【サイト内検索】
【外部リンク】
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、労働衛生教育の対象者、教育内容、実施時期等について解説しています。
労働衛生コンサルタント試験の筆記試験の直前チェックシートとして作成しました。
柳川に著作権があることにご留意ください。
【加齢による人体の機能の変化】
| 出題年 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 重要性 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 出題数 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 高 |
2024 年度と 2025 年度には出題されなかったものの、2023 年度までは高頻度で出題されており、今後も引き続き出題が予想される(※)。なお、2022年度と2023年度には、「体力・運動能力調査」(令和4年)の内容が出題されたが、いずれの年度でも難易度はかなり高かった。油断はできないが、試験協会としても、今後はこのような内容の出題は避けるのではないかと思う。
※ 今後は「高年齢者の労働災害防止のための指針」(令和8年2月10日「高年齢者の労働災害防止のための指針公示第1号」)(施行通達)とからめて出題される可能性が高い。
なお、健康管理(記述式)の2023年度(令和5年度)の問3は「高年齢労働者の労働災害の特徴とその予防」について出題されている。健康管理科目の免除者もこの解説は読んでおくことをお勧めする。
フレイルの定義は覚えておくこと。また、ロコモティブシンドロームとは、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、加齢による筋力の低下や、関節や脊椎などの病気の発症により、運動器の機能が低下した状態である。進行すると日常生活にも支障が生じてくる。ロコモティブシンドロームについても併せて覚えておく必要がある。
【フレイルの定義】
- 体重減少(6か月で、2㎏以上の(意図しない)体重減少)
- 筋力(握力)の低下(男性<28㎏、女性<18㎏)
- 主観的疲労感((ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする)
- 身体能力(歩行速度)の低下(通常歩行速度<1.0m/秒)
- 日常生活の身体活動量の減少(週に1度も①軽い運動・体操、②定期的な運動・スポーツをしていない。)
※ (公財)長寿科学振興財団「フレイルの診断」を一部修正
また、斎藤他(※)に記載されている図を頭に入れておくこと。この図は、20~24 歳ないし最高期を基準としてみた 55~59 歳の各機能水準の相対関係を表したものである。
※ 斉藤一他「高齢者の労働能力(労働科学業書53)」(労働科学研究所 1980年)
加齢による機能の衰えを表すチャートとして、よく引用されている図であり、また、健康管理(記述式)の2025年度(令和7年度)の問2でこれがこのまま出題されたことがある。
また、西田(※)は、国立長寿医療研究センターの WEB サイトで、知的能力の加齢に伴う変化について次のように紹介している。これも覚えておく方が良い。
※ 西田裕紀子「加齢にともなって成熟していく、知的な能力とは?」(国立長寿医療研究センターの WEB サイト)
【加齢にともなって成熟していく、知的な能力とは?】
どれくらい知識を持っているか、知識を蓄えることができるかという『知識力』、道筋を立てて物事の本質をとらえる『論理的抽象的思考力』、外から与えられた情報をすばやく処理する『情報処理のスピード』、物事に計画的に取り組む『実行機能』などが、知的な能力の重要な要素であることが知られています。これらの知的な能力の果たす役割は、それぞれに違います。また、これらの知的な能力が、加齢から受ける影響もまた、異なると考えられます。
(中略)
そこで、NILS-LSA(ニルス・エルエス・エー)では、さまざまな知的な能力が、加齢に伴ってどのように変化するかを調べました。
(中略)
『情報処理のスピード』は、50歳中頃までは少し向上するのですが、その後は急激な低下を示しました。しかしながら、『知識力』は、40歳から70歳を過ぎる頃まで、ぐんぐん向上していきます。その後、緩やかな低下を示していますが、90歳を目の前にしても、40歳よりも高得点なのです。
※ 西田裕紀子「加齢にともなって成熟していく、知的な能力とは?」(国立長寿医療研究センターの WEB サイト)
また西田(※1)は、結晶性知能(crystallized intelligence)と流動性知能(fluid intelligence)(※2)の高齢化に伴う変化について過去の研究を次のように紹介している。これも覚えておく方が良い。
※1 西田裕紀子「中高年者の知能の加齢変化」(老年期認知症研究会誌 2017年 Vol.21 No.10)
※2 西田によると「結晶性知能は、個人が長年にわたる経験、教育や学習から獲得していく知能であり、言語能力、理解力、洞察力などを含む。一方、流動性知能は、新しい環境に適応するために、新しい情報を獲得し、それを処理し、操作していく知能であり、処理のスピード、直感力、法則を発見する能力を含んでいる。
」
【中高年者の知能の加齢変化】
ソルトハウスは、新聞広告に応募してきた 1,000 名以上を対象に「語彙」「処理速度」「推論」「記憶」の4つの検査を施行し、各検査の得点の年代差を検討した。その結果、結晶性知能に当たる「語彙」は、60 歳頃まで上昇し、その後もほとんど低下しないこと、一方、流動性知能の指標となる「処理速度」「推論」や「記憶」は加齢に伴って直線的に低下することを示した。
一方、シャイエとその研究チームは、ワシントン州西部地域に居住し、民間医療保険制度(Health Maintenaqnce Organization)に加入する 20 歳以上の成人を対象とした「シアトル縦断研究」において、知能の加齢変化に関して、よりポジティブなデータを報告している。すなわち、結晶性知能である「言語能力」は 60 歳代にピークを迎えるが、その後の低下は 80 歳代の前半まで非常に緩やかである。シャイエの縦断研究が示すさらに重要なことは、流動性知能を含むその他のほとんどの知能も、55~60 歳頃までは高く維持されることである。その後、緩やかに低下するが、明確な低下を示すのは 80 歳以降である。シャイエの研究が示すポジティブな加齢変化のパターン、すなわち、結晶性知能のみならず流動性知能の変化もまた、60 歳頃まではほとんど見られないという知能の軌跡は、現在、学術的にも広く受け入れられている。
※ 西田裕紀子「中高年者の知能の加齢変化」(老年期認知症研究会誌 2017年 Vol.21 No.10)
この他、覚えておいた方が良い事項としては以下のことがある。
【重要事項】
- 女性の更年期は、閉経を迎える 50 ~ 51 歳の前後である 45 歳~ 55 歳の約 10 年間をいう。女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が閉経にともなって低下することで更年期障害が起きる。
- 男性の更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH 症候群)では、男性ホルモンであるテストステロンの分泌の低下により、筋力低下、自律神経失調症状や精力減退などを生じる。なお、女性の更年期障害のように一定の年齢で起きるのではなく、40歳以降であれば、いつでも起こり得る。
- 老人性難聴は、感音性難聴である。なお、老人性難聴は(感音性難聴は、ではない)高音域の聴力から低下する。なお、騒音性難聴は 4,000Hz 付近の周波数から特異的に低下する
- 加齢により、単純反応時間、選択反応時間はともに長くなる
- 単純反応時間(Simple Reaction Time:SRT)とは、予め定められた刺激(1種類)の呈示から反応までにかかる時間であり、選択反応時間(Choice Reaction Time:CRT)とは、複数の刺激系列の呈示に対して予め定められた特定の反応を行う反応時間である。
- 加齢による遅延は、明順応よりも暗順応の方が顕著である。
- 明順応とは、読んで字のごとく、暗い場所から明るい場所へ出たときに、明るさに目が慣れることである。一方、暗順応とは、明るい場所から暗い場所へ入ったときに暗さに目が慣れることである。経験的にもわかるように、明順応は1分程度であるが、暗順応は30分から1時間程度かかる。
| 難聴の種類 | 定義 | 原因 | 治療等 |
|---|---|---|---|
| 伝音性難聴 | 外耳道、鼓膜、耳小骨など伝音系の障害による難聴 | 主な原因は、慢性中耳炎や滲出性中耳炎など中耳の疾患 | 音を大きくする補聴器によって音を聞くことができるようになる。 |
| 感音性難聴 | 蝸牛から中枢神経系(聴神経)、聴皮質に至るまでの障害による難聴 |
● 老人性難聴 ● 騒音性難聴 ● 薬品(ストレプトマイシンなど) |
治療による回復は難しく、補聴器によって聴力を補うことも困難である。 |





