問5 健康の保持増進のための措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)事業者は、労働者の時間外・休日労働時間が1か月当たり 80 時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるとして当該労働者から申出があった場合には、医師による健康診断を受けさせなければならない。
(2)産業医は、事業者に対して健康診断結果に基づく意見を述べる際、当該意見に労働者個人を特定できる情報が含まれる場合には、当該労働者の同意を得なければならない。
(3)ストレスチェックは、対象労働者の日頃の勤務状況をよく把握し、配属先等の決定にも権限を有する立場にある者の関与が必要であるため、対象労働者が所属する部署で異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者が医師である場合には、当該者は実施者となることができる。
(4)ストレスチェック実施後に労働者から申出があった場合に実施する医師による面接指導において確認する事項は、ストレスチェックの項目に関する事項のほか、申出のあった労働者についての勤務の状況、心理的な負担の状況その他心身の状況である。
(5)常時 50 人以上の労働者を使用する事業者は、ストレスチェックを受けた労働者ごとのストレスチェックの結果の記録を作成して、これを所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更する(号番号等を除く)などの修正を行いました。
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| 2025年度(令和7年度) | 問05 | 難易度 | 健康管理に関する基本的な内容の問題である。こういう問題を落としてはいけない。 |
|---|---|---|---|
| 健康管理 | 3 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。(中途段階なので、今後、修正があり得る。)
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問5 健康の保持増進のための措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、正しいものはどれか。
(1)事業者は、労働者の時間外・休日労働時間が1か月当たり 80 時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるとして当該労働者から申出があった場合には、医師による健康診断を受けさせなければならない。
(2)産業医は、事業者に対して健康診断結果に基づく意見を述べる際、当該意見に労働者個人を特定できる情報が含まれる場合には、当該労働者の同意を得なければならない。
(3)ストレスチェックは、対象労働者の日頃の勤務状況をよく把握し、配属先等の決定にも権限を有する立場にある者の関与が必要であるため、対象労働者が所属する部署で異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者が医師である場合には、当該者は実施者となることができる。
(4)ストレスチェック実施後に労働者から申出があった場合に実施する医師による面接指導において確認する事項は、ストレスチェックの項目に関する事項のほか、申出のあった労働者についての勤務の状況、心理的な負担の状況その他心身の状況である。
(5)常時 50 人以上の労働者を使用する事業者は、ストレスチェックを受けた労働者ごとのストレスチェックの結果の記録を作成して、これを所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
正答(4)
【解説】
(1)誤り。このような規定はない。本肢は、安衛法第 66 条の8(及び安衛則第 52 条の2)の「医師による面接指導」を「医師による健康診断」と置き換えて誤りの肢としたものである。
【労働安全衛生法】
(面接指導等)
第66条の8 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者(次条第1項に規定する者及び第66条の8の4第1項に規定する者を除く。以下この条において同じ。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
2~5 (略)
【労働安全衛生規則】
(面接指導の対象となる労働者の要件等)
第52条の2 法第66条の8第1項の厚生労働省令で定める要件は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。ただし、次項の期日前1月以内に法第66条の8第1項又は第66条の8の2第1項に規定する面接指導を受けた労働者その他これに類する労働者であつて法第66条の8第1項に規定する面接指導(以下この節において「法第66条の8の面接指導」という。)を受ける必要がないと医師が認めたものを除く。
2及び3 (略)
(2)誤り。本肢のような規定はない。そもそも健康診断結果に基づく意見は、特定の労働者について聴くのであるから、個人を特定できる情報が含まれていないことはあり得ない。このような規定があるはずがない。
【労働安全衛生法】
(健康診断)
第66条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第66条の10第1項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。
2~5 (略)
(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
第66条の4 事業者は、第66条第1項から第4項まで若しくは第5項ただし書又は第66条の2の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。
【労働安全衛生規則】
(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
第51条の2 第43条等の健康診断の結果に基づく法第66条の4の規定による医師又は歯科医師からの意見聴取は、次に定めるところにより行わなければならない。
一 第43条等の健康診断が行われた日(法第66条第5項ただし書の場合にあつては、当該労働者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日)から3月以内に行うこと。
二 聴取した医師又は歯科医師の意見を健康診断個人票に記載すること。
2及び3 (略)
(3)誤り。安衛則第 52 条の 10 第2項により、医師であるかどうかを問わず、ストレスチェックは対象労働者が所属する部署で異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、実施者となることはできない。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2~9 (略)
【労働安全衛生規則】
(検査の実施者等)
第52条の10 法第66条の10第1項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者(以下この節において「医師等」という。)とする。
一 医師
二及び三 (略)
2 検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならない。
(4)正しい、安衛則第 52 条の 17 により、ストレスチェック実施後に労働者から申出があった場合に実施する医師による面接指導において確認する事項は、ストレスチェックの項目に関する事項のほか、申出のあった労働者についての勤務の状況、心理的な負担の状況その他心身の状況である。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2~9 (略)
【労働安全衛生規則】
(面接指導における確認事項)
第52条の17 医師は、面接指導を行うに当たつては、申出を行つた労働者に対し、第五十二条の九各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について確認を行うものとする。
一 当該労働者の勤務の状況
二 当該労働者の心理的な負担の状況
三 前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況
(5)誤り。安衛法第 66 条の 10 第2項後段の規定により、事業者はストレスチェックを受けた労働者ごとのストレスチェックの結果の記録は原則として閲覧できないので、記録を作成することはできない。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2 事業者は、前項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行つた医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。
3~9 (略)
【労働安全衛生規則】
(検査結果等の記録の作成等)
第52条の11 事業者は、第五十二条の十三第二項に規定する場合を除き、検査を行つた医師等による当該検査の結果の記録の作成の事務及び当該検査の実施の事務に従事した者による当該記録の保存の事務が適切に行われるよう、必要な措置を講じなければならない。





