問6 足場に係る危険を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)外径及び肉厚が近似している鋼管で、強度が異なるものを同一事業場で使用するときは、鋼管に色又は記号を付する等の方法により鋼管の強度を識別することができる措置を講じなければならないが、この措置は色を付する方法のみによってはならない。
(2)鋼管規格に適合する鋼管を用いて構成されるわく組足場については、3層以内ごとに水平材を設けなければならない。
(3)高さ30メートルのわく組足場の壁つなぎの間隔は、垂直方向を9メートル以下、水平方向を8メートル以下としなければならない。
(4)高さが5メートル以上の構造の足場の解体の作業において、足場材の取りはずし、受渡し等の作業を行うときは、幅40センチメートル以上の足場板を設け、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等の墜落による危険を防止するための措置を講じなければならない。
(5)足場の組立て作業において、足場の組立て等作業主任者は、器具、工具、要求性能墜落制止用器具及び保護帽の機能を点検させ、不良品を取り除かさせなければならない。
このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2012年度(平成24年度) | 問06 | 難易度 | 足場に関するやや詳細な知識問題である。建築業以外の受験者には、やや難問だっただろうか。 |
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足場に係る危険防止 | 4 |
問6 足場に係る危険を防止するため事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)外径及び肉厚が近似している鋼管で、強度が異なるものを同一事業場で使用するときは、鋼管に色又は記号を付する等の方法により鋼管の強度を識別することができる措置を講じなければならないが、この措置は色を付する方法のみによってはならない。
(2)鋼管規格に適合する鋼管を用いて構成されるわく組足場については、3層以内ごとに水平材を設けなければならない。
(3)高さ30メートルのわく組足場の壁つなぎの間隔は、垂直方向を9メートル以下、水平方向を8メートル以下としなければならない。
(4)高さが5メートル以上の構造の足場の解体の作業において、足場材の取りはずし、受渡し等の作業を行うときは、幅40センチメートル以上の足場板を設け、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等の墜落による危険を防止するための措置を講じなければならない。
(5)足場の組立て作業において、足場の組立て等作業主任者は、器具、工具、要求性能墜落制止用器具及び保護帽の機能を点検させ、不良品を取り除かさせなければならない。
※ 法令の変更に合わせ、原文の「安全帯」を「要求性能墜落制止用器具」と修文する等、問題文の数か所を修正した。
正答(2)
【解説】
(1)正しい。安衛則第573条第1項により、外径及び肉厚が近似している鋼管で、強度が異なるものを同一事業場で使用するときは、鋼管に色又は記号を付する等の方法により鋼管の強度を識別することができる措置を講じなければならない。
そして同条第2項により、この措置は色を付する方法のみによってはならない。
【労働安全衛生規則】
(鋼管の強度の識別)
第573条 事業者は、外径及び肉厚が同一であり、又は近似している鋼管で、強度が異なるものを同一事業場で使用するときは、鋼管の混用による労働者の危険を防止するため、鋼管に色又は記号を付する等の方法により、鋼管の強度を識別することができる措置を講じなければならない。
2 前項の措置は、色を付する方法のみによるものであつてはならない。
(2)誤り。安衛則第571条の規定(第五号)により、管規格に適合する鋼管を用いて構成されるわく組足場については、最上層及び五層以内ごとに水平材を設けなければならない。3層以内ごとではない。
【労働安全衛生規則】
(令別表第八第一号に掲げる部材等を用いる鋼管足場)
第571条 事業者は、令別表第八第一号に掲げる部材又は単管足場用鋼管規格に適合する鋼管を用いて構成される鋼管足場については、前条第一項に定めるところによるほか、単管足場にあつては第一号から第四号まで、わく組足場にあつては第五号から第七号までに定めるところに適合したものでなければ使用してはならない。
一~四 (略)
五 最上層及び五層以内ごとに水平材を設けること。
六及び七 (略)
2及び3 (略)
(3)正しい。安衛則第570条第1項(第五号イ)の規定により、高さ30メートルのわく組足場の壁つなぎの間隔は、垂直方向を9メートル以下、水平方向を8メートル以下としなければならない。
【労働安全衛生規則】
(鋼管足場)
第570条 事業者は、鋼管足場については、次に定めるところに適合したものでなければ使用してはならない。
一~四 (略)
五 一側足場、本足場又は張出し足場であるものにあつては、次に定めるところにより、壁つなぎ又は控えを設けること。
イ 間隔は、次の表の上欄に掲げる鋼管足場の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下とすること。
鋼管足場の種類 | 間隔(単位メートル) | |
---|---|---|
垂直方向 | 水平方向 | |
単管足場 | 五 | 五・五 |
わく組足場(高さが五メートル未満のものを除く。) | 九 | 八 |
ロ及びハ (略)
六 (略)
2 (略)
(4)正しい。安衛則第564条の規定により、高さが5メートル以上の構造の足場の解体の作業において、足場材の取りはずし、受渡し等の作業を行うときは、幅40センチメートル以上(※)の足場板を設け、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等の墜落による危険を防止するための措置を講じなければならない。
※ 出題当時、本問の問題文は「幅20センチメートル以上の足場板」とされていた。これは当時の安衛則第564条第1項第四号の規定に則したものだが、その後の平成21年の労働安全衛生規則の一部改正により同号の規定が40センチメートル以上とされたため、これに合わせて問題文を修正した。
なお、これは「足場の組立て等の作業に係る墜落防止措置の充実」によるもので、従来は「足場材の緊結等の作業にあっては、幅 20 センチメートル以上の足場板を設け、労働者に安全帯を使用させる等労働者の墜落による危険を防止するための措置を講ずること」とされていた。これが原則として「幅 40 センチメートル以上の作業床を設けること」及び「安全帯を安全に取り付けるための設備等を設け、かつ、労働者に安全帯(平成30年にさらに「安全帯」が「要求性能墜落制止用器具」と改正:引用者注)を使用させる措置を講ずること」とされたのである。
足場の作業床に係る墜落防止措置としては、改正前から「足場における高さ2メートル以上の作業場所に設けられる作業床の要件」として「幅は 40 センチメートル上、床材間の隙間は3センチメートル以下」と定められていたことを念のため記しておく。
【労働安全衛生規則】
(足場の組立て等の作業)
第564条 事業者は、つり足場、張出し足場又は高さが二メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業を行うときは、次の措置を講じなければならない。
一~三 (略)
四 足場材の緊結、取り外し、受渡し等の作業にあつては、墜落による労働者の危険を防止するため、次の措置を講ずること。
イ 幅四十センチメートル以上の作業床を設けること。ただし、当該作業床を設けることが困難なときは、この限りでない。
ロ 要求性能墜落制止用器具を安全に取り付けるための設備等を設け、かつ、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる措置を講ずること。ただし、当該措置と同等以上の効果を有する措置を講じたときは、この限りでない。
五 (略)
2 (略)
(5)正しい。安衛則第566条により、事業者は、足場の組立て作業において、足場の組立て等作業主任者に、器具、工具、要求性能墜落制止用器具(※)及び保護帽の機能を点検させ、不良品を取り除かさせなければならない。
※ 出題当時、本問の問題文は「安全帯」とされていた。これは当時の法令の規定に則したものだが、平成30年の安衛令、安衛則等の改正により法令の規定が「安全帯」から「要求性能墜落制止用器具」と改正されたため、これに合わせて問題文を修正した。
【労働安全衛生規則】
(足場の組立て等作業主任者の職務)
第566条 事業者は、足場の組立て等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。ただし、解体の作業のときは、第一号の規定は、適用しない。
一 (略)
二 器具、工具、要求性能墜落制止用器具及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
三及び四 (略)