問13 計画の届出に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
ただし、いずれの事業者も、労働基準監督署長による計画の届出の免除に係る認定を受けていないものとする。
(1)掘削の深さが10メートル以上の土石の採取のための掘削の作業を行う仕事を開始しようとする土石採取業の事業者は、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
(2)事業者は、圧気工法による作業を行う仕事の計画を作成するときは、法令で定められた資格を有する者を参画させなければならない。
(3)電気使用設備の定格容量の合計が300キロワット以上のガス業の事業場においては、事業者は、当該事業場に係る建設物(仮設の建設物で法令で定められたものを除く。)を設置しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
(4)事業者は、原動機の定格出力が0.5キロワットの金属加工用のボール盤を設置しようとする場合、設置の期間が6月未満のときは、その計画を所轄労働基準監督署長に届け出る必要はない。
(5)シャーを設置しようとする製本業の事業者は、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
※ (3)、(4)及び(5)は、その後の法令改正により意味のない肢となっている。

このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2012年度(平成24年度) | 問13 | 難易度 | 2014年(平成26年)の法令改正により、本問の(3)~(5)は意味のない問題となっている。 |
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計画の届出 | 4 |
問13 計画の届出に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
ただし、いずれの事業者も、労働基準監督署長による計画の届出の免除に係る認定を受けていないものとする。
(1)掘削の深さが10メートル以上の土石の採取のための掘削の作業を行う仕事を開始しようとする土石採取業の事業者は、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
(2)事業者は、圧気工法による作業を行う仕事の計画を作成するときは、法令で定められた資格を有する者を参画させなければならない。
(3)電気使用設備の定格容量の合計が300キロワット以上のガス業の事業場においては、事業者は、当該事業場に係る建設物(仮設の建設物で法令で定められたものを除く。)を設置しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
(4)事業者は、原動機の定格出力が0.5キロワットの金属加工用のボール盤を設置しようとする場合、設置の期間が6月未満のときは、その計画を所轄労働基準監督署長に届け出る必要はない。
(5)シャーを設置しようとする製本業の事業者は、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
※ (3)、(4)及び(5)は、その後の法令改正により意味のない肢となっている。
正答(正答なし)
【解説】
(1)正しい。安衛法第 88 条第3項(、安衛令第 24 条 及び 安衛則第 90 条(第六号))の規定により、掘削の深さが 10 メートル以上の土石の採取のための掘削の作業を行う仕事を開始しようとする土石採取業の事業者は、その計画を当該仕事の開始の日の 14 日前までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
【労働安全衛生法】
(計画の届出等)
第88条 (第1項及び第2項 略)
3 事業者は、建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事(建設業に属する事業にあつては、前項の厚生労働省令で定める仕事を除く。)で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。
4~7 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(計画の届出をすべき業種)
第24条 法第88条第3項の政令で定める業種は、土石採取業とする。
【労働安全衛生規則】
第90条 法第88条第3項の厚生労働省令で定める仕事は、次のとおりとする。
一~五の四 (略)
六 掘削の高さ又は深さが10メートル以上の土石の採取のための掘削の作業を行う仕事
七 (略)
※ 本問出題当時は、安衛法第 88 条第3項は第4項として定められていた。
(2)正しい。計画を作成するときに、安衛法第 88 条第4項の規定により、法令で定められた資格を有する者を参画させなければならない仕事の範囲は、安衛則第 92 条の2第2項で定められている。
そして、安衛則第 92 条の2第2項(同第 90 条第五号)は、圧気工法による作業を行う仕事を規定している。
【労働安全衛生法】
(計画の届出等)
第88条 (第1項~第3項 略)
4 事業者は、第1項の規定による届出に係る工事のうち厚生労働省令で定める工事の計画、第2項の厚生労働省令で定める仕事の計画又は前項の規定による届出に係る仕事のうち厚生労働省令で定める仕事の計画を作成するときは、当該工事に係る建設物若しくは機械等又は当該仕事から生ずる労働災害の防止を図るため、厚生労働省令で定める資格を有する者を参画させなければならない。
5~7 (略)
【労働安全衛生規則】
第90条 (柱書 略)
一~四 (略)
五 圧気工法による作業を行う仕事
五の二~七 (略)
(資格を有する者の参画に係る工事又は仕事の範囲)
第92条の2 (第1項 略)
2 法第88条第4項の厚生労働省令で定める仕事は、第90条第一号から第五号までに掲げる仕事(同条第一号から第三号までに掲げる仕事にあつては、建設の仕事に限る。)とする。
※ 本問出題当時は、安衛法第 88 条第4項は第5項として定められていた。
(3)試験当時は正しい肢であった。しかし、2014年(平成26年)の法改正(概要の「6.規制・届出の見直し等」を参照)で、それまでの規模の大きい工場等で、建設物、機械等の設置・移転等(生産ライン等の新設・変更)を行う場合の事前届出の制度が廃止された。このため、現時点では、このような届け出の必要はなくなっている。
(4)試験当時も正しい肢であったが、改正後も届け出の必要がないという意味では現時点でも正しい肢である。ただ、ほぼ意味のない内容となっている。
(5)試験当時は、本肢が誤りの肢であった。改正後も届け出の必要がないという意味では現時点でも誤っている肢である。ただ、ほぼ意味のない内容となっている。
※ 本問出題当時の関係条文を参考までに示す。なお、ここに示した安衛法第 88 条第2項並びに安衛則第 84 条の2及び同規則第 88 条は改正により削除されている。また、当時においても安衛則別表第七に金属加工用のボール盤及びシャーは定められていない。
【労働安全衛生法】
(計画の届出等)
第88条 事業者は、当該事業場の業種及び規模が政令で定めるものに該当する場合において、当該事業場に係る建設物若しくは機械等(仮設の建設物又は機械等で厚生労働省令で定めるものを除く)を設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、第28条の2第1項に規定する措置その他の厚生労働省令で定める措置を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、この限りでない。
2 前項の規定は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとする事業者(同項本文の事業者を除く。)について準用する。
3~8 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(職長等の教育を行うべき業種)
第19条 (柱書 略)
一~三 (略)
四 ガス業
五及び六 (略)
(計画の届出をすべき業種等)
第24条 法第88条第1項の政令で定める業種及び規模の事業場は、第19条第二号から第六号までに掲げる業種の事業場で、電気使用設備の定格容量の合計が300キロワツト以上のものとする。
2 法第88条第4項の政令で定める業種は、土石採取業とする。
【労働安全衛生規則】
(計画の届出を要しない仮設の建設物等)
第84条の2 法第88条第1項の厚生労働省令で定める仮設の建設物又は機械等は、次に該当する建設物又は機械等で、6月未満の期間で廃止するもの(高さ及び長さがそれぞれ10メートル以上の架設通路又はつり足場、張出し足場若しくは高さ10メートル以上の構造の足場にあつては、組立てから解体までの期間が60日未満のもの)とする。
一 (略)
二 原動機の定格出力が1.5キロワット未満である機械等(法第37条第1項の特定機械等を除く。次号及び第89条第一号において同じ。)
三 (略)
(計画の届出をすべき機械等)
第88条 第88条第2項の厚生労働省令で定める機械等は、法に基づく他の省令に定めるもののほか、別表第七の上欄に掲げる機械等(同表の21の項の上欄に掲げる機械等にあつては放射線装置に限る。次項において同じ。)とする。
2及び3 (略)