問16 鋼溶接継手の非破壊検査に用いられている放射線透過試験に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)透過写真により得られるきずの像は、きずの種類と大きさとによって1類から10類に分類されている。
(2)放射線透過試験は、放射線の進行方向(透過方向)に奥行きのある内部きずの検出に適している。
(3)透過度計は、撮影された透過写真がどの程度の大きさのきずまで検出できているかを知るためのゲージである。
(4)階調計は、透過写真の像質を評価するために用いられるもので、3種類の階調計が母材の厚さに応じて使い分けられている。
(5)放射線は、光と同様に焦点からきずまでの距離Lの二乗に反比例して弱くなるので、Lが大きくなるほどX線フィルムの露出時間を長くする必要がある。
このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2012年度(平成24年度) | 問16 | 難易度 | 放射線透過試験装置に関するやや高度な知識問題である。難問の部類であろう。 |
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放射線透過試験 | 5 |
問16 鋼溶接継手の非破壊検査に用いられている放射線透過試験に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)透過写真により得られるきずの像は、きずの種類と大きさとによって1類から10類に分類されている。
(2)放射線透過試験は、放射線の進行方向(透過方向)に奥行きのある内部きずの検出に適している。
(3)透過度計は、撮影された透過写真がどの程度の大きさのきずまで検出できているかを知るためのゲージである。
(4)階調計は、透過写真の像質を評価するために用いられるもので、3種類の階調計が母材の厚さに応じて使い分けられている。
(5)放射線は、光と同様に焦点からきずまでの距離Lの二乗に反比例して弱くなるので、Lが大きくなるほどX線フィルムの露出時間を長くする必要がある。
正答(1)
【解説】
(1)誤り。JIS Z 3104:1995「鋼溶接継手の放射線透過試験方法」 附属書4は、きずを種類ごとに1種から4種に分類し、きずの種別ごとに1類から4類に分類した結果に基づいて総合分類を行うとしている。
(2)正しい。放射線透過試験は、エックス線やガンマ線などの放射線を、試験試料に透過させて、写真フィルムを感光させることで傷の有無を調べる検査方法である。このため、放射線の進行方向(透過方向)に奥行きのある内部きずは検出しやすいのである(※)。
※ 富士岳「基礎計測講座「非破壊検査」」(日本舶用機関学会誌 Vol.17 No.6 1982年)などを参照
(3)正しい。JIS Z 2306:2015「放射線透過試験用透過度計」(像質計)とは、放射線透過試験に用いられる試験器具である。放射線透過写真の像質を評価するためのゲージのことである。撮影された透過写真がどの程度の大きさのきずまで検出できているかを知るために用いられる。
(4)正しい。階調計は、透過写真のコントラストを求めるために厚さを階段状に変化させたゲージである。階調計の濃度差から、透過写真の像質を評価する。
母材の厚さによって、15形(母材の厚さ20.0㎜以下)、20形(同20.0㎜を超え40.0㎜以下)、25形(同40.0㎜を超え50.0㎜以下)の3種類がある。
(5)正しい。放射線は、光と同様に焦点からきずまでの距離Lの二乗に反比例して弱くなるので、Lが大きくなるほどX線フィルムの露出時間を長くする必要がある。