労働安全コンサルタント試験 2014年 産業安全一般 問15

安全に関する各種試験・検査




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合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問15 難易度 安全に関する各種試験・検査に関するやや高度な知識問題。頻出事項だがかなりの難問だろう。
各種試験・検査

問15 安全に関する各種試験・検査に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)合成樹脂を練るロール機の設置時の検査において、急停止装置の性能は、ロールを無負荷で回転させた状態で急停止機構を作動させて、前部ロールが停止するまでに回転した円周の長さで評価した。

(2)研削といしの出荷時の検査において、直径が 120mm の研削といしに対する同一ロットの回転試験で、最高使用周速度に 1.5 を乗じた速度で全製品について試験を行った結果、それらの4%に異常が認められたが、異常が生じた研削といし以外の製品は合格とした。

(3)高所作業車の定期自主検査において、1 / 5 の勾配の登坂能力を有する高所作業車の駐車ブレーキ性能について、無負荷の状態で 1 / 5 の勾配の床面で停止の状態を保持できるかを調べた。

(4)移動式クレーンの定期自主検査において、移動式クレーンのフックブロックの変形をノギスで計測した結果、フックの開きの増加分が原寸法の5%以内にあることを確認した。

(5)ハーネス型安全帯の耐衝撃性の試験において、規定された質量の砂袋にハーネス型安全帯を取り付け、5mの高さから自由落下試験を行い、衝撃荷重を調べた。

正答(5)

【解説】

(1)適切である。「ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機及びその急停止装置の構造規格」(昭和47年9月30日労働省告示第79号:最終改正平成12年12月25日労働省告示第120号)第2条は「練りロール機の急停止装置(以下「急停止装置」という。)は、ロールを無負荷で回転させた状態において、次の表の上欄に掲げる前部ロールの表面速度に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる停止距離以内で当該ロールを停止させることができる性能を有するものでなければならない」とし、表においてその性能を前部ロールが停止するまでに回転した円周の長さで定めている。

(2)適切である。「研削盤等構造規格」(昭和46年3月18日労働省告示第8号:最終改正平成12年12月25日労働省告示第20号)第10条第3項に「第一項の研削といしの製品の全数について同項の回転試験を行なつた場合において、異常率が五パーセント以下であるときは、異常を生じた研削といし以外の製品は合格とする」とある。そして、第1項の検査とは、直径が百ミリメートル以上の研削といしについて行う「ロツトごとに当該研削といしの最高使用周速度に一・五を乗じた速度による回転試験」である。

【研削盤等構造規格】

(回転試験)

第10条 直径が百ミリメートル以上の研削といしについては、ロツトごとに当該研削といしの最高使用周速度に一・五を乗じた速度による回転試験を行なわなければならない。

 前項の研削といしの製品(異常が認められた製品を除く。以下この項及び次項において同じ。)の数の十パーセントの数(五未満の場合は、五)以上の研削といしについて同項の回転試験を行なつた場合において、その回転試験を行なつた研削といしの全数に異常がないときは、そのロツトの製品は合格とする。

 第一項の研削といしの製品の全数について同項の回転試験を行なつた場合において、異常率が五パーセント以下であるときは、異常を生じた研削といし以外の製品は合格とする。

(3)適切である。「高所作業車の定期自主検査指針」(平成3年7月26日自主検査指針公示第13号)において、下部走行体(トラック式)の駐車ブレーキの検査方法として「機械を無負荷状態で1/5こう配の床面で停止の状態に保持できるかを調べる。ただし1/5こう配の登坂能力を有しない機械にあっては、その登坂能力に相当するこう配において検査を行う」とされており、これはホイール式、クローラ式においても同様である。

(4)適切である。「移動式クレーンの定期自主検査指針」(昭和56年12月28日自主検査指針公示第1号)において、「フックの摩耗及び変形の有無」について、「フックの開きが原寸法の5%以内であること」を確認することとされている。

(5)適切ではない。「安全帯」は現在は「墜落制止用器具」と名称を変えており、「墜落制止用器具の規格」(旧安全帯の規格)も大きく変更されている。

現在の規格である墜落制止用器具の規格の第8条第1項は、「フルハーネスは、トルソーを使用し、日本産業規格T八一六五(墜落制止用器具)に定める落下試験の方法又はこれと同等の方法による試験を行った場合において、当該トルソーを保持できるものでなければならない」としている。そして、JIS T 8165:2012は、砂のうを自由落下させる距離は1500mmとされている。現時点においても本肢は適切ではない。

2020年06月14日執筆