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このページは、労働衛生教育の対象者、教育内容、実施時期等について解説しています。
労働衛生コンサルタント試験の筆記試験の直前チェックシートとして作成しました。
柳川に著作権があることにご留意ください。
【加齢による人体の機能の変化】
| 出題年 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 重要性 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 出題数 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 高 |
電離放射線に関しては、以下のいずれか(又はその組合せ)によって必ず1問が出題される。かつては同じ内容の問題が繰り返して出題される傾向があったため、過去問の学習が重要となる分野であった。
【電離放射線に関する出題】
- 電離放射線の定義、物理的性質など
- 電離放射線による生体影響
- 電離放射線の被ばく量の表現方法
ここ、数年は過去問の学習だけでは対応できなくなっているが、過去問の学習が重要であることは間違いがない。
【電離放射線とは】
電離放射線とは、以下のものをいう。
- アルフア線:粒子線(ヘリウム原子核の流れ)
- 重陽子線:粒子線(重陽子の流れ)
- 陽子線:粒子線(陽子の流れ)
- ベータ線:粒子線(原子核から放出される電子の流れ)
- 電子線:粒子線(電極から放出される電子の流れ)
- 中性子線:粒子線(中性子の流れ)
- ガンマ線:電磁波
- エックス線:電磁波
【電離放射線とは】
電離放射線の詳細については、環境省の次の資料が参考になる。ここで、それぞれの放射線について、電磁波については周波数、粒子線についてはどのように生成されるかを覚えておく必要がある。
ここで、電磁波のエネルギーは次式のように表される。
h:プランク定数
ν:振動数
ω:角速度
c:光速
λ:波長
すなわち、振動数が高いほどエネルギーは大きいことを押さえておくこと。例えば、エックス線もガンマ線も電磁波であり、紫外線よりも波長が短い。従って振動数が高いので、紫外線よりエネルギーが高い。
【エックス線とガンマ線の違い】
第1章 放射線の基礎知識
1.3 放射線
電磁波の仲間
電磁波とは、電界(電場)と磁界(磁場)が相互に作用しながら空間を伝播する波のことです。波長が短くなる(周波数が高くなる)ほど、電磁波のエネルギーは高くなります。また放射線のエネルギーは電子ボルト(eV)で表されます。1eV は1.6 x 10-19 ジュール(J)です。
X(エックス)線とγ(ガンマ)線は、発生のメカニズムの違いがありますが、どちらもエネルギーの高い電磁波です。
このように電磁波は、文字どおり波としての振る舞いをすることもあることから、図に示すように電磁波が進む方向に対し直角な波型に表すことがあります。
電離放射線の種類
粒子線の仲間には、α(アルファ)線、β(ベータ)線、中性子線等が含まれます。
α線とは、陽子2個と中性子2個からなるヘリウム原子核が高速で飛び出したもの、β線は原子核から飛び出した電子です。そのほかに中性子線や陽子線も粒子線の仲間です。
γ(ガンマ)線とX(エックス)線は電磁波の仲間です。α線、β線、γ線が原子核から放出されるのに対し、健康診査等で行われるX線検査で利用されるX線は原子核の外側で発生する電磁波です。X線検査の際には、X線管で発生させるX線が利用されます。X線には、制動X線と特性X線があります(上巻P16「医療で使われるエックス線と発生装置」)。
※ 環境省「放射線の電離作用-電離放射線の性質」(放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和6年度版))より
【電離放射線の透過力】
電離放射線の透過力については、環境省の次の資料が参考になる。
【放射線の透過力】
第1章 放射線の基礎知識
1.3 放射線
放射線の透過力
電荷を持つ粒子や電磁波は、物質と相互作用し、エネルギー(速度)を失い、最終的には止まります。
α(アルファ)線は電離する量が極めて多いので、紙1枚で止まります。β(ベータ)線は、エネルギーによりますが、空気中では数m程度飛び、プラスチック1 cm、アルミ板2~4 mm 程度で止まります。γ(ガンマ)線・X(エックス)線はα線やβ線よりも透過力が高く、これもエネルギーにより、空気中の原子と衝突しながら次第にエネルギーを失い、空気中を数十mから数百m飛びます。一方、密度の高い鉛や鉄の厚い板によって止めることができるため、放射線発生装置からのγ線やX線は、鉄等を用いて遮へいすることができます。
電荷を持たない中性子は、衝突によりエネルギーを失い、その後、物質との相互作用等で吸収されます。すなわち、中性子は、物質を構成する原子核と直接衝突することでエネルギー(速度)を失います。質量がほぼ同じである陽子(水素の原子核)と衝突する場合に最も効果的にエネルギーを失います。
※ 環境省「放射線の電離作用-電離放射線の性質」(放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和6年度版))より
【重要事項(電離放射線による生体影響)】
電離放射線の生体影響については、環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和6年度版)」の「第3章 放射線による健康影響」(以下「基礎資料第3章」という。)の資料が参考になる。
この中では、以下の事項が重要となる。なお、それほど長大な資料ではないので、電離放射線の健康影響について自信がない場合は、ざっと眼を通しておくと役に立つかもしれない。
- 図は、基礎資料第3章の「3.1 人体への影響」の「影響の種類」から引用した図である。人体への影響には、確率的影響と確定的影響がある。確定的影響の多くは急性障害であり、確率的影響の多くは番発障害である。しかし、眼の水晶体の混濁(白内障)は、確定的影響かつ晩発影響とされている。(図参照)
- (公社)放射線影響研究所「放射線白内障(水晶体混濁)」によると「
放射線白内障は、水晶体の一部ににごりが生じるものであり、水晶体の後側表面を覆う傷害を受けた細胞に発生する。放射線被曝後、高線量であれば早くて1-2年、それより低線量であれば何年も経ってから症状が現れる。放射線白内障がどれくらいの頻度で重度の視力障害を生じるほどに進展するのかは明らかではないが、最近行われた調査では、手術を受けた白内障症例は1 Gy当たり約20-30%の過剰であった。被曝後早期に出現した放射線白内障については、影響を生じない低線量での「しきい値」があるかもしれないと考えられているが、最近の調査では、しきい値はないか、あったとしても0-0.8 Gy程度ではないかと示唆されている。
」とされている。 - 確定的影響にはしきい値が存在しているというのが一般的な理解(多数説)であり、一般にはしきい値とは、それ以下であれば影響が表れない値と定義されている。
- ただし、しきい線量は、「割り切り」で定められているのであり、それ以下であったとしても、(少なくとも理論上は)1%未満の人には健康影響が表れないとは限らないのである(下記の表参照)。
- 基礎資料第3章の「3.2 人体影響の発生機構」の「臓器・組織の放射線感受性」によれば、「
細胞分裂が盛んで、分化の程度の低い細胞ほど、放射線感受性が高い傾向にあります。
」とされている(下記図参照)。 - 基礎資料第3章の「3.7 がん・白血病」の「白血病と線量反応関係」によれば、「
原爆被爆者の調査の結果から、慢性リンパ性白血病及び成人T細胞白血病を除いた白血病の線量反応関係は二次関数的であり、線量が高くなるほどリスク上昇が急になる凹型の線量反応が示されています
」とされている。
【しきい値については、どのように考えるべきでしょうか。】
※ 国立国会図書館「しきい値については、どのように考えるべきでしょうか。」(国立国会図書館のサイト Sirabe)(下線強調引用者)
分野 問 しきい値については、どのように考えるべきでしょうか。 答え 〇 しきい線量(しきい値)は、確定的影響(やけどのような症状や不妊など)について、その線量以下ではほとんど発生しない(発生するとしても1-5%)とされる線量です。この線量は確定的影響にのみ存在し、がんや突然変異、遺伝性影響などのような確率的影響には存在しないとされています。それはICRPが、放射線防護の観点から、約100mSvよりも低い低線量域では、がん又は遺伝性影響の発生率は、関係する臓器及び組織の等価線量の増加に直線的に正比例し、しきい値は無いと仮定したLNTモデルを採用していることによります。
〇 大抵の細胞には寿命があり、寿命がきた細胞の不足分を補うように細胞が増殖します。しかし、やけどや病気などで寿命前の細胞が大量に死ぬと、増殖が追いつかなくなり、生き残った細胞が能力を補うこともできず、組織として機能を維持できなくなります。細胞が放射線を浴びたときも、傷ついた遺伝子を修復できず死ぬことがあります。線量が増えると死ぬ細胞が増えるため、障害の程度も重くなり、治りにくくなります。障害が確認できるほど細胞が死ぬ線量がしきい値ともいえます。
(以下略)
キーワード 図表 図 確率的影響と確定的影響(組織反応)の比較 (略) (略)
【重要事項(電離放射線の被ばく量の表現方法)】
放射線に関する量には以下のようなものがある。なお、1cm線量当量とは、個人線量当量では、人体表面上の1cmの深さにおけるICRU人体等価物質中の線量当量である。
なお、カーマ(Kerma:kinetic energy released per unit mass)とは、間接電離放射線(電荷を持たない放射線)によって単位質量の物質中で生成された2次荷電粒子の初期運動エネルギーの総和である。単位には㏉が用いられる。
| 名称 | 意味 | 具体例 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 物理量 | 直接計測できる量 | 放射能の強さ | Bq(ベクレル) |
| 吸収線量 | Gy(グレイ) | ||
| 防護量 | 人体の被ばく線量であり、直接計測できない。放射線健康リスクに関する量 | 実効線量 | Sv(シーベルト) |
| 等価線量 | Sv(シーベルト) | ||
| 臓器吸収線量 | Gy(グレイ) | ||
| 実用量 | 防護量と同様な考え方だが、物理量から定義される | 周辺線量当量 | Sv(シーベルト) |
| 方向性線量当量 | Sv(シーベルト) | ||
| 個人線量当量 | Sv(シーベルト) |
電離放射線の健康影響には、吸収線量、等価線量、実効線量という3つの線量が重要である。このうち吸収線量は測定可能であるから、他の2つの量を吸収線量で表すと次のようになる。
吸収線量 = 吸収線量
※ 本式は自明であるが、厳密に言えば、人体の吸収線量は、体内の気体の吸収線量を測定し、気体に対する体内組織の阻止能比を乗ずることによって算定する。
等価線量 = 吸収線量 × 放射線加重係数
実効線量 = ∑ 吸収線量 × 放射線加重係数 × 組織加重係数
| 放射線の種類 | 放射線加重係数 |
|---|---|
| ガンマ線、エックス線、ベータ線 | 1 |
| 陽子線 | 2 |
| アルファ線、重イオン | 20 |
| 中性子線 | 2.5~20 |
| 組織 | 組織加重係数 |
|---|---|
| 骨髄(赤色)、結腸、肺、胃、乳房、残りの組織 | 0.12 |
| 生殖腺 | 0.08 |
| 膀胱、食道、肝臓、甲状腺 | 0.04 |
| 骨表面、脳、唾液腺、皮膚 | 0.01 |
※ 組織の数に組織加重係数を乗じて、合計すると1.0になる。





