労働安全コンサルタント試験 2014年 産業安全一般 問01

事業場の安全管理等




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合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問01 難易度 安全衛生管理体制に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
安全衛生管理体制

問1 事業場の安全管理等に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)経営トップには、労働災害予防の責任のほか、労働災害が発生した場合の民事上の責任、刑事上の責任及び社会的責任があるが、民事上の責任は、労働安全衛生法違反があったときにのみ問われる。

(2)経営トップは、安全管理体制を整備し、各級の管理・監督者に必要な権限を委任した場合でも、事業 場の安全管理の実情、各級の管理・監督者の職務遂行状況を把握、監督し、適宜、指揮・指示を行う必要がある。

(3)生産活動と一体となった安全管理を行うためには、安全管理計画に関して、経営トップは決定する役割を、安全委員会は調査審議する役割を、安全スタッフは支援する役割を、ラインの各級の管理・監督者は実行する役割を、それぞれ担うことが効果的である。

(4)スタッフ型の安全管理組織は、安全業務を専ら管掌するスタッフ部門に安全担当者を配置して、そこが安全の計画、調査、検討、勧告、報告等を行うもので、安全活動が生産と遊離するおそれはあるが、最新の安全対策を導入しやすい。

(5)安全委員会の活性化のためには、委員長が必ず出席すること、早めの開催通知や資料の事前配付など周到に準備すること、報告事項のほかその時々の議題を織り込むこと、委員は職場の安全上の問題等を 把握し発言すること、などが重要である。

正答(1)

【解説】

本問は、(1)が明らかに誤っているので迷うことはないと思う。ただ、(3)は抽象的には正しいと思えるものであるが、どうとでも言えそうな気はする。

(1)適切ではない。経営トップに、労働災害予防の責任のほか、労働災害が発生した場合の民事上の責任、刑事上の責任及び社会的責任があることは当然であるが、安衛法には労働災害が発生した場合の刑事・民事上の責任は定められていない。

災害が発生した場合の責任は、刑法や民法などに定められている。それらは、安衛法の規定とは無関係(刑事責任は、量刑のときに、安衛法違反と刑法違反が合わせて考慮され得る。)であり、労働安全衛生法違反があったときにのみ問われるわけではない。

(2)適切である。企業の規模にもよるだろうが、その企業の規模に応じて、経営トップが、事業場の安全管理の実情、各級の管理・監督者の職務遂行状況を把握、監督し、適宜、適切な相手に対して指揮・指示を行うべきことは当然だろう。

(3)適切である。これは当然であろう。なお、安全委員会が調査審議する役割を果たすべきは安衛法第17条第1項の趣旨から正しい。出題意図がつかみ難いが、本肢を不適切とする要素がない。

(4)適切でないとまではいえない。スタッフ型の安全管理組織は、間接部門に安全を担当する者を配置するということであって、必ずしも安全業務を専ら管掌するスタッフ部門を設けるわけではない。しかし、直接部門ではない組織が、安全の計画、調査、検討、勧告、報告等を行うことは正しい。また、安全活動が生産と遊離するおそれはあるが、最新の安全対策を導入しやすいことは正しい。

(5)適切である。安全委員会の活性化のためには、委員長が必ず出席すること、早めの開催通知や資料の事前配付など周到に準備すること、報告事項のほかその時々の議題を織り込むこと、委員は職場の安全上の問題等を把握し発言すること、などが重要であることは当然であろう。出題意図がつかみ難いが、本肢を不適切とする要素がない。

2020年06月07日執筆