労働安全コンサルタント試験の産業安全一般の過去問の出題範囲を一覧表にして示しています。
一覧表は別ファイル(表:産業安全一般の過去問出題範囲一覧)にしています。かなり大きな表ですので、できるだけパソコンでご覧になることをお勧めします。
- 1 はじめに
- (1)過去問の重要性
- (2)最近の出題の傾向
- 2 産業安全一般過去問出題範囲の一覧
- 3 産業安全一般の過去問の利用方法
- (1)過去問で問われた内容の把握
- (2)出題傾向の分析
- (3)最後に
1 はじめに
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(1)過去問の重要性
本稿は、労働安全コンサルタント試験を受験しようとされている方のために、過去の「産業安全一般」の過去問の出題範囲を一覧形式にまとめたものである。
実は受験したときまで、私は、「産業安全一般」の過去問には受験対策という意味ではほとんど価値はないと思っていた。しかし、このサイトのために過去10年間の問題を解いてみてそれは必ずしも正しくないと気付いた。現在まで12年分の問題を解いてますます過去問が重要だと考えるようになった。
やはり過去問を解くことには意味があるのだ。まず、過去問は出題傾向を判断する材料という意味で役に立つのである。また、いくつかの問題については、過去問を理解しておくことで正答できるのだ。例えば、信頼性ブロック図の問や、機械の強度計算の問など、同様の過去問の内容を理解しておけば正答できるのである。
そこで、受験者のために、各年毎の試験問題の出題範囲を一覧形式にしてみた。ただし、正答の肢についてのみ記したので、読者は他の肢については、当サイトの「労働安全コンサルタント試験 産業安全一般」から各年の問題の解説を参照して頂きたい。
(2)最近の出題の傾向
ア 出題範囲
安全コンサルタント試験の出題範囲をまとめた3の表をご覧になって頂ければわかるが、どの範囲から何問出題されるかについて、毎年、若干の変更はあるもののそれほど大きく変わるわけではない。
特徴的なこととしては、ここ数年について以下のことが挙げられるかもしれない。これらは出題者が重要だと考えているのであろう。それほど難しい問題が出るわけではないので、確実に抑えておくようにしたい。
- ① 機械の包括的安全指針、OSHMS指針、RA指針、機能安全に係る技術指針からそれぞれ1問出題があること。
- ② 玉掛け関連で、やや細かい内容で1問出題があること。2023年は、玉掛け用ワイヤロープの点検について問われている。
- ③ 信頼性ブロック図について、ほぼ1問出題がある(2023年と2020年を除く)こと。
- ④ 長方形の単純支持梁についての出題があること。
※ 交通労働災害防止対策指針は、2019年以降は、出題されておらず代わりに機能安全について出題されている。
イ 出題範囲ごとの難易度
また、おもしろいことに、ある出題範囲に関しては、毎年、難易度が同じようになる傾向があるのだ。例えば、2018年は出題がなかったが、安全管理についての問題は、例年、問題を読めば、常識で答えが出るような問題が出される(※)。一方、機械安全についての問題は、例年、かなり高度な問題が出題される。ただ、これは安全コンサルタント試験という試験の性格上、当然のことであろう。
※ 2023年の安全管理の問題は、第14次労働災害防止計画に関するもので難易度は高かったが、これは例外的である。
これに対し、信頼性工学や爆発・火災防止については、難易度が極端に変わる傾向がある。
2 産業安全一般過去問出題範囲の一覧
労働安全コンサルタント試験の産業安全一般の過去問がどの範囲から出題されているかの一覧表を示す。かなり、大きな表なので、別ファイルに示しているが、パソコンで閲覧することをお勧めする。
表:産業安全一般の過去問出題範囲一覧3 産業安全一般の過去問の利用方法
(1)過去問で問われた内容の把握
コンサルタント試験では過去問とまったく同じ肢が出題されるということは(あまり)ない(※)が、過去に出題された内容について理解するだけでも、1割程度は正答できると思う。
※ 最近では、過去問と全く同じ肢や過去問と全く同じ問題が出題されることもある。
例えば、信頼性ブロック図に関する設問は毎年のように出題されているが、その意味さえ分かっていれば確実に解けるような問題が出ているのである。また、単純支持梁に関する問題も例年のように出題されており、基本的な公式をいくつか記憶しておけばこれも正答は可能である。
すなわち、過去問は、極端に細かな内容を問うているもの以外は、過去12年間のすべての問題のすべての肢について、自らの力で解けるようにしておいた方が良い。
(2)出題傾向の分析
ア 出題傾向分析の重要性
また、出題傾向を十分に把握した上で、学習にとりかかることで、学習の効率を上げることができるのである。この試験にチャレンジされる方は、職場では働き盛りで長時間の残業がある年代の方が多いだろうし、家庭でも子育て(孫育て?)に励んでおられる方も多いと思われる。受験の学習のために十分な時間が確保できる状況にある方はそう多くはないだろう。
労働安全という分野は、信頼性工学から、化学、電気工学、機械工学、建設工学に至るまできわめて範囲の広い知識が必要になるのである。そうなると、やみくもに学習をしようとしても合格はおぼつかない。効率的な学習をする必要があるのだ。
私自身、このサイトのコンテンツの作成のために、(合格後に)7年かけて12年分の試験問題を解いてみたが、インターネットの助けを借りながらであってさえ、解答にかなり時間のかかるものもあった。すべて、完璧な知識を持って回答することは困難だろう。
そのため、受験勉強を開始する前に、過去5年分(本サイトに掲示されている問題の半分)の試験問題と解説をざっと読まれて、出題傾向を把握しておくことをお勧めする。なお、最終的には12年分すべてについて学習されることをお勧めする。
イ 出題傾向のヒント
なお、12年分を解こうというときには、前述したように、出題範囲と難易度の傾向は、例年、極端には変わらない。早期の合格を狙うのであれば、前記の表を見て、毎年レベルが1又は5になっているようなものは思い切って捨ててしまっても良いかもしれない。レベル1のものは常識で解けるし、5のものはあまりにも学習効率が悪くなるからだ。
その上で、まず、例年出題されているもの、いくつか例を挙げれば、安全委員会の目的・参加者・実施事項、様ざまな安全教育の目的・手法・その特徴など、ヒューマンエラーへの対策、信頼性ブロック線図の考え方、単純支持梁に関する基本公式などであるが、これらについての基本的な知識を身に着けるようにする。
次に、例年出題されている行政のいくつかの指針類について、その基本的な考え方と内容を覚える。これについても例を挙げれば「機械の包括的な安全基準に関する指針」にいう「本質的安全設計方策」とは何かについては確実に答えられるようにしておく。
最後に、機械設備による安全について、適切な参考書を用いてかなり詳細な学習をしておく。
(3)最後に
最近の安全コンサルタント試験は、できるだけ産業安全一般で高得点を取らないと合格はおぼつかない。というのは、産業安全法令が、かなり細かな点を問われることが多くなっているからである。専門家でさえ、ここまでは知らないだろうと思えるような問題が出されるのである。そのため、産業安全一般で高得点を取る必要があるのだ。
おそらく、このコンテンツをご覧になっておられる方は、労働安全コンサルタント試験の受験を検討しておられるか、現に受験勉強に入られた方だと思う。読者の方が、効率の良い受験勉強をされて、一日も早い合格をされることを願いたい。
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