問9 有機溶剤中毒予防規則に関する次のイ~ニの記述について、労働安全衛生法令上、正しいもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
ただし、有機溶剤中毒予防規則に定める適用の除外及び設備の特例はないものとする。
イ 事業者は、通風が不十分な屋内作業場において、第三種有機溶剤等を用いて行う払拭の業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュ プル型換気装置又は全体換気装置を設けなければならない。
ロ 屋内作業場において第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う作業場所に有機溶剤中毒予防規則の規定により設置する囲い式フードの局所排気装置は、0.4メートル/秒の制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。
ハ 事業者は、地下室の内部において、第一種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う作業場所に外付け式フードの局所排気装置を設けて、当該業務に労働者を従事させるときは、当該業務に従事する労働者に有機ガス用防毒マスク等の有効な呼吸用保護具を使用させなければならない。
ニ 事業者は、有機溶剤を入れたことのあるタンクの内部において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、作業開始前に、タンクの容積と同じ量以上の空気を送気し、又は、排気しなければならない。
(1)イ ロ
(2)イ ロ ニ
(3)イ ハ ニ
(4)ロ ハ
(5)ハ ニ
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更する(号番号等を除く)などの修正を行いました。
他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
| 2025年度(令和7年度) | 問09 | 難易度 | 有規則は、ほぼ確実に出題される。確実に正答できなければならない。 |
|---|---|---|---|
| 有機則 | 3 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。(中途段階なので、今後、修正があり得る。)
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問9 有機溶剤中毒予防規則に関する次のイ~ニの記述について、労働安全衛生法令上、正しいもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
ただし、有機溶剤中毒予防規則に定める適用の除外及び設備の特例はないものとする。
イ 事業者は、通風が不十分な屋内作業場において、第三種有機溶剤等を用いて行う払拭の業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュ プル型換気装置又は全体換気装置を設けなければならない。
ロ 屋内作業場において第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う作業場所に有機溶剤中毒予防規則の規定により設置する囲い式フードの局所排気装置は、0.4メートル/秒の制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。
ハ 事業者は、地下室の内部において、第一種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う作業場所に外付け式フードの局所排気装置を設けて、当該業務に労働者を従事させるときは、当該業務に従事する労働者に有機ガス用防毒マスク等の有効な呼吸用保護具を使用させなければならない。
ニ 事業者は、有機溶剤を入れたことのあるタンクの内部において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、作業開始前に、タンクの容積と同じ量以上の空気を送気し、又は、排気しなければならない。
(1)イ ロ
(2)イ ロ ニ
(3)イ ハ ニ
(4)ロ ハ
(5)ハ ニ
正答(1)
【解説】
イ 正しい。有機則第6条第1項の規定により、事業者は、通風が不十分な屋内作業場において、第三種有機溶剤等を用いて行う払拭の業務に労働者を従事させるときは、その有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュ プル型換気装置又は全体換気装置を設けなければならない。
なお、有機則第1条第1項(第六号チ)により、払拭の業務は有機溶剤業務となる(※)。また、同規則第2条第1項第一号本文の定義により、通風が不十分な屋内作業場は、同規則第6条のタンク等の内部に含まれる。
※ 少なくともこれまでは、有機則関連の試験で、出題された業務が有機溶剤業務でなかったことはなかった。試験協会としては、有機溶剤業務に該当するかどうかを問題にする意図はないようである。
【有機溶剤中毒予防規則】
(定義等)
第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一~五 (略)
六 有機溶剤業務 次の各号に掲げる業務をいう。
イ~ト (略)
チ 有機溶剤等を用いて行う洗浄(ヲに掲げる業務に該当する洗浄の業務を除く。)又は払しよくの業務
リ~ル (略)
ヲ 有機溶剤等を入れたことのあるタンク(有機溶剤の蒸気の発散するおそれがないものを除く。以下同じ。)の内部における業務
(適用の除外)
第2条 (柱書 略)
一 (前略)タンク等の内部(地下室の内部その他通風が不十分な屋内作業場、船倉の内部その他通風が不十分な船舶の内部、保冷貨車の内部その他通風が不十分な車両の内部又は前条第2項第三号から第十一号までに掲げる場所をいう。以下同じ。)(後略)
二 (略)
2 (略)
(第三種有機溶剤等に係る設備)
第6条 事業者は、タンク等の内部において、第三種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第1条第1項第六号ヲに掲げる業務及び吹付けによる有機溶剤業務を除く。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を設けなければならない。
2 (略)
ロ 正しい。有機則第 16 条第1項の規定によリ、屋内作業場において第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う作業場所に有機溶剤中毒予防規則の規定により設置する囲い式フードの局所排気装置は、0.4 メートル/秒の制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。
【有機溶剤中毒予防規則】
(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)
第5条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第1条第1項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第13条の2第1項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
(局所排気装置の性能)
第16条 局所排気装置は、次の表の上欄に掲げる型式に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。
| 型式 | 制御風速(メートル/秒) | |
|---|---|---|
| 囲い式フード | 〇・四 | |
| 外付け式フード | 側方吸引型 | 〇・五 |
| 下方吸引型 | 〇・五 | |
| 上方吸引型 | 一・〇 | |
| 備考 (略) | ||
2 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該局所排気装置は、その換気量を、発散する有機溶剤等の区分に応じて、それぞれ第17条に規定する全体換気装置の換気量に等しくなるまで下げた場合の制御風速を出し得る能力を有すれば足りる。
一 第6条第一項の規定により局所排気装置を設けた場合
二 第8条第2項、第9条第1項又は第11条の規定に該当し、全体換気装置を設けることにより有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備及び局所排気装置を設けることを要しないとされる場合で、局所排気装置を設けたとき。
ハ 誤り。局所排気装置を設置した場合は、呼吸用保護具の必要は(原則として)ない。
ニ 誤り。有機則第 26 条第1項(第六号ハ)により、有機溶剤を入れたことのあるタンクの内部において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、タンクの容積の三倍以上の量の空気を送気し、若しくは排気するか、又はタンクに水を満たした後、その水をタンクから排出する必要がある。さすがに「タンクの容積と同じ量」ではまずいだろう。
【有機溶剤中毒予防規則】
(タンク内作業)
第26条 事業者は、タンクの内部において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。
一~五 (略)
六 有機溶剤等を入れたことのあるタンクについては、作業開始前に、次の措置を講ずること。
イ及びロ (略)
ハ タンクの容積の三倍以上の量の空気を送気し、若しくは排気するか、又はタンクに水を満たした後、その水をタンクから排出すること。
七 (略)
2 (略)





