問11 高圧室内業務を行うときに、高気圧障害を防止するために定める高圧室内作業に関する計画に示されていなければならない事項として、高気圧作業安全衛生規則上、誤っているものはどれか。
(1)作業室又は気こう室へ送気する気体の成分組成
(2)加圧を開始する時から減圧を開始する時までの時間
(3)当該高圧室内業務における圧力の時間加重平均値
(4)加圧及び減圧の速度
(5)減圧を停止する圧力及び当該圧力下において減圧を停止する時間
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更する(号番号等を除く)などの修正を行いました。
他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
| 2025年度(令和7年度) | 問11 | 難易度 | 高圧則に関する問題は、かなり細かい事項が出題される傾向がある。しかし正答率は極端に低くはない。 |
|---|---|---|---|
| 高圧則 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。(中途段階なので、今後、修正があり得る。)
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問11 高圧室内業務を行うときに、高気圧障害を防止するために定める高圧室内作業に関する計画に示されていなければならない事項として、高気圧作業安全衛生規則上、誤っているものはどれか。
(1)作業室又は気こう室へ送気する気体の成分組成
(2)加圧を開始する時から減圧を開始する時までの時間
(3)当該高圧室内業務における圧力の時間加重平均値
(4)加圧及び減圧の速度
(5)減圧を停止する圧力及び当該圧力下において減圧を停止する時間
正答(3)
【解説】
高圧室内業務を行うときに、高気圧障害を防止するために定める高圧室内作業に関する計画に示されていなければならない事項は、高圧則第 12 条第2項各号に示されている。従って、これを覚えていれば正答できるが、ほとんどの受験者はこのような条文までは覚えていないだろう。
従って、各選択肢についてそれを作業計画に定める意味がるかどうかで判断するしかない。そうすると、(3)の「高圧室内業務における圧力の時間加重平均値」は、後述するように必要がないと分かるのではないだろうか。
(1)正しい。作業室又は気こう室へ送気する気体の成分組成は、高圧則第 12 条の2第2項第一号に定められている。
(2)正しい。加圧を開始する時から減圧を開始する時までの時間は、高圧則第 12 条の2第2項第二号に定められている。
(3)誤り。当該高圧室内業務における圧力の時間加重平均値は、高圧則第 12 条の2第2項に定められていない。
そもそも、高圧室内作業において、圧力の時間加重平均値を定めても、その圧力をかける時間を定めなければ意味はない。仮に作業時間は別に定めるのだとしても、最高圧力(と圧力を変化させる速度)を定めるべきであり、平均値を定めても意味はないのである。
極端な場合、ゲージ圧を5分おきに、10 気圧と0気圧に(急激に)変化させた場合、時間加重平均値は5気圧となる。しかし、こんなことをすれば間違いなく潜水病になる。一方、ゆっくりと気圧を上げてゲージ圧を5気圧とし、その状態で安定させた場合も時間加重平均値は5気圧となる。この場合は、平均は潜水病のリスクはそれほど高くはない。
要するに、時間加重平均値を定めてみても、そのことにさしたる意味はないのである。
(4)正しい。加圧及び減圧の速度は、高圧則第 12 条の2第2項第四号に定められている。
(5)正しい。減圧を停止する圧力及び当該圧力下において減圧を停止する時間は、高圧則第 12 条の2第2項第五号に定められている。
【高気圧作業安全衛生規則】
(作業計画)
第12条の2 事業者は、高圧室内業務を行うときは、高気圧障害を防止するため、あらかじめ、高圧室内作業に関する計画(以下この条において「作業計画」という。)を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。
2 作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。
一 作業室又は気こう室へ送気する気体の成分組成
二 加圧を開始する時から減圧を開始する時までの時間
三 当該高圧室内業務における最高の圧力
四 加圧及び減圧の速度
五 減圧を停止する圧力及び当該圧力下において減圧を停止する時間
3 (略)





