問12 事業者が行わなければならない定期自主検査に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)小型ボイラーについては、1年を超えない期間ごとに行う定期自主検査において、ボイラー本体、燃焼装置、自動制御装置及び附属品の損傷又は異常の有無について検査を行わなければならない。
(2)クレーンについては、1か月以内ごとに行う定期自主検査において、ワイヤロープ及びつりチェーンの損傷の有無について検査を行わなければならない。
(3)動力により駆動される遠心機械については、1か月以内ごとに行う定期自主検査において、リミットスイッチ、リレー、配線その他電気系統の異常の有無について検査を行わなければならない。
(4)高所作業車については、1 年以内ごとに行う定期自主検査において、ブーム、昇降装置、屈折装置、平衡装置、作業床その他作業装置の異常の有無について検査を行わなければならない。
(5)車両系建設機械については、1年以内ごとに行う定期自主検査において、油圧ポンプ、油圧モーター、シリンダー、安全弁その他油圧装置の異常の有無について検査を行わなければならない。
このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2015年度(平成27年度) | 問12 | 難易度 | 定期自主検査に関する詳細な知識問題。難問の部類だろう。 |
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定期自主検査 | 5 |
問12 事業者が行わなければならない定期自主検査に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)小型ボイラーについては、1年を超えない期間ごとに行う定期自主検査において、ボイラー本体、燃焼装置、自動制御装置及び附属品の損傷又は異常の有無について検査を行わなければならない。
(2)クレーンについては、1か月以内ごとに行う定期自主検査において、ワイヤロープ及びつりチェーンの損傷の有無について検査を行わなければならない。
(3)動力により駆動される遠心機械については、1か月以内ごとに行う定期自主検査において、リミットスイッチ、リレー、配線その他電気系統の異常の有無について検査を行わなければならない。
(4)高所作業車については、1 年以内ごとに行う定期自主検査において、ブーム、昇降装置、屈折装置、平衡装置、作業床その他作業装置の異常の有無について検査を行わなければならない。
(5)車両系建設機械については、1年以内ごとに行う定期自主検査において、油圧ポンプ、油圧モーター、シリンダー、安全弁その他油圧装置の異常の有無について検査を行わなければならない。
正答(3)
【解説】
本問は、いわゆる条文問題であるが、かなり細かいことを聞いている。現実にこれらの条文を記憶していて正答できたという受験生は、検査業者の技術者でもない限り、ほとんどいなかったのではなかろうか。
最も自主点検の必要性の低そうなものを選ぶということになろうが、(3)のリミットスイッチとリレーその他電気系統の異常の有無について、1月ごとに検査をする必要性が低いと気付けるかどうかがポイントだろうか。いずれにせよ、正答率はかなり低かったのではないかと思える。
コンサルタントの能力を図るための問題という観点から、適切かという疑問を強く感じるのは私だけだろうか。
(1)正しい。ボイラー及び圧力容器安全規則第94条第1項に、「事業者は、小型ボイラー又は小型圧力容器について、その使用を開始した後、1年以内ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行なわなければならない」とされており、第1号に「小型ボイラーにあっては、ボイラー本体、燃焼装置、自動制御装置及び附属品の損傷又は異常の有無」が定められている。
なお、但書は、定期自主検査を行わない場合のことである。本肢は、定期自主検査を行う場合の検査項目を問うているので、本肢の正誤に影響は与えない。以下、他の肢についても同様である。
【ボイラー及び圧力容器安全規則】
(定期自主検査)
第94条 事業者は、小型ボイラー又は小型圧力容器について、その使用を開始した後、1年以内ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行なわなければならない。ただし、1年をこえる期間使用しない小型ボイラー又は小型圧力容器の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一 小型ボイラーにあっては、ボイラー本体、燃焼装置、自動制御装置及び附属品の損傷又は異常の有無
二 (略)
(2)正しい。クレーン等安全規則第35条第1項に、1月以内ごとに行うクレーンの定期自主検査について定められているが、この中で「ワイヤロープ及びつりチェーンの損傷の有無」について検査を行わなければならないこととされている。
【クレーン等安全規則】
第35条 事業者は、クレーンについて、1月以内ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行なわなければならない。ただし、1月をこえる期間使用しないクレーンの当該使用しない期間においては、この限りでない。
一 (略)
二 ワイヤロープ及びつりチェーンの損傷の有無
三 (以下略)
(3)誤り。動力により駆動される遠心機械の定期自主検査は、安衛則第141条に定められているが、定期自主検査を1か月以内ごとに行うことは義務付けられていない。なお、1年以内ごとに行う定期自主検査は義務付けられているが、リミットスイッチ、リレー、配線その他電気系統の異常の有無についての検査は義務付けられていない。
なお、動力プレスについては、、1年以内ごとに行う定期自主検査において、リミットスイッチ、リレーその他電気系統の異常の有無についての検査が義務付けられている。
【労働安全衛生規則】
(定期自主検査)
第141条 事業者は、動力により駆動される遠心機械については、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行なわなければならない。ただし、一年をこえる期間使用しない遠心機械の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一 回転体の異常の有無
二 主軸の軸受部の異常の有無
三 ブレーキの異常の有無
四 外わくの異常の有無
五 前各号に掲げる部分のボルトのゆるみの有無
2 (以下略)
(4)正しい。安衛則第194条の23に、高所作業車について、1年以内ごとに行う定期自主検査について定められており、検査を実施すべき事項として「ブーム、昇降装置、屈折装置、平衡装置、作業床その他作業装置の異常の有無」が定められている。
【労働安全衛生規則】
(定期自主検査)
第194条の23 事業者は、高所作業車については、1年以内ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、1年を超える期間使用しない高所作業車の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一~五 (略)
六 ブーム、昇降装置、屈折装置、平衡装置、作業床その他作業装置の異常の有無
七 (以下略)
(5)正しい。安衛則第167条に、車両系建設機械について、1年以内ごとに行う定期自主検査について定められており、検査を実施すべき事項として「油圧ポンプ、油圧モーター、シリンダー、安全弁その他油圧装置の異常の有無」が定められている。
【労働安全衛生規則】
(定期自主検査)
第167条 事業者は、車両系建設機械については、1年以内ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、1年を超える期間使用しない車両系建設機械の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一~六 (略)
七 油圧ポンプ、油圧モーター、シリンダー、安全弁その他油圧装置の異常の有無
八 (以下略)