労働安全コンサルタント試験 2014年 産業安全一般 問12

安全教育




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合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問12 難易度 安全教育の技法に関する基本的な知識問題。確実に正答できなければならない。
安全教育

問12 安全教育に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

(1)OJT 教育は、仕事の場で、直接、機械設備、材料等を教材として利用できるので、実際的な教育ができる反面、職場で仕事を適切に進めていく心構え等についての教育の面では効果がない。

(2)安全教育の手法としての「討議法」は、教育内容に関して受講者の知識や経験のレベルが高い場合及び知識や経験がない場合の両方に適している。

(3)作業者に対する安全教育の指導技法の一つである「4段階法」の第3段階「適用の段階」には、作業を実際にさせてみて、間違いがあれば直すことが含まれる。

(4)OFF - JT による教育は、新規採用者教育等の共通的なものには適しているが、特別教育のような特定のテーマについての教育には適さない。

(5)事例研究法による安全教育は、実務的で現実的な教育が行いやすく、判断力の向上は期待できるが、応用力の養成には効果がない。

正答(3)

【解説】

(1)適切ではない。OJT 教育は、実際の仕事の場で教育を行うため、直接、機械設備、材料等を教材として利用できるので、実際的な教育ができるとしていることは正しい。

しかし、職場で仕事を適切に進めていく心構え等についても、教育担当者である上司や先輩が適切に教育を行えば効果はあがろう。

(2)曖昧な部分がないわけではないが(3)が明らかに適切であることから、本肢は適切ではないとしておく。安全教育の手法としての「討議法」は、教育内容に関して受講者の知識や経験のレベルが高い場合には適しているが、知識や経験がない場合には必ずしも適している方法とは言えないのである。

厚生労働省が作成した「建設業職長等指導力向上教育研修会テキスト」の「第4節 作業員に対する効果的な指導及び教育方法」の「3.教育の方法」の「②討議方式」に、討議方式のデメリットとして「受講者のレベルによって討議内容の質にバラツキがでる」ことが挙げられている。

すなわち、あくまでも比較の問題ではあるが、「討議法」は、受講者の知識や経験がない場合には、ある場合に比べれば適さない手法なのである(※)

(3)適切である。作業者に対する安全教育の指導技法の一つである「4段階法」とは、下表のようなものであり、様ざまなバリエーションがあるが基本は大きくは変わらない。第3段階は「適用の段階」であり、作業を実際にさせてみて、間違いがあれば直すことが含まれる。

教え方の4段階
段階 手順 ポイント

第1段階

習う準備をさせる

1.気楽にさせる

2.何の仕事をやるか話す

3.その仕事について知っている程度を確かめる

4.仕事を覚えたい気持ちにさせる

動機付け

の段階

第2段階

作業を説明し、
やってみせる

1.主なステップを一つずつ言って聞かせ、やってみせ、書いて見せる

2.急所を強調する

3.はっきりと、ぬかりなく、根気よく、理解する能力以上に強いない

提示

の段階

第3段階

やらせてみる

1.やらせてみて間違いをなおす

2.やらせながら作業を説明する

3.もう一度やらせながら急所を言わせる

4.分かったとわかるまで確かめる

適用

の段階

第4段階

教えた後を見る

1.仕事につかせる

2.分からないときに聞く人を決めておく

3.度々調べる

4.質問するように仕向ける

5.だんだん指導を減らしていく

フォロー

の段階

(4)適切ではない。OFF - JT による教育が、新規採用者教育等の共通的なものに適しているとしていることは間違いではない。

しかし、特別教育のような特定のテーマについての教育には適さないとしていることは明確に誤りである。特別教育は、学科、実技ともにOFF - JTで行わなければならない。

(5)適切ではない。事例研究法による安全教育は、実務的で現実的な教育が行いやすいとしていることは適切である。

また、適切な教育が行われれば、判断力の向上ばかりか、応用力の養成にも効果があがる。

※ 本問の(2)について、2016年産業安全一般の問12と矛盾しているのではないかとのご質問を受けた。

討議方式は、2016年の問12の(12)では、経験や知識が浅い受講生にも適しているとなっているが、2014年の問12の(12)には適さないとなっているのではないかという疑問である。

これは、2016年の問12は「適切ではない」と断定しているのが誤りで、2014年の問12はあくまでも比較の問題として「適していない」ことは正しいという出題意図であろう。

ただ、問題文にあいまいな部分があることは否めない。

2020年06月14日執筆 2021年04月19日修正