問7 爆発、火災等を防止するため事業者が講じた措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、違反となるものはどれか。
(1)近接する二つの化学設備の間に、使用中にしばしば開放することがあるストレーナを設けているが、ストレーナとこれらの化学設備との間のバルブをそれぞれ二重に設けたので、当該バルブが確実に閉止していることを確認することができる装置は設けなかった。
(2)特殊化学設備に使用する動力源について、動力源の異常による爆発又は火災を防止するための直ちに使用することができる予備動力源を備えなかった。
(3)化学設備の内部で行う清掃の作業において、作業箇所に危険物が漏れないようにバルブを二重に閉止したので、閉止板を設けなかった。
(4)20日間全く使用しなかった化学設備の使用を再開するとき、この間に改造又は修理を行っていなかったので、当該設備の内面及び外面の著しい損傷や腐食の有無について点検しなかった。
(5)化学設備の安全弁及び自動警報装置の機能について1年ごとに自主検査を行った。
このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2012年度(平成24年度) | 問07 | 難易度 | 爆発火災の防止に関するやや詳細な知識問題。やや詳細な内容の肢もあるが、本問は正答しておきたい。 |
---|---|---|---|
爆発、火災等の防止 | 4 |
問7 爆発、火災等を防止するため事業者が講じた措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、違反となるものはどれか。
(1)近接する二つの化学設備の間に、使用中にしばしば開放することがあるストレーナを設けているが、ストレーナとこれらの化学設備との間のバルブをそれぞれ二重に設けたので、当該バルブが確実に閉止していることを確認することができる装置は設けなかった。
(2)特殊化学設備に使用する動力源について、動力源の異常による爆発又は火災を防止するための直ちに使用することができる予備動力源を備えなかった。
(3)化学設備の内部で行う清掃の作業において、作業箇所に危険物が漏れないようにバルブを二重に閉止したので、閉止板を設けなかった。
(4)20日間全く使用しなかった化学設備の使用を再開するとき、この間に改造又は修理を行っていなかったので、当該設備の内面及び外面の著しい損傷や腐食の有無について点検しなかった。
(5)化学設備の安全弁及び自動警報装置の機能について1年ごとに自主検査を行った。
正答(2)
【解説】
(1)違反とはならない。安衛則第272条第一号の本文により、近接する二つの化学設備の間に、使用中にしばしば開放することがあるストレーナを設け、ストレーナとこれらの化学設備との間のバルブをそれぞれ二重に設けているのであるから違反とはならない。
当該バルブが確実に閉止していることを確認することができる装置を設けたかどうかにはかかわらない。
【労働安全衛生規則】
(バルブ等の材質等)
第272条 事業者は、化学設備のバルブ又はコックについては、次に定めるところによらなければならない。
一 (略)
二 化学設備の使用中にしばしば開放し、又は取り外すことのあるストレーナ等とこれらに最も近接した化学設備(配管を除く。以下この号において同じ。)との間には、二重に設けること。ただし、当該ストレーナ等と当該化学設備の間に設けられるバルブ又はコックが確実に閉止していることを確認することができる装置を設けるときは、この限りでない。
(2)違反となる。安衛則第273条の5第1項(第一号)により、特殊化学設備に使用する動力源については、動力源の異常による爆発又は火災を防止するための直ちに使用することができる予備動力源を備えなければならない。
【労働安全衛生規則】
(予備動力源等)
第273条の5 事業者は、特殊化学設備、特殊化学設備の配管又は特殊化学設備の附属設備に使用する動力源については、次に定めるところによらなければならない。
一 動力源の異常による爆発又は火災を防止するための直ちに使用することができる予備動力源を備えること。
二 (略)
2 (略)
(3)違反とはならない。安衛則第275条(第三号)によれば、化学設備の内部で行う清掃の作業において、作業箇所に危険物が漏れないようにバルブを二重に閉止すれば、閉止板を設けなくとも違反とはならない。
【労働安全衛生規則】
(改造、修理等)
第275条 事業者は、化学設備又はその附属設備の改造、修理、清掃等を行う場合において、これらの設備を分解する作業を行い、又はこれらの設備の内部で作業を行うときは、次に定めるところによらなければならない。
一又は二 (略)
三 作業箇所に危険物等が漏えいし、又は高温の水蒸気等が逸出しないように、バルブ若しくはコックを二重に閉止し、又はバルブ若しくはコックを閉止するとともに閉止板等を施すこと。
四又は五 (略)
(4)違反とはならない。安衛則第277条第1項は、20日間全く使用しなかった化学設備の使用を再開するとき、この間に改造又は修理を行っていなかったのであるから対象とはならない。従って、当該設備の内面及び外面の著しい損傷や腐食の有無について点検しなかったとしても違反とはならない。
【労働安全衛生規則】
(定期自主検査)
第276条 (柱書 略)
一 (略)
二 内面及び外面の著しい損傷、変形及び腐食の有無
三~七 (略)
2~4 (略)
(使用開始時の点検)
第277条 事業者は、化学設備(配管を除く。以下この条において同じ。)又はその附属設備を初めて使用するとき、分解して改造若しくは修理を行つたとき、又は引き続き一月以上使用しなかつたときは、これらの設備について前条第一項各号に掲げる事項を点検し、異常がないことを確認した後でなければ、これらの設備を使用してはならない。
2 (略)
(5)違反とはならない。安衛則第276条によれば、化学設備の安全弁及び自動警報装置の機能等についての定期自主検査は、2年以内ごととに1回行うことが義務付けられている。これを1年ごとに行っているのであるから違反とはならない。
【労働安全衛生規則】
(定期自主検査)
第276条 事業者は、化学設備(配管を除く。以下この条において同じ。)及びその附属設備については、二年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、二年を超える期間使用しない化学設備及びその附属設備の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一~三 (略)
四 安全弁、緊急しや断装置その他の安全装置及び自動警報装置の機能
五~七 (略)
2~4 (略)