問30 厚生労働省の「機械の包括的な安全基準に関する指針」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)安全上重要な機構や制御システムにおける非対称故障モードの構成品は、複数の故障モードが存在する部品や回路において、特定の故障モードの発生する確率が他のものよりも極端に高くなるような特性を部品や回路に持たせて、安全側に(一般的には機械が停止する側に)故障する確率を高くした構成品である。
(2)安全上重要な機構や制御システムの故障の確率を低くするための冗長化は、複数の回路を並列的に構成することにより、一部に故障が生じても機能を維持する構造である。
(3)安全防護は、安全防護領域について、固定式ガード、インターロック付き可動式ガード等のガード又は光線式安全装置、両手操作制御装置等の保護装置を設けることにより行う。
(4)本質的安全設計方策には、安全防護、付加保護方策、使用上の情報の提供が含まれる。
(5)誤操作による危害を防止するため、操作装置等は、安全防護を行うべき領域内に設けることが必要な非常停止装置等のものを除き、当該領域の外に設ける。
このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2015年度(平成27年度) | 問30 | 難易度 | これは機械設備の安全に関する一般的な知識があれば、正答できる。確実に正答しなければならない。 |
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機械の包括的な安全基準 | 2 |
問30 厚生労働省の「機械の包括的な安全基準に関する指針」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)安全上重要な機構や制御システムにおける非対称故障モードの構成品は、複数の故障モードが存在する部品や回路において、特定の故障モードの発生する確率が他のものよりも極端に高くなるような特性を部品や回路に持たせて、安全側に(一般的には機械が停止する側に)故障する確率を高くした構成品である。
(2)安全上重要な機構や制御システムの故障の確率を低くするための冗長化は、複数の回路を並列的に構成することにより、一部に故障が生じても機能を維持する構造である。
(3)安全防護は、安全防護領域について、固定式ガード、インターロック付き可動式ガード等のガード又は光線式安全装置、両手操作制御装置等の保護装置を設けることにより行う。
(4)本質的安全設計方策には、安全防護、付加保護方策、使用上の情報の提供が含まれる。
(5)誤操作による危害を防止するため、操作装置等は、安全防護を行うべき領域内に設けることが必要な非常停止装置等のものを除き、当該領域の外に設ける。
正答(4)
【解説】
本問は、いわゆる知識問題ではあるが、機械の包括的な安全基準に関する指針の内容を詳しく知らなくても、本質安全化、工学的対策、管理的対策の意味が分かっていれば、正答できる問題である。
(1)適切である。平成19年7月31日基安安発第0731004号「「機械の包括的な安全基準に関する指針」の解説等について」(以下「解説等」という。)によれば、「非対称故障モードの構成品」とは、複数の故障モードがある部品や回路において、特定の故障モードの発生確率が他より極端に高くなるような特性で、部品や回路にこの特性を持たせることにより、安全側に(一般的には機械が停止する側に)故障する確率を高くするようにした構成品であることとされている。いわゆるフェールセーフのことである。
(2)適切である。解説等によれば、「冗長化」とは、複数の回路を並列的に設けることにより、一部に故障が生じても機能を維持する構造としたものであることとされている。従って、本肢は適切でないとはいえない。
なお、解説等に「ただし、自動監視又は点検間隔の短い定期的な点検により故障を可能な限り検出できるようにする必要があること。また、冗長化には、設計、技術、原理等の異なる複数の系を設けて、同一原因による故障を避けるようにする異種冗長化構成があること」とされていることもチェックしておくこと。
(3)適切である。「機械の包括的な安全基準に関する指針」別表第3に「安全防護は、安全防護領域について、固定式ガード、インターロック付き可動式ガード等のガード又は光線式安全装置、両手操作制御装置等の保護装置を設けることにより行うこと」とされている。
(4)適切ではない。本質安全化とは、危険有害性そのものをなくしたり、危険有害性の程度を減じたり、労働者と完全に隔離したりすることをいう。安全防護と付加保護方策は工学的対策であり、使用上の情報の提供は管理的対策である。
なお、解説等には、「安全防護は、別表第2の本質的安全設計方策によっては合理的に除去できない又はリスクを低減できない危険性又は有害性に対して、リスクの低減のために実施するものであること」とされている。
(5)適切である。機械の包括的な安全基準に関する指針別表第2の14に「誤操作による危害を防止するため、操作装置等については、次に定める措置を講じること」とあり、その措置として、(1)のシに「安全防護を行うべき領域(以下「安全防護領域」という。)内に設けることが必要な非常停止装置、教示ペンダント等の操作装置を除き、当該領域の外に設けられていること」とされている。