※ イメージ図(©photoAC)
このページは、労働安全衛生法及び労働安全衛生規則(第3章第2節危険物及び有害物に関する規制)における化学物質の規制についてまとめてあります。
労働衛生コンサルタント試験の筆記試験の直前チェックシートとして作成しました。
柳川に著作権があることにご留意ください。
【安衛法・安衛則等による化学物質規制】
出題年 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 重要性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
出題数 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 高 |
労働安全衛生法及び労働安全衛生規則(第3章第2節)の化学物質規制は、ほぼ毎年出題されている。2017年はSDS・表示関連で1問、リスクアセスメントで1問出題されている。2014年は、厚生労働大臣の許可物質(第1類物質)について問うもので、特化則に含まれるものかもしれない。
2018年以降は、労働安全衛生規則(第3章第2節)から全般的な出題がされている。
2021年と2022年は出題されていない。これは、自律的管理関連の改正政省令が公布されているが、法令の試験は試験実施年の4月1日現在で施行されている法令が前提となる。そのため、出題を差し控えたものであろう。
2023年は、化学物質管理の一般的な事項が出題されている。2024年は、自律的管理に関するすべての法令が施行されているため、新しい制度で出題される可能性は否定できない。
【安衛法及び安衛則の化学物質規制で留意すべき事項】
- 製造等が禁止されている以下の有害物を製造・輸入する場合は、あらかじめ、労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長の製造等の許可を受けなければならない。
- ① 黄りんマツチ
- ② ベンジジン(含有する製剤その他のものを含む)
- ③ 四―アミノジフエニル及びその塩
- ④ 石綿(次に掲げる物で厚生労働省令で定めるものを除く。)
- 石綿の分析のための試料の用に供される石綿
- 石綿の使用状況の調査に関する知識又は技能の習得のための教育の用に供される石綿
- 上記に掲げる物の原料又は材料として使用される石綿
- ⑤ 四―ニトロジフエニル及びその塩
- ⑥ ビス(クロロメチル)エーテル
- ⑦ ベータ―ナフチルアミン及びその塩
- ⑧ ベンゼンを含有するゴムのりで、その含有するベンゼンの容量が当該ゴムのりの溶剤(希釈剤を含む。)の5パーセントを超えるもの
- ⑨ ②、③若しくは⑤から⑦までに掲げる物をその重量の1パーセントを超えて含有し、又は④に掲げる物をその重量の0.1パーセントを超えて含有する製剤その他の物
- 以下の化学物質を製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
- ① ジクロルベンジジン及びその塩
- ② アルフア―ナフチルアミン及びその塩
- ③ 塩素化ビフエニル(別名PCB)
- ④ オルト―トリジン及びその塩
- ⑤ ジアニシジン及びその塩
- ⑥ ベリリウム及びその化合物
- ⑦ ベンゾトリクロリド
- ⑧ ①から⑥までに掲げる物をその重量の1パーセントを超えて含有し、又は⑦に掲げる物をその重量の0.5パーセントを超えて含有する製剤その他の物(合金にあっては、ベリリウムをその重量の3パーセントを超えて含有するものに限る。)
- 新規化学物質を製造しようとする事業者は、あらかじめ、その新規化学物質の有害性の調査を行わなければならない。しかし、一の事業場における1年間の製造量が100kg以下である旨の厚生労働大臣の確認を受けた場合等は、その限りではない。
- 新規化学物質の有害性の調査は、変異原性試験と同等以上の知見を得ることができる試験又はがん原性試験である。
【SDS及び表示で留意すべき事項】
- SDSによる通知の方法として、磁気ディスクの交付、その他の方法であって相手方が承諾した方法により通知することができる。
【SDS及び表示すべき事項】
項目 | 表示等をするべき事項 | 関係条文 |
---|---|---|
SDS |
|
安衛法第57条の2 |
|
安衛則第34条の2の4 | |
表示 |
|
安衛法第57条 |
|
安衛則第33条 |
※1 コンサルタント試験では、SDS又は表示すべき項目として「通知(表示)を行う者の氏名」を挙げる問題が出されることがある。「法人にあつては、その名称」が付記されていないので迷うが、コンサルタント試験では正しいとしてよい。
※2 衛生法令の範囲ではないが、平成18年10月20日厚生労働省告示第619号「 労働安全衛生法第五十七条第一項第二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める標章」に、原則として「日本産業規格Z七二五三(GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法─ラベル、作業場内の表示及び安全データシート(SDS))に定める絵表示とする」とされている。
【化学物質リスクアセスメントについて留意すべき事項】
- リスクアセスメントは次に掲げる時期に行うものとする。
- 調査対象物を原材料等として新規に採用し、又は変更するとき(※)。
- 調査対象物を製造し、又は取り扱う業務に係る作業の方法又は手順を新規に採用し、又は変更するとき。
- 上記の2つのほか、調査対象物による危険性又は有害性等について変化が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。
- リスクアセスメントを行ったときは、次に掲げる事項を、関係労働者に周知させること。
- リスクアセスメントの対象物の名称
- リスクアセスメントの対象とした業務の内容
- リスクアセスメントの結果
- リスクアセスメントの結果に基づき事業者が講ずる労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置の内容
※ 法令上は、リスクアセスメントを定期的に行わなければならないという規定はない。