問2 建設業における安全衛生管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)統括安全衛生責任者を選任すべき事業者は、統括安全衛生責任者の選任に当たっては、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者に準ずる者を充てることができる。
(2)都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、統括安全衛生責任者の業務の執行について当該統括安全衛生責任者を選任した事業者に勧告することができる。
(3)一の場所において行うずい道の建設の仕事の一部を請負人に請け負わせる元方事業者は、その場所において、その労働者及び関係請負人の労働者の数が常時30人未満で作業を行うときは、統括安全衛生責任者を選任しなくてもよい。
(4)労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、元方安全衛生管理者を選任した事業者に対し、元方安全衛生管理者の増員又は解任を命ずることができる。
(5)安全衛生責任者を選任すべき請負人は、安全衛生責任者を選任したときは、同一の場所において作業を行う統括安全衛生責任者を選任すべき事業者に対し、遅滞なく、その旨を通報しなければならない。
このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2013年度(平成25年度) | 問02 | 難易度 | 建設業など下請け構造の安全衛生管理体制の基本問題である。正答できる必要がある。 |
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安全管理体制 | 3 |
問2 建設業における安全衛生管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)統括安全衛生責任者を選任すべき事業者は、統括安全衛生責任者の選任に当たっては、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者に準ずる者を充てることができる。
(2)都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、統括安全衛生責任者の業務の執行について当該統括安全衛生責任者を選任した事業者に勧告することができる。
(3)一の場所において行うずい道の建設の仕事の一部を請負人に請け負わせる元方事業者は、その場所において、その労働者及び関係請負人の労働者の数が常時30人未満で作業を行うときは、統括安全衛生責任者を選任しなくてもよい。
(4)労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、元方安全衛生管理者を選任した事業者に対し、元方安全衛生管理者の増員又は解任を命ずることができる。
(5)安全衛生責任者を選任すべき請負人は、安全衛生責任者を選任したときは、同一の場所において作業を行う統括安全衛生責任者を選任すべき事業者に対し、遅滞なく、その旨を通報しなければならない。
正答(1)
【解説】
(1)誤り。安衛法第15条第2項により、統括安全衛生責任者を選任すべき事業者は、統括安全衛生責任者の選任に当たっては、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者を充てなければならない。統括管理する者に準ずる者を充てることは許されない。
【労働安全衛生法】
(統括安全衛生責任者)
第15条 (第1項 略)
2 統括安全衛生責任者は、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない。
3~5 (略)
(2)正しい。安衛法第15条第5項が準用する同法第10条第3項の規定により、都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、統括安全衛生責任者の業務の執行について当該統括安全衛生責任者を選任した事業者に勧告することができる。
【労働安全衛生法】
(総括安全衛生管理者)
第10条 (第1項及び第2項 略)
3 都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。
(統括安全衛生責任者)
第15条 (第1項~第4項 略)
5 第十条第三項の規定は、統括安全衛生責任者の業務の執行について準用する。この場合において、同項中「事業者」とあるのは、「当該統括安全衛生責任者を選任した事業者」と読み替えるものとする。
(3)正しい。安衛法第15条第1項但書の規定により「これらの労働者の数が政令で定める数未満であるとき」は、統括安全衛生責任者の選任義務が除外されている。ここに、「これらの労働者の数」とは、「その場所における、その事業者の労働者及び関係請負人の労働者の合計数」である。
そして、安衛令第7条第2項(第一号)は、この「労働者の数」について、一の場所において行うずい道の建設の仕事の一部を請負人に請け負わせる元方事業者については、常時30人としている。従って、当該事業者は、統括安全衛生責任者を選任する安衛法上の義務はない。
【労働安全衛生法】
(統括安全衛生責任者)
第15条 事業者で、一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(当該事業の仕事の一部を請け負わせる契約が二以上あるため、その者が二以上あることとなるときは、当該請負契約のうちの最も先次の請負契約における注文者とする。以下「元方事業者」という。)のうち、建設業その他政令で定める業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行う者(以下「特定元方事業者」という。)は、その労働者及びその請負人(元方事業者の当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。以下「関係請負人」という。)の労働者が当該場所において作業を行うときは、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、第三十条第一項各号の事項を統括管理させなければならない。ただし、これらの労働者の数が政令で定める数未満であるときは、この限りでない。
2~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(統括安全衛生責任者を選任すべき業種等)
第7条 (第1項 略)
2 法第十五条第一項ただし書及び第三項の政令で定める労働者の数は、次の各号に掲げる仕事の区分に応じ、当該各号に定める数とする
一 ずい道等の建設の仕事、橋梁の建設の仕事(作業場所が狭いこと等により安全な作業の遂行が損なわれるおそれのある場所として厚生労働省令で定める場所において行われるものに限る。)又は圧気工法による作業を行う仕事 常時三十人
二 (略)
(4)正しい。安衛法第15条の2第2項が準用する同法第11条第2項の規定により、労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、元方安全衛生管理者を選任した事業者に対し、元方安全衛生管理者の増員又は解任を命ずることができる。
【労働安全衛生法】
(安全管理者)
第11条 (第1項 略)
2 労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、安全管理者の増員又は解任を命ずることができる。
(元方安全衛生管理者)
第15条の2 (第1項 略)
2 第十一条第二項の規定は、元方安全衛生管理者について準用する。この場合において、同項中「事業者」とあるのは、「当該元方安全衛生管理者を選任した事業者」と読み替えるものとする。
(5)正しい。安衛法第16条第2項の規定により、安全衛生責任者を選任すべき請負人は、安全衛生責任者を選任したときは、同一の場所において作業を行う統括安全衛生責任者を選任すべき事業者に対し、遅滞なく、その旨を通報しなければならない。
【労働安全衛生法】
(安全衛生責任者)
第16条 第十五条第一項又は第三項の場合において、これらの規定により統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
2 前項の規定により安全衛生責任者を選任した請負人は、同項の事業者に対し、遅滞なく、その旨を通報しなければならない。