労働衛生コンサルタント筆記試験(労働衛生一般)直前チェックシート

有害物質の性状、空気中での状態など


協議するビジネスパーソン

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、労働衛生教育の対象者、教育内容、実施時期等について解説しています。

 労働衛生コンサルタント試験の筆記試験の直前チェックシートとして作成しました。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

【有害物質の性状、空気中での状態など】

出題年 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 重要性
出題数 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

有害物質の性状、空気中での状態に関する問題は、ほぼ毎年のように出題されている。とくに 2020 年度以降は必ず出題されており、この傾向は今後とも続くものと思われる。

表1:有害物質はどのように空気中に存在するか
定義 形状 粒径 発生の過程
粉じん
(dust)
気体(通常は、空気)の中に浮遊する化学品の固体の粒子 固体 形、大きさともに不均一 1μm以上のものが多いが、範囲は広い
ヒューム
(fume)
金属の蒸気が空気中で凝固や化学変化を起こし、固体の微粒子となって空気中に浮遊しているもの 固体 球形又は結晶形などの粒子が鎖状につながって存在する 0.2~1μm 程度のものが多い アーク溶接、溶断、スパーク等で発生した金属蒸気又はガスが空気中で冷却されて凝縮して生じる。
ミスト
(mist)
気体(通常は、空気)の中に浮遊する化学品の液滴 液体 球形 サブミクロンから 20μm 程度まで 液体の蒸気が空気中で凝縮したもの、液面の破砕によるもの、スプレー作業の噴霧により分散したものなど
ガス
(gas)
50 ℃において 300 kPa(絶対圧)を超える蒸気圧をもつ化学品か、又は 101.3 kPaの標準圧力で、20 ℃において完全にガス状である化学品 気体
蒸気
(mist)
臨界温度以下の温度において、気体として存在するもの(常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているもの) 気体
エアロゾル
(aerosol)
気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体 液体又は固体 1nm ~ 100 μm 程度

※ 粒径についてはテキストによってバラツキがある。

関連する事項として、以下のことを押さえておくこと

【ポイント】

  • 作業環境評価基準(最終改正:令和2年4月 22 日厚生労働省告示第 192 号)」では、環境空気中の有害物質の濃度の分布が対数正規分布となっていると仮定して、作業環境測定結果を評価するようになっている。
  • 濃度分布が対数正規分布となることに科学的(理論的)な根拠があるわけではないし、統計的に(帰納法的に)サンプル数を増やしていけば対数正規分布に近付くなどということもない。対数正規分布に近い分布になることが多いので、それで近似することにしようと決めただけである。
  • 「%」(percent)とは百分率の単位であり、ppm(Parts per million)は百万分率の単位である。従って、同じ濃度を「%」で表した場合と「ppm」で表した場合では、数値は1万倍の違いとなる。
  • 空気中の個々の粒子は、一般に大きさや形がバラバラである。そのため、労働衛生分野や環境分野では、その大きさを表すために様々な方式が考えられてきた。その例を一番下に示しておく。相対沈降径とストークス径は覚えておくこと。
  • 相対沈降径は、「作業環境測定基準の施行について」(昭和 51 年6月 14 日基発第 454 号)に「当該粉じんの沈降速度と等しい沈降速度を有する比重一の球の直径をいうこと」とされている。
  • 粉じん粒子の空気力学相当径とは、その粒子と同じ終末沈降速度をもつ密度1g/cmの球形粒子の直径である。
  • 遊離けい酸とは、けい素と酸素が結合した鉱物を指す言葉で結晶質シリカとも言われる。クリストバライト、トリジマイトの他、石英、コーサイト、ステイショバライトなどがある。
分類 名称 記号 定義
三軸径 長径 外接直方体の長軸寸法
短径 b 外接直方体の短軸寸法
厚み t 外接直方体の厚み
相当径 等体積球相当径 DV いびつな粒子と等しい体積をもつ球の直径
等表面積球相当径 DS いびつな粒子と等しい表面積をもつ球の直径
ヘイウッド径 DH いびつな粒子と等しい投影面積をもつ円の直径
ストークス径** DSt いびつな粒子と等しい沈降速度をもつ球の直径
定方向径 フェレ―径 DF 投影粒子を定方向の二本の平行線で挟んでできる垂線の長さ
マーチン径 DM 粒子の投影面積を二等分する定方向の線分の長さ
クルムバイン径 DK 投影した粒子像の定方向の最大長さ(定方向最大径ともいう。)
有効径 ふるい目開き径 DP ふるいの目開きで定義される寸法
(ストークス径)** (DSt) いびつな粒子と等しい沈降速度をもつ球の直径

* 粒子群に対する定義であるが、実用的(測定が便利)であるため、単一粒子径の分類表と一緒に記載している成書が多い。

** 粒子群に対する定義であることから、相当径の代わりに有効径として分類している成書もある。

※ 三上貴司「2.粉粒体の基本物性」(粉体工学 令和6年4月14日改訂版)
2026年08月25日執筆