労働安全コンサルタント試験 2014年 産業安全一般 問23

消火又は防火




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合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問23 難易度 消火又は防火に関するごく初歩的な知識問題。中学生の物理の知識があれば正答できる。
消火又は防火

問23 消火又は防火に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)水噴霧消火設備は、水噴霧による冷却効果のみならず発生する水蒸気による窒息効果を利用している。

(2)配管中に設置されたフレームアレスターは、火炎が金網との接触により熱が奪われることにより消炎させ、火炎伝播を防ぐものである。

(3)LPG が少量漏洩しているが、着火していない場合に、LPG の拡散による火災爆発の危険域が広くならないようにするため、適切な延焼防止の実施を条件として意図的に着火させ、漏洩している LPG のすべてを燃焼させて、枯渇させる方法もある。

(4)ハロゲン化物消火設備は、燃焼の連鎖反応を抑制する効果を利用している。

(5)二酸化炭素消火設備は、燃料を吹き飛ばして燃料を枯渇させることにより消火するものである。

正答(5)

【解説】

(1)正しい。水噴霧消火設備は、噴霧ヘッドから水を微細な噴霧状(500μm~1000μm)にして放射し、火点一帯を包み、火災を消火するもので、主として冷却作用及び発生する水蒸気による窒息作用により燃焼を阻止する設備である。

(2)正しい。フレームアレスターは配管中に装着され、通常状態ではガスは通過させるが、爆発が発生した場合に、火炎の伝播を止めて消炎するための装置である。

金網式と波板式がある。金網又は波板が炎から熱を奪うことによって消炎する。

(3)正しい。可燃性ガスが漏洩した場合、安全に回収することは困難である。漏洩したガスが塊状のまま重要な施設へ異動して爆発すると被害が大きくなる恐れがある。そのため、安全が確保できるなら燃やしてしまった方が安全なのである。

これは、ボンベから可燃性ガスが噴出して燃え上がっている場合でも同様で、周辺に問題がなければ燃え尽きるのを待つ方が合理的なときがある。なお、この方法は、LPGに限らない。

(4)正しい。ハロゲン化物消火設備の消火原理は、燃焼の連鎖反応を抑制する負触媒効果によるものである。なお、かつてのハロゲン化物消火剤はオゾン層破壊の問題があったが、現在ではオゾン層を破壊しないハロゲン化物が用いられている。

(5)誤り。二酸化炭素消火設備は、不活性の二酸化炭素ガスによって炎を囲むことにより酸素の供給を絶って消火する仕組みである。可燃性ガスが火災を起こしたときに、これを吹き飛ばすようなことはかえって危険である。

2020年06月18日執筆