問2 一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせている元方事業者の安全衛生管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)造船業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所において作業を行う場合で、これらの労働者の数が常時 50 人以上であるとき、統括安全衛生責任者を選任する必要があるが、元方安全衛生管理者を選任する必要はない。
(2)鉄鋼業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所において作業を行う場合、統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者のいずれも選任する必要はない。
(3)建設業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所において作業を行う場合で、これらの労働者の数が常時 50 人以上であるとき、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、店社安全衛生管理者を選任する必要がある。
(4)ずい道の建設の仕事を行う元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所において作業を行う場合で、これらの労働者の数が常時 30 人未満であるとき、統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者のいずれも選任する必要はない。
(5)造船業に属する事業の仕事を行う元方事業者が統括安全衛生責任者を選任しなければならない場合において、当該元方事業者以外の請負人で当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任する必要がある。
このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2014年度(平成26年度) | 問02 | 難易度 | 安全衛生管理体制は基本中の基本。本問は正答できる必要がある。 |
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元方事業者の義務 | 2 |
問2 一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせている元方事業者の安全衛生管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)造船業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所において作業を行う場合で、これらの労働者の数が常時 50 人以上であるとき、統括安全衛生責任者を選任する必要があるが、元方安全衛生管理者を選任する必要はない。
(2)鉄鋼業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所において作業を行う場合、統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者のいずれも選任する必要はない。
(3)建設業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所において作業を行う場合で、これらの労働者の数が常時 50 人以上であるとき、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、店社安全衛生管理者を選任する必要がある。
(4)ずい道の建設の仕事を行う元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所において作業を行う場合で、これらの労働者の数が常時 30 人未満であるとき、統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者のいずれも選任する必要はない。
(5)造船業に属する事業の仕事を行う元方事業者が統括安全衛生責任者を選任しなければならない場合において、当該元方事業者以外の請負人で当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任する必要がある。
正答(3)
【解説】
(1)正しい。統括安全衛生責任者の選任は、安衛法第15条によって義務付けられている。その選任が義務付けられている者は、特定元方事業者であるが、労働者の数が政令で定める数未満のものは除かれている。
そして、特定元方事業者には安衛令第7条第1項により造船業が含まれる。また、政令で定める数は同条第2項に規定があるが、造船業は第二号に50名と定められている。従って、本肢の事業者は統括安全衛生責任者を選任する必要がある。
次に、元方安全衛生管理者の選任は、安衛法第15条の2に義務規定がある。この義務があるのは「建設業その他政令で定める業種に属する事業を行うもの」であるが、政令にはその定めは存在していない。従って、造船業である本肢の事業者は元方安全衛生管理者を選任する義務はない。
【労働安全衛生法】
(統括安全衛生責任者)
第15条 事業者で、一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(当該事業の仕事の一部を請け負わせる契約が二以上あるため、その者が二以上あることとなるときは、当該請負契約のうちの最も先次の請負契約における注文者とする。以下「元方事業者」という。)のうち、建設業その他政令で定める業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行う者(以下「特定元方事業者」という。)は、その労働者及びその請負人(元方事業者の当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。以下「関係請負人」という。)の労働者が当該場所において作業を行うときは、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、第三十条第一項各号の事項を統括管理させなければならない。ただし、これらの労働者の数が政令で定める数未満であるときは、この限りでない。
2~5 (略)
(元方安全衛生管理者)
第15条の2 前条第一項又は第三項の規定により統括安全衛生責任者を選任した事業者で、建設業その他政令で定める業種に属する事業を行うものは、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、元方安全衛生管理者を選任し、その者に第三十条第一項各号の事項のうち技術的事項を管理させなければならない。
2 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(統括安全衛生責任者を選任すべき業種等)
第7条 法第十五条第一項の政令で定める業種は、造船業とする。
2 法第十五条第一項ただし書及び第三項の政令で定める労働者の数は、次の各号に掲げる仕事の区分に応じ、当該各号に定める数とする。
一 ずい道等の建設の仕事、橋梁の建設の仕事(作業場所が狭いこと等により安全な作業の遂行が損なわれるおそれのある場所として厚生労働省令で定める場所において行われるものに限る。)又は圧気工法による作業を行う仕事 常時三十人
二 前号に掲げる仕事以外の仕事 常時五十人
(2)正しい。(1)の解説で示したように、統括安全衛生責任者を選任しなければならないのは特定元方事業者である。特定元方事業者とは建設業と造船業である元方事業者である。また、元方安全衛生管理者の選任義務があるのは、統括安全衛生責任者を選任する義務のあり事業場のうち建設業の事業者である。従って、鉄鋼業はいずれの選任義務も課せられていない。
(3)誤り。店社安全衛生管理者の選任は、安衛法第15条の3に義務規定がある。そしてこの義務は、建設業に属する事業の元方事業者に課せられている。しかし、同条第1項カッコ書きにより「統括安全衛生責任者を選任しなければならない場所」は除かれている。
建設業に属する事業の元方事業者で、労働者の数が常時 50 人以上であるときは、統括安全衛生責任者を選任しなければならない。従って、店社安全衛生管理者を選任する義務はない。
【労働安全衛生法】
(店社安全衛生管理者)
第15条の3 建設業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が一の場所(これらの労働者の数が厚生労働省令で定める数未満である場所及び第十五条第一項又は第三項の規定により統括安全衛生責任者を選任しなければならない場所を除く。)において作業を行うときは、当該場所において行われる仕事に係る請負契約を締結している事業場ごとに、これらの労働者の作業が同一の場所で行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、店社安全衛生管理者を選任し、その者に、当該事業場で締結している当該請負契約に係る仕事を行う場所における第三十条第一項各号の事項を担当する者に対する指導その他厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
2 (略)
(4)正しい。(1)の解説に示したが、ずい道の建設の仕事を行う元方事業者は、安衛令第7条第2項(第1号)によって関係労働者数が30名未満の場合には総括安全衛生責任者を選任する義務は課せられていない。総括安全衛生責任者を選任する義務がなければ、元方安全衛生管理者の選任義務もないので、本肢の場合、統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者のいずれも選任する義務はない。
(5)正しい。安衛法第16条第1項の規定により正しい。
【労働安全衛生法】
(安全衛生責任者)
第16条 第十五条第一項又は第三項の場合において、これらの規定により統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
2 (略)