問2 厚生労働省の「製造業(造船業を除く。)における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針」における事業者が実施すべき事項に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)総合的な安全衛生管理の体制を確立するため、関係請負人の労働者を含めた元方事業者の事業場全体の労働者の数が常時50人以上である場合は、作業間の連絡調整等の事項を統括管理する者を選任し、当該事項を統括管理させること。
(2)関係請負人の数が少ない場合を除き、関係請負人と協議を行う協議組織を設置し、定期的に開催するとともに、その使用する労働者に協議会における協議結果を周知させること。
(3)定期的に、混在作業による労働災害を防止するため必要な範囲について作業場所を巡視すること。
(4)関係請負人の労働者に対する雇入れ時教育、作業内容変更時教育及び特別教育については、関係請負人に行わせることなく、関係請負人に代わって自ら行うこと。
(5)関係請負人が防爆構造の電気機械器具、車両系荷役運搬機械、車両系建設機械等労働災害発生のおそれのある機械等を持ち込む場合は、当該関係請負人に、事前に通知させこれを把握しておくとともに、定期自主検査、作業開始前点検等を確実に実施させること。
このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2012年度(平成24年度) | 問02 | 難易度 | 安全衛生管理体制の基本的な考え方の理解を問う問題。確実に正答できなければならない。 |
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元方事業者安全管理 | 1 |
問2 厚生労働省の「製造業(造船業を除く。)における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針」における事業者が実施すべき事項に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)総合的な安全衛生管理の体制を確立するため、関係請負人の労働者を含めた元方事業者の事業場全体の労働者の数が常時50人以上である場合は、作業間の連絡調整等の事項を統括管理する者を選任し、当該事項を統括管理させること。
(2)関係請負人の数が少ない場合を除き、関係請負人と協議を行う協議組織を設置し、定期的に開催するとともに、その使用する労働者に協議会における協議結果を周知させること。
(3)定期的に、混在作業による労働災害を防止するため必要な範囲について作業場所を巡視すること。
(4)関係請負人の労働者に対する雇入れ時教育、作業内容変更時教育及び特別教育については、関係請負人に行わせることなく、関係請負人に代わって自ら行うこと。
(5)関係請負人が防爆構造の電気機械器具、車両系荷役運搬機械、車両系建設機械等労働災害発生のおそれのある機械等を持ち込む場合は、当該関係請負人に、事前に通知させこれを把握しておくとともに、定期自主検査、作業開始前点検等を確実に実施させること。
正答(4)
【解説】
本問は、問題文にあるように「製造業(造船業を除く。)における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針」(通達)(以下「指針」という。)(※)に関する知識問題である。ただ、安全衛生管理の基本的な思想が理解できていれば、指針の内容を知らなくても正答できる。
※ 造船業を除いているのは、造船業については安全対策が必要ではないという趣旨ではない。造船業は、別途、「造船業における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針」が定められているのである。
(1)適切である。指針の第2の1の「(1)作業間の連絡調整等を統括管理する者の選任等」に「元方事業者は、総合的な安全衛生管理の体制を確立するため、元方事業者の事業場全体の労働者の数(元方事業者の労働者及び関係請負人の労働者を合わせた労働者数)が常時50人以上である場合は、作業間の連絡調整等2以下に掲げる事項を統括管理する者を選任し、当該事項を統括管理させること
」とされている。
(2)適切である。指針の第2の「3 関係請負人との協議を行う場の設置及び運営」に「元方事業者は、関係請負人との間において必要な情報を共有し、共通認識を持つことが混在作業による労働災害防止に当たって有効であることから、関係請負人の数が少ない場合を除き、関係請負人と協議を行う場(以下「協議会」という。)を設置し、定期的に開催するとともに、その使用する労働者に協議会における協議結果を周知させること
」とされている。
(3)適切である。指針の第2の「4 作業場所の巡視」に「元方事業者は、連絡調整の実施状況等現場の状況を確認することが混在作業による労働災害の防止に当たって有効であることから、定期的に、混在作業による労働災害を防止するため必要な範囲について作業場所を巡視すること
」とされている。
(4)適切ではない。指針の第2の「5 関係請負人が実施する安全衛生教育に対する指導援助」に「元方事業者は、必要に応じ、関係請負人が行う労働者の雇入れ時教育、作業内容変更時教育、特別教育等の安全衛生教育について、場所の提供、資料の提供等を行うこと
」とされている。元方事業者の行うべきことは「指導援助」であって、関係請負人の労働者に対する雇入れ時教育、作業内容変更時教育及び特別教育について、関係請負人に代わって自ら行うことではない。
雇入れ時教育等は、安衛法上、労働者を雇用している事業者が行うべきことである。仮に、元方事業者が、関係請負人の労働者の雇入れ時教育等を行っていることがあったとしても、それは関係請負人の行うべき教育を代行しているのであって、教育を実施する安衛法上の義務者として主体的に行っているわけではない(※)。
※ 従って、雇入れ時教育等が行われていなかった場合、法違反の実行行為者はその労働者を雇用している事業者であって、元方事業者ではない。
(5)適切である。指針の第2の7の「(2)労働災害発生のおそれのある機械等の持込み状況の把握」に「元方事業者は、関係請負人が防爆構造の電気機械器具、車両系荷役運搬機械、車両系建設機械等労働災害発生のおそれのある機械等を持ち込む場合は、当該関係請負人に、事前に通知させこれを把握しておくとともに、定期自主検査、作業開始前点検等を確実に実施させること
」とされている。