
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、特定機械の製造時等検査と落成検査について考え方と実例を示しています。
労働安全コンサルタント試験の筆記試験の直前チェックシートとして作成しました。
柳川に著作権があることにご留意ください。
【特定機械の製造時等検査と落成検査】
出題年 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 重要性 |
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出題数 | 1 | 1 | 2 | 中 |
最初に、製造時等検査と落成検査の違いについて解説しておこう。
【製造時等検査と落成検査の違い】
- 製造時等検査(安衛法第 38 条第1項)とは、それまで本邦内になかったものを存在させるときに必要になると思えばよい。製造、輸入がこれに当たる。また、いったん廃止した物は本邦から(法的に)なくなってしまうので、再設置するときも製造時等検査が必要になる。
- 落成検査(安衛法第 38 条第3項)とは、特定の場所に設置してこれから使おうとするときに必要になる検査である。
ここで基本的なルール(覚えておくべきこと)は次のようになる。
- 特定機械を、製造、輸入、廃止したものを再設置するとき等には、製造時等検査が必要になる。
- 特定機械を、特定の場所に固定して設置したときは落成検査が必要になる。
- 製造時等検査(安衛法第 38 条第1項)は登録製造時等検査機関又は労働局長が行い、落成検査(安衛法第 38 条第3項)は監督署長が行う。
- 製造して、特定の場所に固定して設置されるものは、製造時等検査と落成検査の双方が必要になる(①)。
- 特定の場所で組み立てて、固定して設置されるものは、落成検査のみが必要になる(②)。
- 製造して、特定の場所に固定して設置されず、不特定の場所へ移動して使用されるものは製造時等検査のみが必要になる(③)。
※ ①、②、③の具体例は、下記図及び記述を参照されたい。
- ①は、特定の場所に固定して設置して使われるものである。その例としては、移動式以外のボイラーと第一種圧力容器がある。これらを製造した時には製造時等検査が必要になり、特定の場所に設置するときには落成検査も必要になる。
- ②は、特定の場所で組み立てて、固定して設置されるものである。その例としては、クレーン、デリック、エレベーター及び建設リフトがある。考え方としては、現地(設置場所)で「製造」されるので、製造検査と落成検査を設置場所で同時に行い、それを落成検査と呼ぶのだと覚えておけばよい。
- ③は、製造されたあと、特定の場所に固定して設置されないものである。その例としては、移動式クレーン、ゴンドラ、移動式ボイラなどがある。これらは、製造時等検査は行う必要があるが、特定の場所に設置されるわけではないので落成検査は行いようがない。
特定機械を製造したり輸入したりした場合は、それまで国内に存在していなかったものを労働者に使わせることになる。そこで、それが基準に従って製造されているかどうかを調べるための何らかの検査(製造時等検査)を受けなければならないのである。
まず、製造した場合について説明する。ボイラー及び第一種圧力容器を製造したときは登録機関の製造時等検査を、移動式クレーン及びゴンドラを製造したときは都道府県労働局長の製造時等検査を受ける必要がある。
これに対し、クレーン、デリック、エレベーター、建設用リフトは、設置する現場で組み立てるので、監督署長による落成検査を受けることになる。
なお、ボイラー及び第一種圧力容器は、製造したものを特定の場所に設置するので、製造時等検査の他に落成検査も必要となる。これに対し、ゴンドラ及び移動式クレーンは、一定の場所に設置しても動かすことが前提なので、落成検査は必要がないのである。
一方、輸入した場合は、「製造」したわけではないので、「製造時検査」ではなく「使用検査」を受けることになる。
また、いったん廃止したものは、国内に存在しなくなるのと同じだと考える。従って、これの使用を再開する場合も製造時等検査と同様な検査が必要になるのである。しかし、「製造」したわけではないので、この場合も「使用検査」となるのである。