労働衛生コンサルタント筆記試験(労働衛生一般)直前チェックシート

作業環境測定


協議するビジネスパーソン

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、労働衛生教育の対象者、教育内容、実施時期等について解説しています。

 労働衛生コンサルタント試験の筆記試験の直前チェックシートとして作成しました。

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【作業環境測定】

出題年 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 重要性
出題数 2 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 1 2

作業環境測定に関する出題の範囲は、実はかなり広範囲に渡っている。ただ、いくつかのパターンで繰り返して出題されているケースもあり、それらの問題を捨ててしまうのは得策ではない。

繰り返して出題されるパターンについては、押さえておく必要がある。

1 作業環境測定結果の評価(基本)

作業環境測定結果の評価とは、作業環境測定の結果(測定値)を基準に照らして、その作業場の評価を行うということである。

この場合の基準とは、「管理濃度」であり厚生労働大臣がこれを定めている。

【作業環境測定結果の評価】

  • 作業環境測定は、A測定・B測定とC測定・D測定の2つの組合せがある。A測定・B測定とは作業場の一定の場所で測定を行い、C測定・D測定は作業者の呼吸域で測定を行う。いずれも、作業場の「場」の評価を行うものである。
  • A測定又はC測定とは、その作業場における、通常時の気中濃度の分布を知るための測定であり、その測定結果から第1評価値と第2評価値を算定する。
  • 第1評価値とは、「単位作業場所について考えられるすべての測定点の中に、管理濃度を越える濃度が存在する可能性が5%未満であるような水準値として数量化された値」である。分かりやすく言えば、「その作業場所で気中濃度が高い方から5%のところの濃度」である。
  • 第2評価値とは「作業環境中の有害物質の平均濃度が、管理濃度を超えるような水準値として数量化された値」ということになる。「その作業場所の気中濃度の算術平均値」と考えておけばよい。
  • B測定又はD測定とはその作業場において、作業者の行動範囲での最も気中濃度が高くなる場所、時間における濃度(10分間(B測定)又は15分間(D測定)の平均)と考えておこう。B測定を複数の場所で行った場合は、その最大値である。
  • 昭和63年9月16日基発第605号「作業環境評価基準の適用について」の第三の三の(一)に「「B測定」とは、作業環境測定基準第二条第一項第二号の二の規定により行う測定、すなわち単位作業場所において、労働者が有害物質の発生源と共に移動する場合等A測定の結果を評価するだけでは労働者の有害物質への大きな暴露の危険性を見逃すおそれがあると考えられる作業が存在する場合に、当該単位作業場所について行うA測定を補完するための測定であること」とされている。

2 重要なポイント

【重要なポイント】

  • 作業環境評価基準第2条第3項の規定により、測定値が管理濃度の10分の1に満たない測定点があったときは、管理濃度の10分の1を当該測定点における測定値とみなして、管理区分の決定を行うことができる。
  • 作業環境評価基準第2条第2項により、A測定で、測定値が定量下限の値に満たない測定点があるときは、当該定量下限の値を当該測定点における測定値とみなして、管理区分の決定を行う。
  • 作業環境測定基準作業環境測定結果摘要書(様式第2号)には「「B測定値又はD測定値」の欄は、B測定値又はD測定値が二以上ある場合には、そのうちの最大値を記入すること」とされている。
  • 1単位作業場所において順次サンプリングする方法でA測定を行うときは、最初の測定点でのサンプリング開始から最後の測定点でのサンプリング終了までの時間が、1時間以上になるようにする。
  • 作業環境評価基準第 10 条第5項(第二号)の規定により、C測定は、労働者にばく露される個人サンプリング法対象特化物の量がほぼ均一であると見込まれる作業ごとに、5人以上の適切な数の労働者に対して行う。
  • 作業環境評価基準第 10 条第5項(第六号)の規定により、D測定を行う場合は、作業が行われる時間のうち、対象となる個人サンプング法の対象物質の濃度が最も高くなると思われる時間に、15 分間のサンプリングを行う。

3 作業環境測定結果の評価

作業環境測定の基礎理論では、作業場の気中濃度の分布は「対数正規分布」となることになっている。そして、対数正規分布をする濃度の算術平均濃度EA2は、幾何平均値をM、幾何標準偏差をσとすると、

log EA 2 log M 1.151 log 2 σ

となるのである。

また、上から5%の値EA1

log EA 1 log M 1.645 log 2 σ

となる。

現実の第一評価値と第二評価値は作業環境評価基準では、次の方法によって算定することとされている。例えば1日で測定する場合には、1日で測定した幾何標準偏差σ1をそのままσとして用いるのではなく、次式によって修正しているわけである。要は、経験的にみて測定したσ1よりバラツキが大きくなるので、安全のために若干高い数値を用いるのである。

log2σ=log2σ1+0.084

【作業環境評価基準】

(評価値の計算)

第3条 前条第一項の第一評価値及び第二評価値は、次の式により計算するものとする。

log EA 1 log M 1 1.645 log 2 σ 1 0.084

log EA 2 log M 1 1.151 ( log 2 σ 1 0.084 )

(これらの式において、EA1M1σ1及びEA2は、それぞれ次の値を表すものとする。

EA1 : 第一評価値
M1 : A測定の測定値の幾何平均値
σ1 : A測定の測定値の幾何標準偏差
EA2 : 第二評価値)

 前項の規定にかかわらず、連続する2作業日(連続する2作業日について測定を行うことができない合理的な理由がある場合にあつては、必要最小限の間隔を空けた2作業日)に測定を行つたときは、第一評価値及び第二評価値は、次の式により計算することができる。

log EA 1 log M 1 log M 2 2 1.645 log 2 σ 1 log 2 σ 2 2 ( log M 1 log M 2 ) 2 2

log EA 2 log M 1 log M 2 2 1.151 { log 2 σ 1 log 2 σ 2 2 ( log M 1 log M 2 ) 2 2 }

(これらの式において、EA1M1M2σ1σ2及びEA2は、それぞれ次の値を表すものとする。

EA1 : 第一評価値
M1 : 一日目のA測定の測定値の幾何平均値
M2 : 二日目A測定の測定値の幾何平均値
σ1 : 一日目のA測定の測定値の幾何標準偏差
σ2 : 二日目A測定の測定値の幾何標準偏差
EA2 : 第二評価値)
※ 厚生労働省「作業環境評価基準」(令和2年4月 22 日厚生労働省告示第 192 号)

【A測定】

管理区分 評価値と測定対象物に係る別表に掲げる管理濃度との比較の結果
第一管理区分 第一評価値が管理濃度に満たない場合
第二管理区分 第一評価値が管理濃度以上であり、かつ、第二評価値が管理濃度以下である場合
第三管理区分 第二評価値が管理濃度を超える場合

【B測定】

管理区分 評価値又はB測定の測定値と測定対象物に係る別表に掲げる管理濃度との比較の結果
第一管理区分 第一評価値及びB測定の測定値(二以上の測定点においてB測定を実施した場合には、そのうちの最大値。以下同じ。)が管理濃度に満たない場合
第二管理区分 第二評価値が管理濃度以下であり、かつ、B測定の測定値が管理濃度の一・五倍以下である場合(第一管理区分に該当する場合を除く。)
第三管理区分 第二評価値が管理濃度を超える場合又はB測定の測定値が管理濃度の一・五倍を超える場合

【総合判定】

A測定 X<A2 ①第3管理区分 ④第3管理区分 ⑦第3管理区分
A2≦X≦A1 ②第2管理区分 ⑤第2管理区分 ⑧第3管理区分
A1<X ③第1管理区分 ⑥第2管理区分 ⑨第3管理区分
A1:第1評価値、A2第2評価値
B:B測定結果、X:管理濃度
B<X X≦B≦1.5X 1.5X<B
B測定

4 作業環境測定のデザイン

【重要事項(作業環境測定のデザイン)】

  • 作業環境測定基準に、単位作業場所とは「当該作業場の区域のうち労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域をいう」とされている。
  • 単位作業場所は、必ずしも、平面的な場所だけでなく、装置の周囲に設けられた作業足場のような立体的な作業場も単位作業場所となり得る。
  • 作業環境測定基準」に「(気中の:引用者)濃度がほぼ均一であることが明らかなときは、測定点に係る交点は、当該単位作業場所の床面上に六メートルを超える等間隔で引いた縦の線と横の線との交点とすることができる」とされている。
  • 昭和 57 年6月 14 日基発第 412 号「作業環境測定基準の一部改正について」の記の「1 第二条関係」の(2)に「『粉じんの濃度が均一であることが明らかなとき』には、過去において実施した作業環境測定の記録により、測定値の幾何標準偏差がおおむね 1.2 以下であることが明らかなときがある」とされている。
  • 例えば粉じんについては「作業環境測定基準」の第2条の一号の二に「前号の規定にかかわらず、同号の規定により測定点が5に満たないこととなる場合にあっても、測定点は、単位作業場所について5以上とすること。ただし、単位作業場所が著しく狭い場合であって、当該単位作業場所における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度がほぼ均一であることが明らかなときは、この限りでない」とされている。
  • その場合であっても昭和 57 年6月 14 日基発第 412 号「作業環境測定基準の一部改正について」は、「(これに該当する場合には:引用者)当該単位作業場所における測定値の総数を5以上とするよう指導すること」とされている。
  • A測定の2日間測定は、有害物濃度の日間変動を加味した測定結果を得るためであるが、合理的な理由がある場合は、連続する二作業日に実施しなくてもよい。
  • 作業環境測定基準第2条第1項第1号(但書)に「単位作業場所における、測定点に係る交点は、当該単位作業場所の床面上に六メートルを超える等間隔で引いた縦の線と横の線との交点とすることができる」とされており、この規定は特定化学物質の測定(第10条第4項)及び有機溶剤の測定に準用(第13条第4項)されている。
  • 作業環境測定基準第2条によって定められる測定点は、カッコ書きによって「設備等があって測定が著しく困難な位置を除く」とされている。しかしながら、昭和63年9月16日基発第604号「作業環境測定基準の一部改正について」において「『設備等があって測定が著しく困難な位置を除く』とは、設備等があるために労働者の呼吸域となることが考えられないような位置を除く趣旨であって、設備等の上に労働者が乗り出す等により労働者の呼吸域となる可能性のある位置は、これに該当しないものであること」とされている。
  • 昭和63年9月16日基発第604号「作業環境測定基準の一部改正について」の「第2 細部事項」の「1 第二条第一項第一号関係」の(2)に「縦の線の間隔と横の線の間隔とは、必ずしも同一である必要はないが、縦方向及び横方向のそれぞれの間隔は同一としなければならないものであること」とされている。

5 作業環境測定の対象物質、捕集方法等

【補修方法】

  • ろ過捕集法は、ろ紙により試料空気中の粒子を捕集する方法で、鉱物性粉じんの捕集に用いられている。
  • 固体捕集法は、吸着剤により試料空気中の蒸気を捕集する方法で、有機溶剤の捕集に用いられている。
  • 液体に溶解、反応する物質について、被測定気体を液体に通したり、液体の表面と接触させたりすることにより、溶解・反応等をさせて測定対象物を捕集する方法を液体補修法という。
  • 直接捕集法は、捕集バックやキャニスター缶で、気体を捕集する方法であるが、捕集バックには気体をそのままの圧力で集めるようになっている。また、キャニスター缶はあらかじめ真空状態にしておいて、気体を捕集するものであり、気体が圧縮されることはない。
  • 相補型ろ過捕集法とは、ろ過捕集材と吸着剤とを組み合わせた捕集方法であるが、o-フタロジニトリルやアクリルアミドは、この方法によって捕集する。

6 騒音の作業環境測定

騒音の作業環境測定については、作業環境測定基準第4条に目を通しておくこと。

【作業環境測定基準】

(騒音の測定)

第4条 令第二十一条第三号の屋内作業場(労働安全衛生規則第五百八十八条各号に掲げる屋内作業場に限る。)における等価騒音レベルの測定は、次に定めるところによらなければならない。

 測定点は、単位作業場所の床面上に六メートル以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上百二十センチメートル以上百五十センチメートル以下の位置(設備等があって測定が著しく困難な場所を除く。)とすること。ただし、単位作業場所における騒音レベルがほぼ均一であることが明らかなときは、測定点に係る交点は、当該単位作業場所の床面上に六メートルを超える等間隔で引いた縦の線と横の線との交点とすることができる。

 前号の規定にかかわらず、同号の規定により測定点が五に満たないこととなる場合にあっても、測定点は、単位作業場所について五以上とすること。ただし、単位作業場所が著しく狭い場合であって、当該単位作業場所における騒音レベルがほぼ均一であることが明らかなときは、この限りでない。

 音源に近接する場所において作業が行われる単位作業場所にあっては、前二号に定める測定のほか、当該作業が行われる時間のうち、騒音レベルが最も大きくなると思われる時間に、当該作業が行われる位置において測定を行うこと。

 測定は、次に定めるところによること。

 測定に用いる機器(以下「騒音計」という。)は、等価騒音レベルを測定できるものであること。

 騒音計の周波数補正回路のA特性で行うこと。

  一の測定点における等価騒音レベルの測定時間は、十分間以上の継続した時間とすること。

2026年08月23日執筆