労働安全コンサルタント試験 2014年 産業安全関係法令 問15

潜函工法による掘削の作業




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 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問15 難易度 潜函工法による掘削の作業に関する基本的な知識問題。確実に正答できなければならない。
潜函工法による掘削の作業

問15 ゲージ圧力が最高0.2MPaとなる潜函工法による掘削の作業を行う建設業の事業者から、労働安全コンサルタントに安全診断の依頼があり、安全診断を行った結果、事業場において次のような状況がみられた。この状況のうち、労働安全衛生法令上、違反となるものはどれか。

(1)高圧室内作業主任者免許を有する者のうちから高圧室内作業主任者を選任していた。

(2)当該作業のゲージ圧力が0.1MPaとなる時までに、救護に関する技術的事項を管理する者を、法令に基づく資格を有する者のうちから選任していた。

(3)労働者の救護に関する訓練について、当該作業のゲージ圧力が0.1MPaとなる時までに1回行い、その後1年以内ごとに1回行っていた。

(4)当該作業のゲージ圧力が0.1MPa以上となった潜函の内部において、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を使用して交流アーク溶接の作業を行っていた。

(5)潜函の急激な沈下による労働者の危険を防止するため、刃口から天井又ははりまでの高さを1.8m以上としており、また、刃口の下方を50cm以上掘り下げないようにしていた。

正答(4)

【解説】

(1)違反とはならない。潜函工法による掘削の作業については安衛法第14条(安衛令第6条(第一号))の規定により、高圧室内作業主任者を選任しなければならず、その資格者は安衛則第16条第1項(別表第一)の規定により高圧室内作業主任者免許を有する者のうちから選ぶ。本肢には特に違反はない。

【労働安全衛生法】

(作業主任者)

第14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 法第十四条の政令で定める作業は、次のとおりとする。

 高圧室内作業(潜函工法その他の圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室又はシヤフトの内部において行う作業に限る。)

二~二十三 (略)

【労働安全衛生規則】

(作業主任者の選任)

第16条 法第十四条の規定による作業主任者の選任は、別表第一の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の中欄に掲げる資格を有する者のうちから行なうものとし、その作業主任者の名称は、同表の下欄に掲げるとおりとする。

 (略)

別表第1 (第十六条、第十七条関係)

作業の区分 資格を有する者 名称
令第六条第一号の作業 高圧室内作業主任者免許を受けた者 高圧室内作業主任者
(略) (略) (略)

(2)違反とはならない。安衛法第25条の2の規定(安衛令第9条の2第2号)の規定により、ゲージ圧力が0.1MPaとなる圧気工法による作業を行う事業者は、救護に関する技術的事項を管理する者を、法令に基づく資格(安衛則第28条の8)を有する者のうちから選任しなければならない。

そして、選任の時期は安衛則第24条の7第1項(第一号)の規定により、作業のゲージ圧力が0.1MPaとなる時まででよい。

【労働安全衛生法】

第25条の2 建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で、政令で定めるものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止するため、次の措置を講じなければならない。

一~三 (略)

 前項に規定する事業者は、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号の措置のうち技術的事項を管理する者を選任し、その者に当該技術的事項を管理させなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(法第二十五条の二第一項の政令で定める仕事)

第9条の2 法第二十五条の二第一項の政令で定める仕事は、次のとおりとする。

 (略)

 圧気工法による作業を行う仕事で、ゲージ圧力〇・一メガパスカル以上で行うこととなるもの

【労働安全衛生規則】

(救護に関する技術的事項を管理する者の選任)

第24条の7 法第二十五条の二第二項の規定による救護に関する技術的事項を管理する者の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。

 第二十四条の三第二項各号の区分に応じ、当該各号に掲げる時までに選任すること。

 (略)

 (略)

(救護に関する技術的事項を管理する者の資格)

第24条の8  法第二十五条の二第二項の厚生労働省令で定める資格を有する者は、次の各号の区分に応じ、当該各号に掲げる者で、厚生労働大臣の定める研修を修了したものとする。

一及び二 (略)

(3)違反とはならない。秋工法における労働者の救護に関する訓練は、安衛則第24条の4により、ゲージ圧力が0.1MPaとなる時までに1回行い、その後1年以内ごとに1回行えばよい。

【労働安全衛生規則】

【労働安全衛生法施行令】

(法第二十五条の二第一項の政令で定める仕事)

第9条の2 (柱書 略)

 (略)

 圧気工法による作業を行う仕事で、ゲージ圧力〇・一メガパスカル以上で行うこととなるもの

(救護に関し必要な機械等)

第24条の3 (第1項 略)

 (柱書 略)

 (略)

 令第九条の二第二号に掲げる仕事 ゲージ圧力が〇・一メガパスカルの圧気工法による作業を行うこととなる時

 (略)

(救護に関する訓練)

第24条の4 事業者は、次に掲げる事項についての訓練を行わなければならない。

一~三 (略)

 事業者は、前項の訓練については、前条第二項各号の区分に応じ、当該各号に掲げる時までに一回、及びその後一年以内ごとに一回行わなければならない。

 (略)

(4)違反となる。高圧則第25条の2第2項により、ゲージ圧力が0.1MPa以上となった潜函の内部において、交流アーク溶接の作業を行ってはならない。

【高気圧作業安全衛生規則】

(火傷等の防止)

第25条の2 (第1項 略)

 事業者は、高圧室内業務を行うときは、潜かん、潜鐘、圧気シールド等の内部において溶接、溶断その他の火気又はアークを使用する作業(以下この条において「溶接等の作業」という。)を行つてはならない。ただし、作業の性質上やむをえない場合であつて圧力〇・一メガパスカル未満の気圧下の場所において溶接等の作業を行うとき、又は厚生労働大臣が定める場所において溶接等の作業を行うときは、この限りでない。

 (略)

(5)違反とはならない。刃口から天井又ははりまでの高さを1.8m以上としたことは安衛則第376条に適合しており、また、刃口の下方を50cm以上掘り下げないようにしていたことは高圧則第25条の3に適合している。

【労働安全衛生規則】

(沈下関係図等)

第376条 事業者は、潜函又は井筒の内部で明り掘削の作業を行うときは、潜函又は井筒の急激な沈下による労働者の危険を防止するため、次の措置を講じなければならない。

 (略)

 刃口から天井又ははりまでの高さは、一・八メートル以上とすること。

【高気圧作業安全衛生規則】

(刃口の下方の掘下げの制限)

第25条の3 事業者は、潜函の急激な沈下による高圧室内作業者の危険を防止するため、潜函の刃口の下方を五十センチメートル以上掘り下げてはならない。

2020年06月07日執筆

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