労働安全コンサルタント試験 2014年 産業安全関係法令 問14

作業主任者の選任等




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 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問14 難易度 作業主任者の選任等に関する基本的な知識問題。確実に正答できなければならない。
作業主任者

問14 作業主任者に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。

(1)事業者は、木材加工用機械を5台以上有する事業場において行う当該機械による作業については、木材加工用機械作業主任者免許を有する者の中から作業主任者を選任しなければならない。

(2)事業者は、動力により駆動されるプレス機械を5台以上有する事業場において行う当該機械による作業について、プレス機械作業主任者を選任することができないやむを得ない事由がある場合で、所轄都道府県労働局長の許可を受けたときは、当該作業主任者の資格を有しないが、一定の能力を有する労働者に作業主任者の職務を行わせることができる。

(3)事業者は、ずい道等の掘削の作業を同一の場所で行う場合において、当該場所が広く、かつ、従事労働者が多数であっても、当該作業に係る作業主任者を2人以上選任してはならない。

(4)事業者は、作業主任者を選任したときは、所轄労働基準監督署長に選任報告書を提出しなければならない。

(5)事業者は、作業主任者を選任したときは、当該作業主任者の氏名及びその者に行わせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。

正答(5)

【解説】

(1)誤り。安衛法第 14 条(安衛令第6条(第六号))により、原則として、木材加工用機械を5台以上有する事業場において行う当該機械による作業については、作業主任者を選任しなければならない。しかし、木材加工用機械作業主任者となれる資格は、安衛則第 16 条第1項(及び別表第一)の規定により、免許ではなく技能講習の修了である。

また、安衛令第6条第六号には例外規定があり、選任義務があると言い切っている本肢は、その意味からも必ずしも正しくはない。

【労働安全衛生法】

(作業主任者)

第14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 法第14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。

一~五の二 (略)

 木材加工用機械(丸のこ盤、帯のこ盤、かんな盤、面取り盤及びルーターに限るものとし、携帯用のものを除く。)を5台以上(当該機械のうちに自動送材車式帯のこ盤が含まれている場合には、3台以上)有する事業場において行う当該機械による作業

七~二十三 (略)

【労働安全衛生規則】

(作業主任者の選任)

第16条 法第14条の規定による作業主任者の選任は、別表第一の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の中欄に掲げる資格を有する者のうちから行なうものとし、その作業主任者の名称は、同表の下欄に掲げるとおりとする。

 (略)

(木材加工用機械作業主任者の選任)

第129条 事業者は、令第6条第六号の作業については、木材加工用機械作業主任者技能講習を修了した者のうちから、木材加工用機械作業主任者を選任しなければならない。

別表第一 (第十六条、第十七条関係)

作業の区分 資格を有する者 名称
(略) (略) (略)
令第6条第六号の作業 木材加工用機械作業主任者技能講習を修了した者 木材加工用機械作業主任者
(略) (略) (略)

(2)誤り。安衛法第 14 条(安衛令第6条(第七号))により、動力により駆動されるプレス機械を5台以上有する事業場において行うその動力プレスによる作業については、プレス機械作業主任者を選任しなければならない。本肢のような例外規定はない。

作業主任者を選任できないやむを得ない理由などあるわけがない。資格者がいないことが、やむを得ない理由だなどとは言えないのである。そのようなことを言い出せば、すべての資格について同じことがいえよう。資格者がいないという理由で都道府県労働局長から選任しない許可を与えられるなら、誰も資格を取ろうなどとは考えないだろう。資格制度が崩壊してしまう(※)

※ 一般に作業主任者の技能講習は、数日程度のものがほとんどである。しかも、修了試験の合格率は、ほぼ 100 %に近く、仮に不合格になったとしても、ほとんどの登録教習機関は補講を行った上で再試験をさせるのである。作業主任者の資格者がいないというのは、その意味でもやむを得ない理由などとはいえない。

有資格者がいなければ(技能講習は修了試験に合格しなければ修了できない。)、動力プレスを4台以下にするか、仕事をしてはならないのである(※)

※ 動力プレスを5台以上保有していても、仕事をしなければ、作業主任者を選任する必要はない。

【労働安全衛生法】

(作業主任者)

第14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 法第14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。

一~六 (略)

 動力により駆動されるプレス機械を五台以上有する事業場において行う当該機械による作業

八~二十三 (略)

【労働安全衛生規則】

(作業主任者の選任)

第16条 法第14条の規定による作業主任者の選任は、別表第一の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の中欄に掲げる資格を有する者のうちから行なうものとし、その作業主任者の名称は、同表の下欄に掲げるとおりとする。

 (略)

(プレス機械作業主任者の選任)

第133条 事業者は、令第6条第七号の作業については、プレス機械作業主任者技能講習を修了した者のうちから、プレス機械作業主任者を選任しなければならない。

別表第一 (第十六条、第十七条関係)

作業の区分 資格を有する者 名称
(略) (略) (略)
令第6条第七号の作業 プレス機械作業主任者技能講習を修了した者 プレス機械作業主任者
(略) (略) (略)

(3)誤り。ひとつの作業で作業主任者を2人以上選任してはならないとする規定はない。なお、安衛則第 17 条には、複数の作業主任者を選任することを前提とする規定がある。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 法第14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。

一~十 (略)

十の二 ずい道等(ずい道及びたて坑以外の坑(採石法(昭和25年法律第291号)第2条に規定する岩石の採取のためのものを除く。)をいう。以下同じ。)の掘削の作業(掘削用機械を用いて行う掘削の作業のうち労働者が切羽に近接することなく行うものを除く。)又はこれに伴うずり積み、ずい道支保工(ずい道等における落盤、肌落ち等を防止するための支保工をいう。)の組立て、ロツクボルトの取付け若しくはコンクリート等の吹付けの作業

十の三~二十三 (略)

【労働安全衛生規則】

(作業主任者の職務の分担)

第17条 事業者は、別表第一の上欄に掲げる1の作業を同一の場所で行なう場合において、当該作業に係る作業主任者を2人以上選任したときは、それぞれの作業主任者の職務の分担を定めなければならない。

(ずい道等の掘削等作業主任者の選任)

第383条の2 事業者は、令第6条第十号の二の作業については、ずい道等の掘削等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、ずい道等の掘削等作業主任者を選任しなければならない。

別表第一 (第十六条、第十七条関係)

作業の区分 資格を有する者 名称
(略) (略) (略)
令第6条第十号の二の作業 ずい道等の掘削等作業主任者技能講習を修了した者 ずい道等の掘削等作業主任者
(略) (略) (略)

(4)誤り。作業主任者を選任したときは、所轄労働基準監督署長に選任報告書を提出しなければならないという規定はない。このことは覚えておく必要がある。

そもそも、作業主任者は、作業の都度、作業ごとに選任しなければならない。作業主任者を選任するたびに、いちいち所轄労働基準監督署長に選任報告書を提出させるわけがなかろう。

(5)正しい。安衛則第 18 条の規定により、作業主任者を選任したときは、その作業主任者の氏名及びその者に行わせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。

【労働安全衛生規則】

(作業主任者の氏名等の周知)

第18条 事業者は、作業主任者を選任したときは、当該作業主任者の氏名及びその者に行なわせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。