1項第4号イにより正しい。なお、」クレーン則第二条第一号に掲げるクレーン」とはつり上げ荷重が0.5トン未満のものであり、本肢の1トンのクレーンは適用除外とならない。
(5)義務付けられている。安衛則第96条第1項第5号ロにより正しい。なお、「クレーン則第二条第一号に掲げる移動式クレーン」とはつり上げ荷重が0.5トン未満のものであり、本肢の0.5トンの移動式クレーンは適用除外とならない。