労働安全コンサルタント試験 2014年 産業安全一般 問21

化学物質の爆発火災の危険性の評価方法




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合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問21 難易度 化学物質の爆発火災の危険性に関するやや高度な知識問題。難問ではあるが、正答しておきたい。
化学物質の爆発火災

問21 化学物質の爆発火災の危険性について、次のイからホの危険性評価を段階的に行う順序として、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。

イ 信頼できる事故事例データベースで該当する物質の情報を得る。

ロ 着火性を小ガス炎試験によって調べる。

ハ 実機を用いて反応性を確認する。

ニ 反応熱を計算する。

ホ 衝撃起爆による伝爆性を鉄管試験で調べる。

(1)イ → ロ → ハ → ニ → ホ

(2)イ → ニ → ロ → ホ → ハ

(3)ロ → ホ → ハ → ニ → イ

(4)ニ → ロ → イ → ハ → ホ

(5)ホ → イ → ニ → ロ → ハ

正答(2)

【解説】

まず、常識で考えて、確実さは低くてもコストの低い評価方法をスクリーニングとして先に行い、確実ではあるがコストのかかる評価方法を後にするのが妥当だと気付く必要がある。ここで、失敗した場合に発生する損害のリスクもコストと考えなえればならない。

そこに気付けば、イかニを最初に行い、実機を用いるハは最後にするべきだと分かるであろう。そうなると、選択肢が(2)に限られるので、これが正解だと分かる。

因みに、小ガス炎着火試験と鉄管試験の先後についても考えてみよう。

「小ガス炎着火試験」については、「危険物の試験及び性状に関する省令」の別表第五にも規定されているが、試料に簡易着火器具で10秒間炎を吹き付け、継続して燃焼するまでの時間を調べるもので、消防法による可燃性固体を分類するための試験である。

一方、「鉄管試験」とは、不安定物質の爆発危険性を試験するもので、本格的な爆発の検査である(※)

※ 詳細は、松永猛裕他「弾道振子による有機過酸化物の伝爆性及ぴ静的爆発威力試験法の研究」(安全工学 VoL24,No.5(1985))などを参照されたい。

つまり、小ガス炎着火試験を鉄管試験より先に行うのは当然であろう。

2020年06月18日執筆 2020年12月26日修正