労働安全コンサルタント試験 2014年 産業安全一般 問03

職場の安全活動




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合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問03 難易度 職場の安全活動に関するごく初歩的な知識問題である。これが正答できなければ合格は覚束ない。
職場の安全活動

問3 職場の安全活動に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)KYT(又はKYK)は、イラストシートを用いたり現場で作業をしてみせたりしながら危険要因を抽出し、その対策を決めて実践する活動で、人間の行動に起因するリスクに対しては効果がないが、工学的対策を講じてもなお残る残留リスクには有効である。

(2)ヒヤリハット活動は、作業中にヒヤリとしたりハッとしたことなどを報告させ、それを危険有害情報として活用する活動で、報告した作業者を責めないことが必要である。

(3)指差呼称は、作業の要所要所で対象を腕を伸ばして指差し、自分の確認すべきことを「〇〇 ヨシ!」と呼称して確認する活動で、集中力を高め、誤判断、誤操作などの防止に効果がある。

(4)4S活動は、職場の整理、整頓、清潔、清掃を徹底させる活動で、整理とは、要るものと要らないものを分けて要らないものを捨てることを意味し、整頓とは、要るものをいつでも取りだせるようにする。

(5)TBMは、現場で作業開始前などに短時間、その日の仕事の範囲、段取り、分担、安全衛生ポイントなどを話し合う活動で、効果的に進めるには、事前にテーマを用意したり、全員に発言させるようにするなどリーダーの役割が重要である。

正答(1)

【解説】

本問は、職場の安全活動に関するごく常識的な問題である。製造業、建設業などで安全管理にかかわった経験があれば、ほぼ常識で解答できる内容である。

(1)適切ではない。KYT(又はKYK)は、現場で作業を開始する前に、その作業に伴う危険に関する情報をお互いに出し合って共有化し、危険のポイントと行動目標を定め、作業の要所要所で指差し呼称を行って安全を確認し合うものである。ヒューマンエラーによる事故を防止するために非常に有効な手段であるとされている。

人間の行動に起因するリスクに対して効果がある。なお、イラストシートを用いたり現場で作業をしてみせたりしながら危険要因を抽出し、その対策を決めて実践する活動であること、及び、工学的対策を講じでもなお残る残留リスクには有効であることは正しい。

(2)適切である。厚生労働省の安全衛生キーワード「ヒヤリハット」には「ヒヤっとした、あるいはハッとしたことを取り上げ、災害防止に結びつけることが目的で始まったのが、ヒヤリハット活動です」、「ヒヤリハットは報告する側にとっても、報告を受ける側にとっても、あまり名誉なことではありません。このため、労働者を責めないという取決めをし、これを実行しないと、制度が長続きしません」とされている。

看護師が複数人で指差し呼称をしている

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(3)適切である。厚生労働省の安全衛生キーワード「指差呼称」には、その手順として「呼称する項目を声に出し(中略)本当に良いか(中略)確かめ(中略)確認できたら、『ヨシっ!』と発声しながら、対象に向かって右手を振り下ろします」とされており、前段は正しい。

また、その効果として「意識レベルを上げ、確認の精度を向上させる有効な手段」であるとされ、1994年に財団法人(現、公益財団法人)鉄道総合技術研究所が行った効果検定実験によると「指差しと呼称を『共に行った場合]の押し間違いの発生率は0.38%となり、指差しと呼称を『共に行った』場合の押し間違いの発生率は、『共に行わなかった』場合の発生率に比べ、約6分の1という結果でした」などとされている。従って、後段も正しいと言ってよい。

(4)適切である。厚生労働省の安全衛生キーワード「4S(整理、整頓、清掃、清潔)」には、「4S(よんえす)は、安全で、健康な職場づくり、そして生産性の向上をめざす活動で、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seiso)、清潔(Seiketsu)を行う事をいいます」とされており、前段は正しい。

また、「『整理』は、必要なものと不要なものを区分し、不要、不急なものを取り除くことです」、「『整頓』は、必要なものを、決められた場所に、決められた量だけ、いつでも使える状態に、容易に取り出せるようにしておくことです。工具・用具のみならず資材・材料を探す無駄を無くすことが出来ます」とされている。従って、後段も正しい。

(5)適切である。TBM(ツールボックスミーティング)は、本肢に記載されているとおりのミーティングである。

なお、ツールボックスミーティングとは、ツールボックスに座って行われるイメージから、この名称がついている。

2020年06月08日執筆