問9 ボイラー等による危険を防止するため事業者等が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)事業者は、自動溶接機によるボイラーの胴の板の溶接の業務には、特別ボイラー溶接士又は普通ボイラー溶接士でなければ、当該業務につかせてはならない。
(2)事業者は、貫流ボイラー以外のボイラーで電熱面積が1200m2のものの取扱いの作業については、一級ボイラー技士をボイラー取扱作業主任者として選任することができる。
(3)事業者は、ボイラー取扱作業主任者に、適宜、ボイラーの吹出しを行わせ、ボイラー水の濃縮を防ぐようにさせなければならない。
(4)事業者は、第一種圧力容器に安全弁が2個ある場合、どちらの安全弁も当該第一種圧力容器の最高使用圧力以下で作動するように調整しなければならない。
(5)第二種圧力容器を製造し、又は輸入した者は、当該第二種圧力容器について型式検定を受けなければならない。
このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
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2013年度(平成25年度) | 問09 | 難易度 | ボイラによる災害防止は、例年、難問が多い。今年もやや難問で、合否を分けるレベルと言えよう。 |
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ボイラー・圧力容器 | 5 |
問9 ボイラー等による危険を防止するため事業者等が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)事業者は、自動溶接機によるボイラーの胴の板の溶接の業務には、特別ボイラー溶接士又は普通ボイラー溶接士でなければ、当該業務につかせてはならない。
(2)事業者は、貫流ボイラー以外のボイラーで電熱面積が1200m2のものの取扱いの作業については、一級ボイラー技士をボイラー取扱作業主任者として選任することができる。
(3)事業者は、ボイラー取扱作業主任者に、適宜、ボイラーの吹出しを行わせ、ボイラー水の濃縮を防ぐようにさせなければならない。
(4)事業者は、第一種圧力容器に安全弁が2個ある場合、どちらの安全弁も当該第一種圧力容器の最高使用圧力以下で作動するように調整しなければならない。
(5)第二種圧力容器を製造し、又は輸入した者は、当該第二種圧力容器について型式検定を受けなければならない。
正答(3)
【解説】
(1)誤り。安衛法第61条第1項の就業制限業務の内容は、安衛令第20条に定められているが、同条第四号のカッコ書きによって、自動溶接によるボイラの溶接は除外されている。
【労働安全衛生法】
(就業制限)
第61条 事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。
2~4 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(就業制限に係る業務)
第20条 法第六十一条第一項の政令で定める業務は、次のとおりとする。
一及び二 (略)
三 ボイラー(小型ボイラーを除く。)の取扱いの業務
四 前号のボイラー又は第一種圧力容器(小型圧力容器を除く。)の溶接(自動溶接機による溶接、管(ボイラーにあつては、主蒸気管及び給水管を除く。)の周継手の溶接及び圧縮応力以外の応力を生じない部分の溶接を除く。)の業務
五~十六 (略)
【ボイラー及び圧力容器安全規則】
(就業制限)
第9条 事業者は、令第二十条第四号の業務のうちボイラーの溶接の業務については特別ボイラー溶接士免許を受けた者(以下「特別ボイラー溶接士」という。)でなければ、当該業務につかせてはならない。ただし、溶接部の厚さが二十五ミリメートル以下の場合又は管台、フランジ等を取り付ける場合の溶接の業務については、普通ボイラー溶接士免許を受けた者(以下「普通ボイラー溶接士」という。)を当該業務につかせることができる。
(2)誤り。貫流ボイラー以外のボイラーで電熱面積が500m2以上のものの取扱いの作業については、ボイラー則第24条第1項(第一号)により、特級ボイラー技士免許を受けた者をボイラー取扱作業主任者として選任しなければならない。
【労働安全衛生法】
(作業主任者)
第14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
【労働安全衛生法施行令】
(作業主任者を選任すべき作業)
第6条 法第六十一条第一項の政令で定める業務は、次のとおりとする。
一~三 (略)
四 ボイラー(小型ボイラーを除く。)の取扱いの作業
五~二十三 (略)
【ボイラー及び圧力容器安全規則】
(ボイラー取扱作業主任者の選任)
第24条 事業者は、令第六条第四号の作業については、次の各号に掲げる作業の区分に応じ、当該各号に掲げる者のうちから、ボイラー取扱作業主任者を選任しなければならない。
一 取り扱うボイラーの伝熱面積の合計が五百平方メートル以上の場合(貫流ボイラーのみを取り扱う場合を除く。)における当該ボイラーの取扱いの作業 特級ボイラー技士免許を受けた者(以下「特級ボイラー技士」という。)
二~四 (略)
2 (略)
(3)正しい。ボイラー則第25条第1項(第六号)により、事業者は、ボイラー取扱作業主任者に、適宜、ボイラーの吹出しを行わせ、ボイラー水の濃縮を防ぐようにさせなければならない。
【ボイラー及び圧力容器安全規則】
(ボイラー取扱作業主任者の職務)
第25条 事業者は、ボイラー取扱作業主任者に次の事項を行わせなければならない。
一~五 (略)
六 適宜、吹出しを行ない、ボイラー水の濃縮を防ぐこと。
七~十 (略)
2及び3 (略)
(4)誤り。ボイラー則第25条第1項(第六号)により、安全弁が2個以上ある場合に、1個の安全弁を最高使用圧力以下で作動するように調整したときは、他の安全弁を最高使用圧力の3%増以下で作動するように調整することができる。
【ボイラー及び圧力容器安全規則】
(附属品の管理)
第28条 事業者は、ボイラーの安全弁その他の附属品の管理について、次の事項を行なわなければならない。
一 安全弁は、最高使用圧力以下で作動するように調整すること。
二~八 (略)
2 前項第一号の規定にかかわらず、事業者は、安全弁が二個以上ある場合において、一個の安全弁を最高使用圧力以下で作動するように調整したときは、他の安全弁を最高使用圧力の三パーセント増以下で作動するように調整することができる。
(5)第二種圧力容器は、安衛法第44条の個別検定の対象であり、型式検定の対象ではない。
【労働安全衛生法】
(譲渡等の制限等)
第42条 特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。
(個別検定)
第44条 第四十二条の機械等(次条第一項に規定する機械等を除く。)のうち、別表第三に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録個別検定機関」という。)が個々に行う当該機械等についての検定を受けなければならない。
2~6 (略)
別表第2 (第四十二条関係)
一 (略)
二 第二種圧力容器(第一種圧力容器以外の圧力容器であつて政令で定めるものをいう。次表において同じ。)
三~十六 (略)
別表第3 (第四十四条関係)
一 (略)
二 第二種圧力容器
三及び四 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(個別検定を受けるべき機械等)
第14条 法第四十四条第一項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。
一 (略)
二 第二種圧力容器(船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法、高圧ガス保安法又はガス事業法の適用を受けるものを除く。)
三及び四 (略)