労働安全コンサルタント試験 2014年 産業安全一般 問28

機械譲渡者危険性等通知指針




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合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問28 難易度 機械譲渡者危険性通知指針に関するやや詳細な知識問題。合否を分けるレベルか。正答したい。
機械譲渡者通知指針

問28 厚生労働省の「機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知の促進に関する指針」に関する機械譲渡者等から相手方事業者に提供される残留リスクの情報に係る次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)残留リスク一覧には、想定される残留リスクの情報のすべてを記載するようにすることとされている。

(2)残留リスクマップには、機械の全体図を示し、これに想定される残留リスクの情報のすべてを記載するようにすることとされている。

(3)残留リスクマップの機械の全体図には、残留リスク一覧に記載された各情報と関連付ける記号等を記載するようにすることとされている。

(4)機械上の箇所が特定されない残留リスクは、機械の全体図の近傍に別枠を設けて記載するようにすることとされている。

(5)残留リスクマップの中に残留リスク一覧の内容を記載する場合であっても、残留リスク一覧を別途通知する必要があるとされている。

正答(5)

【解説】

本問は問題文に示されているように、厚生労働省の「機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知の促進に関する指針」(以下、本問の解説において「指針」という。)についての設問である。

実際の出題は、指針に関連する平成24年3月29日基発0329第8号「機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知の促進に関する指針の適用について」(以下、本問の解説において「通達」という。)の第2の2から出されている。

【労働安全衛生規則】

(機械に関する危険性等の通知)

第24条の13 労働者に危険を及ぼし、又は労働者の健康障害をその使用により生ずるおそれのある機械(以下単に「機械」という。)を譲渡し、又は貸与する者(次項において「機械譲渡者等」という。)は、文書の交付等により当該機械に関する次に掲げる事項を、当該機械の譲渡又は貸与を受ける相手方の事業者(次項において「相手方事業者」という。)に通知するよう努めなければならない。

 型式、製造番号その他の機械を特定するために必要な事項

 機械のうち、労働者に危険を及ぼし、又は労働者の健康障害をその使用により生ずるおそれのある箇所に関する事項

 機械に係る作業のうち、前号の箇所に起因する危険又は健康障害を生ずるおそれのある作業に関する事項

 前号の作業ごとに生ずるおそれのある危険又は健康障害のうち最も重大なものに関する事項

 前各号に掲げるもののほか、その他参考となる事項

 厚生労働大臣は、相手方事業者の法第二十八条の二第一項の調査及び同項の措置の適切かつ有効な実施を図ることを目的として機械譲渡者等が行う前項の通知を促進するため必要な指針を公表することができる。

【機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知の促進に関する指針】

(機械に関する危険性等の通知)

第3条 (第1項 略)

 機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知は、則第二十四条の十三第一項各号に掲げる事項について、次に掲げる方法により当該事項を記載した文書を相手方事業者に交付することにより行うものとする。

 残留リスクマップ(当該機械の絵又は図を用いて則第二十四条の十三第一項第一号の事項のほか、同項第二号から第五号までの事項の全部又は一部を簡潔に記載し、当該機械に関する危険性等の情報の全体像を示したものをいう。)

 残留リスク一覧(則第二十四条の十三第一項第一号から第五号までの事項を第二条第二項の作業ごとに詳細に記載したものをいう。)

3~5 (略)

【機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知の促進に関する指針の適用について】

第2 細部事項

 (略)

 第3条関係

(1)及び(2) (略)

(3) 第2項第1号の残留リスクマップについては、次の事項に留意するとともに別添1の様式例を参考とすること。

 機械の全体図が示されていること。

 機械に関する危険性等の通知の作成を行う者が想定した全ての残留リスクの情報が①の全体図に記載されていること

 残留リスク一覧に記載する各情報と関連付ける記号又は番号が①の全体図に記載されていること

 機械上の箇所が特定されない残留リスクについては、全体図近傍に別枠を設けて記載すること

 機械を使用する事業者が保護方策を講じない場合に発生しうるリスク(危険性又は有害性によって生ずるおそれのある負傷又は疾病の重篤度及び発生する可能性の度合)の概要(危険、警告、注意等の分類)については、本文書のみで容易に認識できるようにすることが望ましいこと。この場合、分類の定義について冒頭等に記載すること。

(4) (略)

(5) 第3項について、残留リスクマップの中に残留リスク一覧の内容を記載する場合は、別添3の様式例を参考とすること。この場合、残留リスク一覧を別途通知する必要はないこと

(6)~(9) (略)

 (略)

(1)正しい。指針第3条第2項第二号によれば、残留リスク一覧とは、「則第二十四条の十三第一項第一号から第五号までの事項を第二条第二項の作業ごとに詳細に記載したものをいう」とされている。

そして、安衛則第24条の13第1項第二号には「機械のうち、労働者に危険を及ぼし、又は労働者の健康障害をその使用により生ずるおそれのある箇所に関する事項」が挙げられている。

(2)正しい。通達第2(3)の②に、「機械に関する危険性等の通知の作成を行う者が想定した全ての残留リスクの情報が①の全体図に記載されていること」とされている。。

(3)正しい。通達第2(3)の③に、「残留リスク一覧に記載する各情報と関連付ける記号又は番号が①の全体図に記載されていること」とされている。

(4)正しい。通達第2(3)の④に、「機械上の箇所が特定されない残留リスクについては、全体図近傍に別枠を設けて記載すること」とされている。

(5)誤り。通達第2(5)に、「残留リスクマップの中に残留リスク一覧の内容を記載する場合は、(中略)、残留リスク一覧を別途通知する必要はないこと」とされている。

2020年06月23日執筆