問3 機械による危険を防止するため事業者が講じた措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、違反となるものはどれか。
(1)機械(刃の部分以外)の修理の作業を行う場合において、機械の運転中に作業を行う必要があったので、労働者に危険を及ぼすおそれがある箇所に覆いを設けて作業を行った。
(2)自動送り装置を有しない面取り盤を用いて作業を行う場合において、刃の接触予防装置を設けることが作業の性質上困難で、あったので、労働者に治具を使用させて作業を行った。
(3)プレス機械の金型の調整を行う場合において、スライドを作動させる必要があったが、当該プレス機械は寸動機構を有するものであったので寸動により作動させた。
(4)産業用ロボットの可動範囲内での教示作業において、産業用ロボットの駆動源を遮断し、起動スイッチ等に作業中である旨を表示して行ったので、作業に従事している労働者が異常時に直ちに産業用ロボットの運転を停止することができるようにするための措置は講じなかった。
(5)連続した一団の機械で、工程途中に人力による材料の送給の必要のあるものについて、機械ごとの動力遮断装置を設けなかったが、共通の動力遮断装置を設けた。
このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2013年度(平成25年度) | 問03 | 難易度 | 機械による危険の防止に関するやや詳細な知識問題。難問の部類だろうか。 |
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機械による危険の防止 | 5 |
問3 機械による危険を防止するため事業者が講じた措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、違反となるものはどれか。
(1)機械(刃の部分以外)の修理の作業を行う場合において、機械の運転中に作業を行う必要があったので、労働者に危険を及ぼすおそれがある箇所に覆いを設けて作業を行った。
(2)自動送り装置を有しない面取り盤を用いて作業を行う場合において、刃の接触予防装置を設けることが作業の性質上困難で、あったので、労働者に治具を使用させて作業を行った。
(3)プレス機械の金型の調整を行う場合において、スライドを作動させる必要があったが、当該プレス機械は寸動機構を有するものであったので寸動により作動させた。
(4)産業用ロボットの可動範囲内での教示作業において、産業用ロボットの駆動源を遮断し、起動スイッチ等に作業中である旨を表示して行ったので、作業に従事している労働者が異常時に直ちに産業用ロボットの運転を停止することができるようにするための措置は講じなかった。
(5)連続した一団の機械で、工程途中に人力による材料の送給の必要のあるものについて、機械ごとの動力遮断装置を設けなかったが、共通の動力遮断装置を設けた。
正答(5)
【解説】
(1)違反とはならない。安衛則第107条第1項但書により、機械(刃の部分以外)の修理の作業を行う場合において、機械の運転中に作業を行う必要がある場合は、労働者に危険を及ぼすおそれがある箇所に覆いを設けて作業を行えば違反とはならない。
【労働安全衛生規則】
(掃除等の場合の運転停止等)
第107条 事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りでない。
2 (略)
(2)違反とはならない。安衛則第127条第1項但書により、自動送り装置を有しない面取り盤を用いて作業を行う場合であっても、刃の接触予防装置を設けることが作業の性質上困難なときは、労働者に治具を使用させて作業を行わせれば違反とはならない。
【労働安全衛生規則】
(面取り盤の刃の接触予防装置)
第127条 事業者は、面取り盤(自動送り装置を有するものを除く。)には、刃の接触予防装置を設けなければならない。ただし、接触予防装置を設けることが作業の性質上困難な場合において、労働者に治具又は工具を使用させたときは、この限りでない。
2 (略)
(3)違反とはならない。安衛則第131条の3の規定により、プレス機械の金型の調整を行う場合において、スライドを作動させるときは、寸動機構を有するものであれば寸動により作動させなければならない。
【労働安全衛生規則】
(金型の調整)
第131条の3 事業者は、プレス機械の金型の調整のためスライドを作動させるときは、寸動機構を有するものにあつては寸動により、寸動機構を有するもの以外のものにあつては手回しにより行わなければならない。
(4)違反とはならない。安衛則第150条の3の規定により、産業用ロボットの可動範囲内での教示作業において、産業用ロボットの駆動源を遮断した場合は、起動スイッチ等に作業中である旨を表示しなければならない(第三号)が、作業に従事している労働者が異常時に直ちに産業用ロボットの運転を停止することができるようにするための措置(第二号)は講じなくとも違反とはならない。
【労働安全衛生規則】
(教示等)
第150条の3 事業者は、産業用ロボツトの可動範囲内において当該産業用ロボツトについて教示等の作業を行うときは、当該産業用ロボツトの不意の作動による危険又は当該産業用ロボツトの誤操作による危険を防止するため、次の措置を講じなければならない。ただし、第一号及び第二号の措置については、産業用ロボツトの駆動源を遮断して作業を行うときは、この限りでない。
一 (略)
二 作業に従事している労働者又は当該労働者を監視する者が異常時に直ちに産業用ロボツトの運転を停止することができるようにするための措置を講ずること。
三 作業を行つている間産業用ロボツトの起動スイツチ等に作業中である旨を表示する等作業に従事している労働者以外の者が当該起動スイツチ等を操作することを防止するための措置を講ずること。
(5)違反となる。安衛則第103条の規定により、連続した一団の機械で、工程途中に人力による材料の送給の必要のあるものについては、機械ごとに動力遮断装置を設けなければならない。共通の動力遮断装置を設けるのみでは足りない。
【労働安全衛生規則】
(動力しや断装置)
第103条 事業者は、機械ごとにスイツチ、クラツチ、ベルトシフター等の動力しや断装置を設けなければならない。ただし、連続した一団の機械で、共通の動力しや断装置を有し、かつ、工程の途中で人力による原材料の送給、取出し等の必要のないものは、この限りでない。
2及び3 (略)