労働安全コンサルタント試験 2013年 産業安全関係法令 問11

建設業の注文者又は請負人が講じるべき措置




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 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2013年度(平成25年度) 問11 難易度 建設業の安全管理体制等は、例年、細かな問題が出題される。本年は、捨て問と割り切ってもよいか。
注文者又は請負人の措置

問11 建設業の仕事を自ら行う注文者が、建設物等を、当該仕事を行う場所においてその請負人の労働者に使用させるときに、当該注文者又はその請負人が講じなければならない措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

(1)注文者は、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある高さが2m以上の場所で、鉄骨等導電性の高い接地物に労働者が接触するおそれのあるところにおいて請負人の労働者に交流アーク溶接機(自動溶接機を除く。)を使用させるときは、当該交流アーク溶接機に、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を備えなければならない。

(2)注文者は、請負人の労働者にコンベヤーを使用させるときは、当該コンベヤーに、ベルトが外れた場合に直ちに運転を停止させる装置を備えなければならない。

(3)注文者は、請負人の労働者にずい道等を使用させる場合で、当該労働者がずい道等の建設の作業を行うとき(落盤又は肌落ちにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときに限る。)は、当該ずい道等についてずい道支保工を設け、ロックボルトを施す等落盤又は肌落ちを防止するための措置を講じなければならない。

(4)注文者は、請負人の労働者に作業構台を使用させるときは、強風、大雨、大雪等の悪天候又は中震以上の地震の後においては、支柱の滑動及び沈下の状態等について点検し、危険のおそれがあるときは、速やかに修理するとともに、当該点検の結果及び、行った修理等の措置の内容を記録し、作業構台を使用する作業が終了するまでの間これを保存しなければならない。

(5)請負人は、その労働者に注文者の足場を使用させるときに、作業床の最大積載荷重が表示されていないことを知ったときは速やかにその旨を注文者に申し出なければならない。

正答(2)

【解説】

(1)正しい。安衛則第648条(第二号)の規定により、注文者は、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある高さが2m以上の場所で、鉄骨等導電性の高い接地物に労働者が接触するおそれのあるところにおいて請負人の労働者に交流アーク溶接機(自動溶接機を除く。)を使用させるときは、当該交流アーク溶接機に、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を備えなければならない。

【労働安全衛生法】

(注文者の講ずべき措置)

第31条 特定事業の仕事を自ら行う注文者は、建設物、設備又は原材料(以下「建設物等」という。)を、当該仕事を行う場所においてその請負人(当該仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。第三十一条の四において同じ。)の労働者に使用させるときは、当該建設物等について、当該労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 (略)

【労働安全衛生規則】

(交流アーク溶接機についての措置)

第648条 注文者は、法第三十一条第一項の場合において、請負人の労働者に交流アーク溶接機(自動溶接機を除く。)を使用させるときは、当該交流アーク溶接機に、法第四十二条の規定に基づき厚生労働大臣が定める規格に適合する交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を備えなければならない。ただし、次の場所以外の場所において使用させるときは、この限りでない。

 (略)

 墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある高さが二メートル以上の場所で、鉄骨等導電性の高い接地物に労働者が接触するおそれのあるところ

(2)誤り。注文者は、請負人の労働者にコンベヤーを使用させるときは、当該コンベヤーに、ベルトが外れた場合に直ちに運転を停止させる装置を備えなければならないとする規定はない。

なお、コンベヤーについて、ベルトが外れた場合に直ちに運転を停止させる装置を備えなければならないとする規定そのものが安衛則には規定されていない。

(3)正しい。安衛則第651条第1項の規定により、注文者は、請負人の労働者にずい道等を使用させる場合で、当該労働者がずい道等の建設の作業を行うとき(落盤又は肌落ちにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときに限る。)は、当該ずい道等についてずい道支保工を設け、ロックボルトを施す等落盤又は肌落ちを防止するための措置を講じなければならない。

【労働安全衛生法】

(注文者の講ずべき措置)

第31条 特定事業の仕事を自ら行う注文者は、建設物、設備又は原材料(以下「建設物等」という。)を、当該仕事を行う場所においてその請負人(当該仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。第三十一条の四において同じ。)の労働者に使用させるときは、当該建設物等について、当該労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 (略)

【労働安全衛生規則】

(ずい道等についての措置)

第651条 注文者は、法第三十一条第一項の場合において、請負人の労働者にずい道等を使用させる場合で、当該労働者がずい道等の建設の作業を行なうとき(落盤又ははだ落ちにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときに限る。)は、当該ずい道等についてずい道支保工を設け、ロツクボルトを施す等落盤又は肌はだ落ちを防止するための措置を講じなければならない。

 (略)

(4)正しい。注文者は、請負人の労働者に作業構台を使用させるときは、強風、大雨、大雪等の悪天候又は中震以上の地震の後においては、支柱の滑動及び沈下の状態等について点検し、危険のおそれがあるときは、速やかに修理するとともに、当該点検の結果及び、行った修理等の措置の内容を記録し、作業構台を使用する作業が終了するまでの間これを保存しなければならない。

【労働安全衛生法】

(注文者の講ずべき措置)

第31条 特定事業の仕事を自ら行う注文者は、建設物、設備又は原材料(以下「建設物等」という。)を、当該仕事を行う場所においてその請負人(当該仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。第三十一条の四において同じ。)の労働者に使用させるときは、当該建設物等について、当該労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 (略)

【労働安全衛生規則】

(作業構台についての措置)

第655条の2 注文者は、法第三十一条第一項の場合において、請負人の労働者に、作業構台を使用させるときは、当該作業構台について、次の措置を講じなければならない。

 (略)

 強風、大雨、大雪等の悪天候若しくは中震以上の地震又は作業構台の組立て、一部解体若しくは変更の後においては、作業構台における作業を開始する前に、次の事項について点検し、危険のおそれがあるときは、速やかに修理すること。

 支柱の滑動及び沈下の状態

ロ~ト (略)

 (略)

 (略)

(5)正しい。安衛則第663条の規定により、請負人は、同規則第655条の措置が講じられていないことを知ったときは、速やかにその旨を注文者に申し出なければならない。

そして、同規則第655条第1項(第一号)には、注文者が請負人の労働者に足場を使用させるときに、作業床の最大積載荷重が表示するべきことが定められている。

【労働安全衛生法】

(注文者の講ずべき措置)

第31条 特定事業の仕事を自ら行う注文者は、建設物、設備又は原材料(以下「建設物等」という。)を、当該仕事を行う場所においてその請負人(当該仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。第三十一条の四において同じ。)の労働者に使用させるときは、当該建設物等について、当該労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 (略)

(請負人の講ずべき措置等)

第32条 (第1項~第3項 略)

 第三十一条第一項の場合において、当該建設物等を使用する労働者に係る事業者である請負人は、同項の規定により講ぜられる措置に応じて、必要な措置を講じなければならない。

5~7 (略)

【労働安全衛生規則】

(足場についての措置)

第655条 注文者は、法第三十一条第一項の場合において、請負人の労働者に、足場を使用させるときは、当該足場について、次の措置を講じなければならない。

 構造及び材料に応じて、作業床の最大積載荷重を定め、かつ、これを足場の見やすい場所に表示すること。

二及び三 (略)

 (略)

(法第三十二条第四項の請負人の義務)

第663条 法第三十二条第四項の請負人は、第六百四十四条から第六百六十二条までに規定する措置が講じられていないことを知つたときは、速やかにその旨を注文者に申し出なければならない。

 (略)

2021年01月23日執筆